バスに乗っている茶色のセミロングの少女は膝に乗せている狐の頭を撫でながら窓の外を見ていた。
「……おい、優希」
「何、こんちゃん」
狐は不機嫌そうな顔をしながら少女……優希を呼ぶと名前を呼ばれた少女は何でもなさそうに返事をすると狐の名前を呼んだ。
「お前……また紅蓮と水蓮に怒られるぞ」
「だよねぇ……その時はこんちゃんも一緒だよ」
「ったく……オレを巻き込みよって……」
じと目でこんちゃんと呼ばれる狐は優希に言葉を掛けると少女は言葉を零してため息を付くが、狐に笑い掛けて道連れ宣言をする。納得のいっていない狐は不機嫌そうに文句をぐちぐち零していた。
「だって、1人じゃ危ないし……2人に言っても反対されるだけだもん」
「オレだって反対だ、この馬鹿者」
「だから、買収したんじゃない。お稲荷さんで」
「むむ……」
優希はむっとして顔をして狐に言葉を返すと狐は目を吊り上げて少女の言葉に更に言葉を返す。優希はにこっと笑ってまるで反対されるのを分かっていたから買収したとばかりに言葉を返した。狐は買収されてしまったことに反論出来ずに眉間に皺を寄せる。
「ごめんね、一目見たかったの……どうしても」
「あー、噂の奴か」
「あはは、それかな」
優希は眉下げて狐に謝るとどうしても訪れたかった街……浮世絵町である人物を見たかったと言葉を零すと察した狐は深いため息を付いて尻尾をパタパタさせて言葉を返した。狐の言葉の表現に優希は苦笑して肯定する。
「……無理しちゃって、どーやって帰る気なんだろう……リクオ君」
「なにー?奴良君のことー?」
(リク……?)
バスに乗り込んできたランドセルを背負っている少女は優希がいる反対側の窓を見て言葉を零した。少女の隣にいる友人が不思議そうにサイドハーフアップしている少女に問いかける。
リクオという言葉を耳にした優希は不思議に思って少女たちの会話に耳を傾けた。
「ね……ね……奴良君じゃないけど……あの伝説って……続いてるらしいよ〜〜〜」
「え……何が……」
「だから……妖怪―?」
サイドハーフアップしている少女の友人が突然伝説話をし始めると少女はびくッとした顔をして問いかけると友人は少女の問いかけに疑問系で答える。
「何人も子供が神隠しにあったんだって!ちょうど……このあたりで……」
「や、やめてよ〜〜」
怯えている少女に畳みかける様に少女の友人は話の内容を話していくとサイドハーフアップの少女は脅かそうとしている友人の話が怖くなってきたのか話をやめるように言葉を掛けていた。
「……何の妖怪なんだろ」
「住んでる訳じゃないんだからオレが知るわけないだろ」
2人の少女の話を聞いていた優希は自分の膝の上で丸まっている狐に目を向けて問いかけると狐は目を瞑ってどうでもよさそうに少女に言葉を返した。
「おい!!君たち!!待ちたまえ!!」
(マナーを学んだ方がいいよ、ワカメ君……)
サイドハーフアップの少女たちにワカメヘアの男の子が大きな声を出して言葉を掛けると優希はマナーのなっていない同い年くらいの男子に呆れた顔をしている。
「妖怪など実際にはいない!!ボクが研究で……」
(っ!妖怪!!ワカメ君の後ろにいる!!)
「みんな!!伏せて……!!」
「キャアアアア……」
彼はその事に気付かずに研究したとかいう内容を偉そうに話していると彼の後ろに妖怪の姿が見えた優希は目を見開いて驚く。彼女は妖怪たちがトンネルを壊そうとしてるのが見えると大声を出してバスの中にいる人たちに声を掛けるが、その瞬間トンネルは崩れ落ちてバスに岩が激突すると子供たちの叫び声が鳴り響いた。
陸話
『久しぶりの浮世絵町』