お帰りさないと
「帰って来たら」続編
※暗殺教室と若干クロスオーバーです。
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(はぁ…あれから3年……経っちゃってもう29…)
日が沈みゆく中、なまえはぼーっとしながら街を歩いては3年前に勝手に言った自分との約束を思い出す。
(……どうしてるのかな…まさか死んじゃってないよね…?)
なまえは目線を落として嫌な考えが過っては否定するために頭を横に振ると彼女の背後からぽんっと肩に手を置かれた。
「きゃっ!…い、磯貝君!!」
「よっ!みょうじ、久しぶりだな」
突然肩に手を置かれたなまえは驚いて声を上げては後ろを振り返るとそこには懐かしい同級生…磯貝がいた。
彼はあの頃と変わらない爽やかな笑顔を見せながらなまえに声を掛ける。
「驚いた…職場この辺なの?」
「いや、営業に出ててさ。このまま直帰するところ」
なまえは目をぱちくりさせながら磯貝に問い掛けると彼は首を横に振って彼女の言葉を否定すると何故ここにいるのかの理由を述べた。
「そうだったんだ〜」
「みょうじは?」
「有給消化中〜」
磯貝の言葉に納得したなまえはふわっと笑いながら言葉を返すと今度は磯貝が彼女に問掛けるが、なまえは即答で困った顔をしながら答える。
「へぇ、そうだったのか…あ!じゃあさ、これから前原と片岡とカルマと渚と俺で飲むんだけど来ないか?」
「え、いいけど…急に私も入って平気?」
磯貝もまた彼女の言葉に納得するといい案を思いついたとばかりにこれから級友たちと飲むからと磯貝はなまえを誘うとなまえは少し不安そうな顔をしながら問いかけた。
「大丈夫大丈夫」
「んー…じゃ、行こうかな」
磯貝は安心させるように微笑みながら彼女の言葉に肯定するとなまえは少し考えてからお誘いを受け、2人でその目的地へと歩み始めた。
◇◇◇
「おー、磯貝こっちこっち…って、あれ、みょうじじゃん!久しぶり!」
「え、みょうじさん?」
「わー…みんな久しぶり」
「さっき道でばったり会ったから誘ったんだ」
居酒屋に入ると既にメンバーが揃っており、磯谷の存在に気が付いた前原が手を上げて居場所を主張すると磯貝の後ろに付いてきてるなまえの存在に気が付き、嬉しそうに声をかけるとまさかいると思っていない人物に他のメンバーもそちらへ目を向けた。
席に近寄るとなまえは嬉しそうに旧友に声を掛けると磯貝はなまえを連れてきた経緯を話すと片岡の隣に腰を下ろした。
「へぇ…レアキャラよく捕まえたね、磯貝」
「カルマ…」
「あはは、確かにレアキャラになってたかも」
驚きながらもカルマは磯貝を褒める言葉を掛けるがその言葉のチョイスに渚が困った顔をしながらカルマの左隣の席から突っ込みを入れる。
カルマは空いている自身の右隣の席をポンポンと叩くとなまえは笑いながらカルマの言葉を認めつつカルマの隣の席に腰を下ろした。
「手入れにも来ないしな」
「う……来ないんじゃなくて来れないんだけど」
「分かってるから安心しなよ」
前原がなまえにとって痛いところを付くとなまえはしょぼんとした顔をして弱々しく言い訳をすると前原と磯貝の間にいた片岡はウインクをして彼女を安心する言葉を投げ掛ける。
「そう言えばどうしてこのメンツで会うことになったの?」
「それは…」
「実は報告があってさ」
片岡の言葉にほっとしたなまえはふと気になっていたことを問い掛ける。片岡がちらっと磯貝の方を見て言葉に詰まると片岡の代わりに磯貝が彼女の問い掛けに答えた。
「何だ何だ?とうとう付き合うのか?」
「俺達、結婚することになったんだ」
「ぶはーっ!!」
ニヤニヤしながら前原がビールのジョッキを握ったまま冷やかすように問い掛けると磯貝からは前原の予想を上回る言葉を発すると前原は驚きで吹く。
「え、そうなの?」
「へぇ、おめでと」
「わー!お祝いだね!おめでとっ!」
渚も目を見開いて驚いて問い掛けると2人は照れくさそうに首を縦に振ったものだからカルマも少し驚いた顔をしながら祝福の言葉をかけたなまえも両手を目の前でパチンと合わせて嬉しそうに祝福の言葉を掛ける。
「ま、待てって!お前ら付き合ってたの!?」
「あ、いや、まあ…な」
「え、あ、うん…」
3人の反応と違い本気で驚き、報告についていけていない前原は声を荒らげて問い掛けると磯貝は頬を人差し指でぽりぽりとかきながら言葉を濁して肯定すると片岡も少し照れくさそうに頷いた。
「でも、お似合いだよね」
「うんうん、渚くんの言う通りだよ」
渚はふわっと笑って磯貝と片岡に言葉を掛けるとなまえは首を縦に振りながら嬉しそうに同意する。
「渚は茅野ちゃんとだし、杉野は神崎さん…スナイパー組に学級委員組で4組目だね」
「クラスメイトが結婚したのはそうなるね」
カルマはビールを1口飲むと元E組のメンバーで結婚した組を指で数えると渚がカルマの言葉に肯定した。
「磯貝に抜かされるとは…」
「私的には前原くんとひなたちゃんの5組目も希望しますね」
「ああ、それはいいな」
少しショックを受けた顔をしてボソリと呟く前原になまえは挙手しながら彼女の希望を言うと磯貝もなまえの希望に同意する。
「俺のことはほっとけ!…そーいうなまえはどうなんだよ」
「へ?」
「付き合ってる奴とか結婚の話とか」
前原はジト目で突っ込むと無理やり話を変えるようになまえに問いかけるとなまえの口からは間抜けな声が出た。
前原はじーっと見つめて追い詰めるように問いかける。
「あんまりみょうじさんから聞いたことないよね」
「確かにな」
「どうなの?」
前原の言葉に片岡も納得したように言葉を零すと磯貝も同意し
、渚が柔らかくなまえへ問いかけた。
「ノーコメントで」
「それ無し」
「えー、カルマくんだってそういうの話さないじゃん」
なまえはにっこり微笑んで黙秘するとばかりに即答で言葉を返すがその言葉にカルマは即答で却下した。なまえは即答で却下されると思っていなかったのか眉下げて声を上げると話をすりかえるようにカルマに話を振る。
「俺、相手いないし」
「じゃ、2人付き合っちゃえば?」
「「は?」」
カルマはしれっと答えてまたビールを1口飲むと前原は思いついたように2人に提案をするとカルマとなまえは間抜けな顔をして一言言葉を零した。
「お似合いかもな」
「2人が問題なければ、ね」
「あはは、…」
磯貝も前原の言葉に同意すると片岡はふっと笑って一応逃げ道を作っている姿を見た渚は何も言わずただ眉下げて苦笑いしていた。
「……だって、どーする?」
「どーする?って言ったって……へ?」
カルマはニヤっと笑いながらなまえに前のめりになってわざとらしく問い掛けるとなまえは困った顔して言葉を返そうとしたが彼女の目の前のテーブルにガンっと音を立てた左腕が見えて素っ頓狂な声を上げる。
「……」
(ふる、やさん……?)
「え、誰?」
左腕の主は顔を俯いていて全く表情が見えないまま黙っていたが、なまえは左腕の主…降谷の姿を見て目を見開いて驚く。
なまえは3年連絡を取りたくても取れない…別れざるおえなかった大好きな人が目の前にいて動揺していると突然現れた人物に前原は眉間に皺を寄せて問い掛けた。
「…悪いが連れて帰らけてもらう」
「きゃっ!!え、ちょ、ちょっと待って…!!」
やっと言葉を発した降谷は一言言いながらなまえを担ぎ上げるとなまえは彼のその行動に驚いて言葉を掛けるが降谷は彼女の言葉を無視して彼らに多めのお金を置いて出ていった。
「……何だったんだ」
「…鈍いねぇ、前原は」
「んだと?」
なまえが連れ去られたのを呆然と見ていた前原はポツリと言葉を零すとカルマはおちょくるように言葉を前原に掛ける。
馬鹿にされたように感じた前原は眉間に皺を寄せてカルマを睨んだ。
「どーみてもみょうじさんの相手でしょ」
「よく分かったわね」
「まあ、あれだけ殺気出されたら……」
「嫌でも分かるデショ」
カルマはまた平然としてビールに口付けて言葉を更に返すと片岡は驚いた顔をしてカルマに言葉をかける。カルマの代わりとばかりに渚が頬を引き攣らせて困った顔をして言葉を途中まで紡ぐとカルマは呆れた顔をして渚の紡いだ言葉の続きを言い放った。
「それにしてもイケメンだったわね」
「外人か?」
「もしかしたらハーフかも」
納得した片岡と磯貝はああ、なるほどとばかりな顔をしては何事も無かったかのようになまえの彼氏と思われる人物の用紙を褒めると渚も会話に加わる。
「はー!?」
「うるさいよ、前原」
ついていけない前原は大声を上げて驚くがカルマによって怒られてしまった。
◇◇◇
「……」
「……………」
(この思い空気は一体…)
有無を言わされずにただ黙って降谷に付いてきたなまえが辿り着いた場所は降谷の自宅だった。
しかし、先程から機嫌の悪い降谷の重い空気になまえはいたたまれなくなりちょこんとソファに腰をかけていた。
「…あの男は何だ?」
「え?」
「あの赤髪の男だ」
重い空気を壊したのは降谷の方だったが、彼の問い掛けになまえは首を傾げていると降谷はまた特徴を言いながら同じ問い掛けをする。
「何って…同級生だけど」
「本当だろうな?」
「ホントです!」
彼の問い掛けに戸惑いながらなまえは答えるが降谷は信じられないのか念押しの確認のように問い掛けると彼女は信じてくれない降谷にむっとしながら言葉を返した。
(というか、3年振りに会って言うセリフがそれなの!?)
「…君に会いに行こうと思っていたら君を見つけた」
「……。」
不機嫌に問い詰めてくる降谷になまえは3年という月日が流れて久しぶりに会う彼から出た言葉に驚き、心の中で文句を言う。彼は苛立った顔をして前髪をクシャとかきあげて言葉を零すとなまえは黙って降谷の言葉に耳を傾けた。
「何故か親しげに男と2人で居酒屋に入っていき、中に入ったら赤髪の男と付き合うとかの話になっていた」
「たまたま同級生に会って飲み会に誘われただけですし、カルマくんは冗談に乗っただけです」
「そんなの分からないだろ?」
眉間に皺を寄せてなまえを睨むように見つめて言葉を紡ぐ降谷になまえは事情を話すが彼はまた信じられないというような問い掛けの言葉を返す。
「…私、ただいま独り身なんですけど問題ありますか?」
「待ってるって言っただろ」
「でも、別れろって言われて次の日の朝…別れたじゃないですか。目を覚ましたら貴方はいませんでした」
降谷が信じられないという態度を見せたことによりなまえも信じてもらえないことに売り言葉に買い言葉を返すように問い掛けると降谷は3年前に言った彼女の言葉を掘り出す。ムキになってるなまえは更に言葉を返すが瞳は揺らいでおり悲しみを帯びていた。
「じゃ、あの言葉は嘘か」
「…ホントに勝手なんだから」
「なまえ?」
降谷は問い詰めるようになまえに断言的な言葉を掛けると彼女は瞳を潤ませて咄嗟に俯いていて言葉を零す。その彼女の様子に彼は首を傾げて彼女の名前を口にした。
「…急に別れろって言ってくるし、急にいなくなるし、急に現れるし!」
「……ふふ」
「何笑ってるんです…!?」
なまえは涙を堪えて今まで貯めていた思いを段々と出していく。ガバッと降谷に顔を向けて目にいっぱいの涙を貯めて睨みながら文句を言うとその彼女の言動に目を見開いていた降谷は思わず笑が零れてそれに対してまたなまえは怒ったように問い掛けた。
「……すまなかった」
「……………遅いですよ…もう〜〜…」
「ああ、待たせたな」
降谷は眉を下げてなまえをそっと抱き寄せると謝罪の言葉を彼女に掛けた。3年振りの彼の温もりになまえは我慢していた涙は頬を伝わり流れると降谷に文句を言って縋り付くように抱きしめ返す。
彼は困ったように笑って彼女に言葉を掛けると抱き締める力を強めた。
「……終わったんですか?」
「ああ…全て終わった」
なまえはふと過ぎった不安にそっと顔を上げて降谷に確認するように問い掛けると彼は優しく微笑んで彼女の涙を親指で拭って頬に手を添えると首を縦に振って肯定した。
「勝手に待ってた私はまた貴方の彼女になれますか…?」
「いや、それは無理たな」
「っ、……だったら、なんで…」
(こんなことするの…?)
なまえは添えられた手に擦り寄っては自分が勝手に言った言葉について問い掛けると彼は優しい目で彼女を見つめながらなまえの言葉に否定する。
降谷から出た言葉になまえは言葉が詰まり、悲しみを帯びた声音で問い掛けた。
「……ああ、無理だ…なまえには降谷になってもらう」
「え…?」
「結婚しよう」
降谷はなまえの顔に自身の顔を近づけてまた"無理"だと言っては彼女に甘い言葉という名の爆弾を投下すると彼女は彼の言っている意味が分からず固まって目を見開く。
降谷は彼女の表情にふっと笑ってプロポーズをしたのだ。
「……」
「今日は泣いてばかりだな」
「だっ、誰が泣かせてるんですか〜っ!」
なまえはまさかプロポーズをしてもらえるなんて思っていなかったのか止まっていた涙はまた静かに頬を伝わって流れる。
頬に手を添えていた降谷の手は彼女の涙で濡れると彼は困ったように笑って言葉を掛けるがなまえは掛けられた言葉に眉を寄せて泣きながら怒って言葉を返した。
「俺か」
「貴方しかいません!!」
「はははっ」
泣きながら怒るなまえを見てふっと笑う降谷に彼女はまた言葉を投げかけると彼は声を出して笑った。
「次に別れようなんて言われても離れませんよ?いいんですか?」
「離すつもりは無い……返事はくれないのか?」
「分かってるくせに…」
「なまえの口から聞きたい」
笑っている降谷に眉を下げてなまえは不安そうに問い掛けると彼の口から出た言葉は彼女が欲しい言葉だった。降谷は返事を催促するとなまえはむっとした顔をしてぽつりと言葉を零すと彼女の頬を両手で包むと顔を上げさせてじっと見つめて言葉を返す。
「…ずるい人」
「結婚してくれないか」
「………はいっ」
なまえは顔を背けられない状況に加えて自分が言う言葉を降谷は分かっているのにも関わらず問い掛けてくることに拗ねたように言葉を零すと降谷はもう一度プロポーズをした。
その言葉になまえは一雫目から涙を零しては笑顔で返事をすると降谷はそっと彼女の唇に口付けを落とした。
「……なまえ」
「ふふ、お帰りなさい…零さん」
唇を離すと降谷は愛しそうになまえを見つめて彼女の名前を呼ぶとなまえはふわっと微笑んで3年越しで彼の下の名前を呼んだ。