「……」
「……」
目的地……神社の鳥居につくとそこには漆黒の髪と瞳を持つ少女がたたずんでおり、先に鳥居に辿り着いていたリクオはその少女をまじまじと見ていた。
「もう、リクったら……」
(だ、誰……?)
「遊びましょう」
リクオに追いつけた優希はリクオに文句を言おうとしたが、少年が見ている人物を目に捕らえると黙ってその人物、黒い少女をじっと見つめると黒い少女は微笑んで二人に声を掛けた。
「うん!」
「……うん」
黒い少女の一声に嬉しそうにリクオは一つ返事で返すが、優希は何か警戒しているように返事を返したが、特に黒い少女は手を出すこともなく3人で仲良く遊び続けたのだった。
「リクオ……その娘は…<」
「お父さん!遊んでくれたの、この
三人で遊んでいるとやっとたどり着いたのか鯉伴は戸惑いながらリクオに声を掛けるとリクオは無邪気に笑いながら黒い少女を鯉伴に紹介をする。
(お父さん……どうしたんだろう……)
戸惑っている鯉伴を見て優希は不思議に思ったのかじっと彼を見ていたが、次第に黒い少女に手を差し伸べる鯉伴を見て自分の気のせいだと思って優希は今この時を楽しんでいた。
「あ!なんだろう、アレ!行こ!優希!!」
「あ、も〜……待って〜!!」
「お前らあまり遠くにいくなよ」
「は、はい!」
楽しそうに笑いながら何かを見つけたリクオは指を差して興味を持ったものへと駆け出しながら、声を掛けると優希は困ったような顔をする。少女は今日一日何かとリクオに振り回されっぱなしだ。鯉伴から忠告を背中から受けた優希は少し振り返って返事をするとリクオの後を追いかけた。
「リクー!見つけたの〜?」
「ん〜……何かあった気がしたのに何もない」
「ええ〜……」
やっとリクオに追いついた優希はリクオに問いかけると辺りをきょろきょろと見渡すリクオは何もないと言葉を発した。リクオを追いかけてきて何もなかったのがショックだったのか、優希は頭を垂らした。
「……優希はお父さんのこと好きだよね」
「うん。私のおんじんだし、優しいもの」
今日の鯉伴と優希のやり取りをふと思い出したリクオはむすっとした顔でぽそりと呟く。
まるで少女に確認するように問いかけているようにも聞こえる。
優希はにっこり笑って肯定するとその理由をリクオに言うとリクオは腑に落ちないのか眉を寄せていた。
「ボク、お父さんよりかっこよくなる」
「……どうしたの?」
リクオは優希に顔をずいっと近寄らせて鯉伴よりかっこよくなると宣言する。その意図を理解してない少女ははきょとんとした顔をして首を傾げてリクオの言葉の真意を確かめようとした。
「そしたら、ボクのお嫁さんになってくれる?」
「……リクのお嫁さん?」
リクオは優希の問いかけに答えもせずに幼い子供にしては早いプロポーズをすると少女は目をまん丸くして少年の言った言葉を繰り返すように問いかけるとリクオはうん!と首を縦に振った。
「……そしたら、家族になれる?」
「うん!」
「……うん!なる!リクのお嫁さん!!」
少女にとって“家族”と言う言葉はとても大切なもので天涯孤独の身の優希はリクオに問いかけると少年は力強く頷くと嬉しそうに優希は頷いて笑顔でそう答えた。
「ああああああああああああああ!!!ああ……あ……あ……あああ……ああぁあああぁああああぁ!!!」
「「!!」」
「優希!待って!!」
2人で笑って喜びあっていた中、女の子の叫び声が聞こえてくる。驚いた2人は叫び声のする方を見ると優希はそちらの方へと走り出した。
まさか彼女が走り出すと思っていなかったリクオは少女に声を掛けるが、優希の耳には届いておらず、リクオも少女の後を追うように走り出した。
「あははは……そうじゃ……
「っ!?お、お父さん!!」
「くる……な……」
黒い少女はそう呟くと優希はタイミング良く現れるが、そこには血塗られた刀を持った黒い少女と血だらけになった鯉伴が倒れていた。
優希は驚きながらも鯉伴の傍に行こうとすると行き絶え絶えになりながら鯉伴は彼自身に近寄る優希を制止する言葉を掛けるがそんな言葉は少女の耳には入っておらず鯉伴に近寄ると傷口を塞ごうと触る少女。
「
「いや……ダメ、死んじゃダメ……!!」
「………」
やっと優希に追いついたリクオをは風で舞う花びらが顔から避けるように手を顔の前に翳して困った顔をしながら黒い少女に問いかけるが、優希はそれどころじゃなく鯉伴に声を掛けて体を揺らすが、彼からの返答はなかった。
(私、のせいだ……私が天女の子だから……お父さんが……!!)
「っ、お願いだから……!!死なないで……!!お父さん……っ!!」
優希は涙を目に溜めて自分を責めては鯉伴の命が薄れていくことに絶望を覚えてる。
慣れない父という呼び方なら何か反応を示してくれるのではないかと言う淡い期待を持ちながら彼女は必死になって鯉伴を呼ぶが、返答はなかった。
(私に……力があったら……助けられるのかな!?……お願い!今だけでいいから力を思い出させて……!!)
「!!」
「っ!!……な、何!?」
「優希……?」
溜めていた涙が零れだして頬を伝いながら鯉伴を助ける方法を考える優希ははっと母である月天の手紙を思い出して自身の持つ力を欲した。
力を欲した優希は突然白い光に身を包まれると目を日未来手驚き、後ろにいた黒い少女は驚きの声を上げる。リクオは不安そうな顔をしながら彼女の名前を呼んだ。
「……」
「な、なにも……起きない……の?」
「お主、何者じゃ……?」
白い光がおさまるが、鯉伴は変わらず倒れたままだった。優希は先程自身から発された光が自身の力だと思ったのか何も起きないことに絶望していると黒い少女が怪訝そうな顔をしながら優希に問いかける。
「……私、は……」
「……この匂い、なるほどな……くっくっく…あ|はは……良い収穫じゃな……」
黒い少女に問われると優希は怯えながら言葉をどう返そうか戸惑っていると少女はくんくんと匂いを嗅いで優希が“何者”かを理解したのかにやりと笑った。
(……!!食べられる……!!)
「……じゃが、そうじゃな…|まだ時期は早そうじゃ…|頃合いになれば迎えに来よう……それまで大事に取っておけ、その命」
黒い少女がただの人間じゃないことを何となく理解した優希は食べられると思ったのか目をぎゅっと閉じたが、少女は優希をじっと見てはふっと笑い、優希の頬をそっと触れてはまるで呪いのような言葉を彼女に残す。
黒い少女はそのままで謎の人物を引き連れてこの場を去っていった。
――……それから奴良鯉伴の葬儀を急きょ執り行われることになったのだった。
肆話
『謎の黒き少女』