If…-幼馴染だったら-
誰もが身支度や家事で忙しい朝。とある部屋の一角にはベッドにうつ伏せで眠っている赤髪の少年と別途の傍で腰に手を当てて眉間に皺を寄せている少女がいた。
「も〜!カルマ!起きなよ!」
「んん〜…………」
「待って、今、目開けたよね!?はーやーくおーきーてー!!」
少女は眉をぴくぴくとさせながらベッドで眠っている赤髪の少年。
カルマの掛け布団を奪い取って大声で彼を起こす。
彼は眉を寄せて薄っすら目を開けて声を出している人物をちらっと見るとまた目を閉じた。
なまえは目を細めながら、目を一瞬開けたカルマに突っ込みを入れては彼の肩を揺さぶった。
「あのさ…もう少し静かに起こせないの?」
「……静かに起こして起きてくれるの?」
「それはなまえの腕次第デショ」
掛け布団を取られて肩を揺さぶられたカルマは怪訝そうな顔をしながら、寝起きの掠れた声でわざわざ起こしに来たなまえに不躾な問いかけをすると彼女は頬を引く付かせながら、冷静な声音で問いかけ返す。
しかし、彼はけろっとした顔をしながら、彼女の問いかけに答えた。
「なんでこっち側で決まるのよ、というかわざわざ起こしに来てあげてる幼馴染に感謝したら?」
「はぁ〜……そんなキャンキャン吠えないでよ」
「私、犬じゃないし」
彼の平然とした答えにイライラしてきたなまえは棘のある言い方で彼に言葉を返す。
カルマは深いため息を付き、起こしに来てあげた彼女に対してうるさいとばかりに文句を零した。
彼女はカルマに言われた文句に目を逸らして拗ねたようにポツリと言葉を呟く。
「お手」
「怒るよ?」
「ははっ、怒っても怖くない」
カルマは口角を上げて拗ねている彼女を見ながらうつ伏せだった体制を少し体を起き上がらせ、ベッドに両肘を乗せては片手を出してまるで犬扱いするように言葉を掛ける。
なまえは流石に犬扱いされることに怒りが湧いたのか。
先程より更に冷たい目で彼を見下ろしながら、問い掛けると彼女の反応が面白かったのか。カルマは笑って彼女の言葉をもろともせずにさらりと受け流した。
「はいはい、分かってますよーだ!早く布団から出なよ……っ!?」
「………隙多すぎ」
「…何バカ言ってんの?早く離して、学校遅れちゃう」
受け流すカルマの姿になまえは目を閉じて彼に何言っても無駄と諦めたように言葉を吐くと彼女は腕を引っ張られて思わず声にならない驚きの声を上げた。
彼女は呆けた顔をしたまま目の前にいるカルマを見上げているとなまえを組み敷いているカルマは呆れたように溜息を付いて彼女に毒を吐く。
彼女ははっとしながら眉間に皺を寄せてカルマに憎まれ口を叩きながら退けとばかりに彼の胸板を押した。
「えー…俺、まだ眠いんだけど」
「どーせ夜更かししてたんでしょー」
「流石、幼馴染。よく分かってんじゃん」
カルマは胸板を押されて彼女の上から気だるそうに退くと起き上がってベッドに腰掛けるとなまえは自身の上からカルマが退いたのにほっとしながら呆れたように眠い原因を当ててみせる。
彼女がカルマが眠い原因を当てると彼は不敵に微笑んで彼女を称賛した。
「はいはい…それとあーいうこと、本トやめて」
「なーに、照れてんの?」
「照れてない。こういうのは好きな人にしなよ…全く…」
「………」
なまえは起き上がってカルマと同じようにベッドに腰掛けると呆れたように返事をして押し倒したことを忠告すると彼はへらっと笑いながら彼女に問い掛ける。
なまえは首を横に振って軽率な行動をする彼に呆れたように言葉を吐くが彼女の答えに納得いっていないカルマは眉間に皺を寄せて機嫌を損ねたように黙っていた。
「……さっさと彼女作って彼女に起こして貰ってよ」
「俺が彼女作ってもいいんだ?」
「…っ、そーね。私の手間が減るからいいかもね」
そんな彼の様子に気が付いていないなまえは更に追撃の言葉を吐くとカルマはいつもより低い声音で彼女に問い掛ける。
なまえはその声の低さに少し驚いた顔をするが何ともなさそうにカルマの問い掛けに答えた。
「……本ト、俺のこと意識してないわけね…」
「………何か言った?」
「…………」
1oもカルマを意識していない彼女の言動に彼は俯いてポツリと言葉を零す。
なまえはカルマが何を言っているのか聞き取れずに耳を傾けて彼に問い掛けるが彼は見えない表情で黙り込むと腕を引っ張り、彼女を抱き締めた。
「っ!…だから、こういう事やめてって…んっ!?」
「……あーあ、気が付くまで言うつもりなかったけど作戦変更」
「は、はあ!?」
抱き締められたなまえは驚いて目を見開くとすぐ彼の腕の中から逃れようと胸板を押して言葉を紡ぐがそれは彼の唇によって塞がれてしまった。
そっと唇が離れると彼女は口をパクパクさせているとカルマは眉下げて呆れたように言葉を紡ぐ。
彼が何を言っているのか分からないなまえは顔を真っ赤にさせて驚きの声を上げた。
「こんなにいつも態度に出してるのに気が付かない鈍感な幼馴染持った俺も可哀想だよね」
「なっ…」
「こんだけ分かり易く俺のもんだってアピールしても男は寄ってくるし」
カルマは眉間に皺を寄せながら、頭をガシガシ掻いて自分が彼女に抱える気持ちに全然気が付かない幼馴染を持った自身に憐みの言葉を掛けて深いため息を付く。
彼女は彼の言葉に言葉を詰まらせるが、彼は自身の膝に肘を乗せて頬に手を当てながら、不機嫌そうにぼやいた。
「……カルマのものじゃないんだけど」
「彼女作れって言ったよね」
「い、言ったけど…」
なまえは目を逸らして彼の言葉に否定するとカルマは立ち上がってカーテンを開けながら言葉を紡いだ。
彼の言葉になまえは言葉を詰まらせながら彼の言葉に肯定すると戸惑った目をしてはカルマを見つめた。
「さっさと俺のこと意識して彼女になってもらうから覚悟してなよ」
「っ!!!」
カルマは振り返って不敵に微笑みながら、手を銃の形にしてなまえに確信のある言葉を掛けると彼女は日に照らされながら宣戦布告をする彼の姿に頬を赤く染めては鼓動を高鳴らせた。
IF…〜もし、彼が幼馴染だったら〜
―突然の宣戦布告をして
私の心を乱して日常を変えるんだろう―
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