「優希!!こっちこっちー!」
「待ってよ〜!リク〜!!」
奴良家の庭では2人の童が笑顔で追いかけっこをしていた。少年は少女の名前を大きな声で呼んで少年の方へ来るように言うと少女は困ってるような嬉しそうな顔を浮かべて少年…リクオの名前を呼び返す。
2人は小妖怪に悪戯して遊んでいるようだ。
「優希様を迎い入れた時はどーなるかと思ったが、杞憂だったな!」
「ああ、リクオ様もあんなに嬉しそうにしてるしな」
優希が奴良家へ来てから数十日経ち、この家にも慣れてきた少女を見て青田坊はニッと笑いながら隣にいる黒田坊に話しかけると駆け回ってる二人の子供を見守りながら黒田坊も同じことを思っているのか頷いて同意していた。
「おい、リクオ!優希!」
「あ!お父さん!」
「りはんさま!」
ひょろっと現れた奴良家二代目である鯉伴は懐に手を入れながら庭で遊んでいるリクオと優希を呼ぶと2人の子供はぱっと明るい表情になって鯉伴の元へと駆け寄る。
「おいおい……優希。俺はお前の親父なんだからお父さんって呼んでくれよ」
「で、でも……」
「気にすんなっていいから呼んでみろよ」
鯉伴は呆れた顔をしながら優希に己が父親だと言って“お父さん”と呼ばれたいらしく、優希に催促の言葉を掛けると少女は戸惑いながら言葉を返すと鯉伴は少女の目線に合わせてしゃがみ込むと更に催促をする。
「お、お父さん……」
「っ!よし、いい子だ!」
恥ずかしそうにもじもじしながら優希は鯉伴を“お父さん”と呼ぶと鯉伴は目を見開いて驚いては嬉しそうに笑って少女の頭を撫でた。
頭を撫でられたことが嬉しいのか、頬をほころばせて鯉伴に笑い掛けるとリクオがむすっとした顔をする。
(やれやれ……息子に嫉妬されるとはな)
「よし、リクオ。優希。散歩に行くぞ」
「はい!……?」
リクオの拗ねた様子を見て鯉伴は困ったように笑いながらリクオと優希に声を掛けて玄関へと鯉伴は向かう優希は返事をして鯉伴に付いていこうとするけれど隣にいたリクオが難しい顔をして一歩も動かない様子に不思議に思った少女は首を傾げた。
「……リク、行かないの?」
「………」
優希はリクオに近づいて散歩に行かないのかを問いかけると少年は目を逸らして気まずそうにだまっていた。
「きっと楽しいよ?一緒に行こう?」
「う、うん……」
優希はにこっと笑ってリクオに声を掛けて手を握るとリクオは嬉しそうに戸惑いながら返事をすると少女に手を引かれて鯉伴の元へと歩き出す。
「優希、お前は男を手玉に取るの上手いかもなぁ」
「??」
二人の子供やり取りを見ていた鯉伴はニヤニヤ笑いながら優希に子供に言うようなことではないが思ったらしくそれを伝えるが、少女は鯉伴が何を言っているのか理解していないのだろう。優希は首を傾げて頭にクエスチョンマークを浮かべていた。
「優希!いつもの場所までかけっこだ!」
「え!ちょ、……ずるいよ〜!リクってば〜!」
「くっくっく……」
機嫌を直したリクオは笑顔で突然、提案をすると少女の可否の返事を待たずに走り出すから優希は驚いてリクオの姿を見ると本当に走り出してしまうので困った顔をしてリクオの後を追うように走り出した。
そんな二人の子供の姿を見て鯉伴は楽しそうに見守っていた。
参話
『慣れてきた日常』