告白予行練習

※HoneyWorks楽曲「告白予行練習」を題材にしました。

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「いきなりでごめんね!ずっと前から好きでした!」


 月曜日、部活のない放課後。

 誰もいない教室で私は幼馴染…及川徹に言うと彼は呆然とした顔をして私を見ていた。

 彼はイケメンだからなのかファンも多くいて…彼女も取っかえ引っ変え……は言い過ぎかな。
 でも、そんな彼に今は彼女はいない。


 告白するなら今!


 そう思って私は思い切り告白をする。


「なーんて、本気と思った?」
「……。」


 私はすぐさま態度を変えて笑顔で彼の顔をのぞき込むと真顔になった。


 え、ちょっと、怒った…?


「ちょっとちょっと、何か反応してよ〜!」
「……冗談?」


 私は慌てて徹の前で手を振って反応を待つと彼はぽつりと言葉を零す。


 なんか、声が怖いんですけどっ!


「あ、いや、そ、うじゃなくて…れ、練習!」
「……………は?練習??」


 なんか変な事言ったら怒られそうな気がして吃りながら、私は言い訳を探しては高々に練習と言うと徹はきょとんとした顔をして首を傾げながらオウム返しをした。


 ちょっと、それ可愛いんだけど。


「そ、そう!明日好きな人に告白しようと思ってて徹で予行練習したの!」
「へ、へぇ…」
「可愛かった?ドキッとした?」


 私はつかさず突っ込まれないように言葉を並べて言う……あ、あれ?明日言うの!?私!!なんて心の中で自分にツッコミをする。

 とりあえず徹は納得してくれたみたいだったの私はでいつものイタズラ笑顔で問い掛けると彼は複雑そうな顔を見せる。


「本気にするよ?」
「ええ!?」
「なんてね」


 複雑そうな顔をした彼が言った言葉は私が予想していた言葉ではなくて思わず驚いて声を上げると彼はにっと笑って私をからかってきた。


 うぅ、やり返された…こっちは本気だけども!!


「もう!意地悪!!バカ徹!!」
「なまえが先にやってきたんでしょ」
「私のは予行練習ー!!」


 相手がイケメンだからやると様になるのも悔しくて顔を真っ赤にして徹に悪口いいながら軽く叩くと呆れた顔してごもっともなことを彼は言ってくるが私は認めないで予行練習と言い張るとかれは声を上げて笑っていた。

 なんだかんだ言いながら2人で寄り道して帰って…やっぱり好きだと実感してしまったのだ。


 明日には伝えるね、私の好きな人。
 応援してよね、約束して!


 なんて…好きな人に送るのもおかしな話…だとは思うけど徹にもうLAINで送ってしまったので後悔してももう遅い。


 ああ、早く明日にならないかな…いやいや!まだ明日にならないで〜!


なんて格闘してる間に私は夢の世界へと行ってしまった。



◇◇◇



「やった!1位!」


 明日になる、なんて早いことで私はもう既に朝食を食べながらいつも気にしない占いを見る。

 一世一代の告白なんです!気にしますよ!今日くらい!!………予行練習はしたけどね。


「おはよ、なまえ」
「あ、おはよ!」


 教室に向かう途中で後ろから声が掛かる。
 声を聞いただけで分かる。徹だ。

 振り返るとやっぱり徹で嬉しくて笑顔になった私は元気よく挨拶を返した。


「今日、告るって言ってたよね」
「う、うん」
「応援してるから」


 徹は昨日私が言ってた言葉を思い出したかのようにその話題に触れる。私は今はまだその話題に触れて欲しくなくてドキマギしながら返事をすると彼は笑顔で応援してるって言ってくれた。


「ありがと…じゃ、じゃあ!あの、最後にもう1回練習させて?」
「ええ〜…」
「ダメ、かな…」
「嘘うそ、いいよ。放課後ね」


 まさかそんな言葉を貰えると思ってなくて私はさり気なくお願いをすると面倒くさそうな顔をされたのでシュンとしたら頭をポンポンと軽く叩いてOKをくれた。


 ああ、もう好き。


 でも、時間が経つのは早くていつの間にか放課後になってた。


「…誰もいなくなったね」
「う、うん…」


 不思議なくらいに私と徹だけしか教室にいなくて徹が窓に寄り掛かりながら私に声をかける。

 私は返事をするけど、徹の顔が見れなくて下を見ていた。


「やるんでしょ、予行練習」
「………っ、ずっと前から好きでした!」


 徹が予行練習を促すから私は少し躊躇いながらも最後の練習を本人に、した。


「…………いいんじゃない。本番頑張って…」
「待って!」


 少しの沈黙があってから彼はいつもと変わらない表情と声で告白を褒めて応援してくれるとその場を立ち去ろうとする。

 私はつかさず徹に声をかけて彼のシャツを引っ張って足を止めさせる。


「なまえ?」
「う、嘘つきでごめんね!ずっと前から好きでした…!」
「え……」


 私が徹を止めたのが不思議だったんだと思う。彼は不思議そうに私の名前を呼ぶ。

 私は意を決して本気の本番告白をした。
 予行練習より声が震えてて…でも、大好きを伝えたくて勇気を出したの。

 顔が熱い…きっとさっきの予行練習より顔が赤くなってると思う。
 ちらっと徹の顔を見ると呆然としていて固まっていた。


「あ、あの…徹?」
「なまえの好きな奴って…俺なの?」
「……信じてない?」


 微動だにしない徹に私は不安になって声をかけると徹は今起きたことが理解出来ないのか私に問い掛けてくる。


 信じてもらえない…よね。
 予行練習何回したんだよって感じだもんね……。


 私は信じてもらえてなさそうな気がして少し悲しくなって涙声になりかけてしまった。自業自得なのに…。


「俺もさ、さっき気付いたんだけど…なまえが好きみたい」
「え…?」


 徹が気まずそうに言葉を口にしていてその言葉が信じられなくて彼の顔を見るときっと私と同じくらい顔を赤くしていた。


「いや、昨日!なまえに好きな奴いるって聞いてからなんかこうモヤモヤしてて……さっきやっとわかった」
「…………。」
「俺も好きだよ」


 徹は私に信じてもらおうと必死に言葉を紡いでいて…でも、彼の真っ直ぐな目が本気を教えてくれていた。

 私は目頭が熱くなって声を出したら泣きそうになっていたら貰えると思ってなかった2文字を彼の口から貰えたのだ。


「うう…これ以上好きにさせないでよぉ、バカぁ」
「ぷっ、あはは…泣きすぎ」


 我慢出来なくなった私は涙を流してカッコよすぎる彼に文句を垂れると彼は笑いながら私の涙を指で拭っては頬に手を添える。

 そして、次の瞬間。
 彼の顔が近寄ってきていつの間にか唇が奪われていた。


「…っ!?」
「それはこっちのセリフだよ」


 私は顔をさらに真っ赤にさせて金魚のようにパクパク口を開けてると照れくさそうに徹は微笑むと私を抱きしめた。



告白予行練習
(私の音、聞こえてるかな?)
(俺の音、聞こえてるよね…)
((キミの音が心地いい))

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