即合格の

キミを振り回す人に』の続編

※若干、コナンとクロスオーバーさせてます。

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「ねぇねぇ、なまえ」
「……なあに?」
「あれ、何よ」


 教室で5分休みと言う名の勉強が行われているA組教室の中、勉強せずに話している女子生徒2人。

 なまえと彼女の友人は席に着いて向かい合っていると彼女の友人はなまえへ声を掛ける。

 なまえが返事すると彼女の友人ははある人物を指差して"なにか"を聞いた。


「あれ…??ああ…あれね」


 指差された方向を見るとそこには顔を真っ赤にさせた学秀が固まっており、その事に納得する。


「あんた、浅野くんに何かしたの?」
「んー…ちょっとした事故があっただけ」
「その割に素っ気ないわね。この間、私にアタック宣言してたくせに。怖気付いた?」


 友人は呆れた顔をしてなまえに問い掛けると彼女は学秀をちらっと見て観察しながら事の始まりをぼかして答えるがその姿は素っ気ない。

 そんななまえに違和感を覚えた友人は更に彼女に問いかける。


「まっさかぁ…たださ」
「ただ?」
「毎回私を見つける度に顔を真っ赤にして逃げる遊びをされると見てたくなる」


 なまえは彼女の問いかけに友人の方を向いてふわっと笑って否定すると言葉を言いかける。

 その言葉を繰り返して首を傾げる彼女になまえは不敵に…綺麗に微笑んでとんでもない言葉を投下した。


「……浅野くんに同情するわ」
「だって、可愛くない?なにあの遊び」
「遊びじゃないと思うわよ、あれ」


 そんななまえの姿を見た友人は頬を引くつかせては学秀に同情するが、なまえは学秀が顔を赤くして固まっている姿は可愛いらしくそれの同意を彼女に求める。

 しかし、友人は呆れた顔をしてぼそっと否定の言葉ではなく"遊び"と表現した方の否定をしたのだった。


「あ!ねぇねぇ、今日の放課後…」
「パス。塾」
「うー…つまんない」


 なまえはむっとした顔をしてはすぐに思い付いたように友人を誘おうと声を掛けるがすぐさま予定があると言葉を遮って断られてしまった。

 友人の言葉にまたなまえは拗ねた顔をして机にうつ伏せになって駄々を捏ねる。


「悪かったわね、あんたと違って頭の出来が悪いのよ」
「私も良くはないもん、運がいいだけだもんね」
「全く羨ましいこと」


 そんな彼女を見て友人は呆れたように言葉を返すとなまえの機嫌は良くならず口を尖らせて頭が良くないと否定する。

 その言葉に友人は深いため息をついてなまえの頭をぽんぽん撫でて宥めていた。



◇◇◇



「全く…損だよ、美味しいお店紹介してあげようと思ったのにさぁ」
「あはは、気に入ってもらえて良かったです」
「今日も幸せなレモンパイだったぁ」


 放課後、友人を誘っていこうとしていた喫茶店に一人で来て食べきっていたなまえはここにはいない友人に文句を垂れていた。

 その言葉を聞いていた喫茶店ポアロのバイトである安室透は彼女の言葉に笑って言葉を返すとなまえは幸せそうに頬を両手で包んでうっとりデザートの感想を言う。


「くす、本当に美味しそうに食べてくれるので作りがいがありますよ」
「ほーんと、安室さんを一家に一台置きたい…安室さんのデータが入ったAIとか発売されないかなぁ」
「そ、それは難しいと思いますよ…おや、なまえさんの知り合いですか?」


 皿を下げようとなまえのテーブルに来た安室はふと笑って彼女に言葉を掛けるとなまえはテーブルに肘を付けて夢物語を語り始める。

 その言葉に安室は予想外の言葉だったのか困った顔をして笑って言葉を返すと窓から眉間に皺を寄せてこちらを睨む人物をちらっとみてはなまえに問いかけた。


「ん?……あ、うん。そうです」
「…すごい顔されてますね、彼氏さんですか?」
「ふふ、私が振り回したい人です」


 安室の視線の先に目を向けたなまえは彼の言葉に肯定すると安室は困ったように眉を下げて問いかける。

 なまえは今まで自分を見ると顔を真っ赤にさせていた人物が眉間に皺を寄せて怒っている姿を見て思わず笑って安室の問いかけに悪戯笑顔で答えた。


「全く…怖い子だな、君は」
「ふふ、光栄です…もっとのんびりしたいけど、振り回しに行くので会計お願いしますっ」
「わかりました、…程々にしてあげてくださいね」


 なまえの言葉に安室は引く付かせて思わずぽつりと言葉を零すと彼女は褒められたとばかりに微笑んで言葉を返しては安室に伝票を渡して会計をお願いする。

 彼女から伝票を受け取った安室は伝票を口元に当てて外で睨んでいる少年のことを労わるようになまえに忠告をしたのだった。



◇◇◇



「…あっ、あっさのーくーん!」
「!!……何だ、みょうじさん」
「機嫌わるわるだね、どーしたの?」


 会計を終わらせたなまえは外に出ると先ほどまで突っ立ていた人物がさっさかと歩き出しているのを見て彼の後ろから大きな声で彼…学秀の名前を呼ぶとまさか呼びかけられると思っていなかった彼は肩をびくっとさせては先程睨んでいたようなことがまるで嘘のように平然を装って振り返って彼女の名前を呼ぶ。

 しかし、平然を装えていない学秀になまえは肩をすくめて笑っては問いかけた。


「別になんでもない」
「ふーん…そういえば何でポアロの前にいたの?」
「っ、たまたま…通りかかっただけだ」


 学秀はふいっと顔を背けて言葉を返すとそれ以上深堀することなく話を変えて別の問いかけるなまえは首を傾げて彼を見る。

 学秀は目を少し見開いては目を閉じて言葉を返しながら止めていた足を動かして再び歩き出した。


「へぇ〜、あ!じゃ、オススメしとくね!あそこすごーく美味しいんだよ!」
「あの客寄せパンダなんだ」
「へ?あー、安室さん?最近入ったバイトさんだって」


 なまえは嬉しそうに笑いながら学秀にポアロという喫茶店を進めると彼は先程彼女が顔の整った店員を思い出しては眉間に皺を寄せて安室のことを聞き出す。

 なまえはまさかそんな事を聞かれると思ってなかったのか素っ頓狂な声を上げては彼の問いかけの意図を理解して安室について答えた。


「……。」
「毛利小五郎の弟子もやってるらしいよ〜、すごいねぇ」
「そうか」


 なまえが答えると学秀は黙ったまま彼女の声に耳を傾き続けているとなまえは更に安室の情報を学秀に提供する。

 その姿に学秀は苛立ちを覚えて話題が終了とばかりに一言で彼女に言葉を返した。


「……ねぇ、もしかしてヤキモチ妬いてる?」
「なっ!そんな訳ないだろ!?」
「…………面白いくらい真っ赤だよ、浅野くん」


 明らかに不機嫌な学秀になまえは彼の顔を覗き込んで問いかけると彼女に掛けられた言葉に驚いては目を見開いて否定するが、彼の頬は誰もがはっきりと分かるほど真っ赤に染まっており、なまえは目をぱちくりさせてはその事実を彼に教える。


「っ、………何なんだ、君は」
「ん?みょうじなまえだけど?」
「そういうことじゃない!!」


 学秀は言葉に詰まってずんずんと歩きながら突然の言葉を吐くとなまえはその意図が分からず何故か自身のフルネームを答えながら首を傾げると眉間に皺を寄せて学秀は彼女の答えに否定した。


「えー、どういうこと?」
「……ガンガンアタックすると言っていた」
「…うん、言ったね。それが?」


 ずんずんと歩き出す学秀について歩いていたら彼女たちはいつの間にか人通りの少ない道へと歩いており、なまえは困ったように眉を下げて学秀に問いかけると彼はぼそっと小さく以前宣戦布告をしたなまえの言葉を口から零した。

 彼の言葉を聞き取ったなまえは彼の言葉に肯定して、それがどうしたとばかりに問いかける。


「まだされていない」
「…ふふ、されたかったの?」
「っ、そうは言っていない」


 少し顔を俯きながらぽつりと零した学秀の言葉になまえは思わず笑って彼の顔を覗き込みながら問いかけるが、その顔の距離の近さに学秀は一歩後ろに下がっては彼女の言葉を否定した。


「私を見かけるだけで顔を赤くして固まってたのに…」
「…………」
「私とのキス、思い出しちゃったんでしょ?」
「っ!!!」


 なまえは後ろに一歩下がった彼に距離を縮めるように一歩近づきながら口角を上げて言葉を掛けると学秀は黙ったまま彼女を見て一歩後ろに下がる。

 なまえは問い詰めるように彼が下がった分また近寄りながら問いかけるとその言葉が図星だったのか学秀は目を見開いて言葉に詰まらせた。


「それにアタックしてないようでちゃんとしてたよ?」
「は…」
「浅野くんが私を見ると真っ赤になって固まるから私のことを意識しまくる様に視界に入ってたし」
「なっ…」


 なまえは目を細めて微笑みながら学秀がアタックされていないとぼやいた言葉に対して否定すると意味が分からないとばかりに彼は眉を顰める。なまえはわざと彼の視界に入るように過ごしていたことを明かすと学秀は目を見開いた。


「つまり、私から逃げようとする遊びを実行している時点で貴方は私の術中にハマってたってわけ」
「…………」
「ふふ、貴方を振り回す人になれてるかな?」


 学秀の表情に満足そうに微笑みながらドヤ顔でなまえは彼に言葉を掛けると言葉お失った学秀は黙ったまま彼女をじっと見つめる。

 その表情にまた笑いが零れたなまえはふっと笑い掛けながら問いかけた。


「許さない…」
(流石に怒っちゃった、かな)
「うん、怒らせたのならごめんない…」


 学秀は低い声で一言をなまえに言い放つと流石に怒ったと思ったのか彼女は眉を下げて一歩引き下がって彼に謝罪の言葉を言う。


「責任取ってもらうからな」
「うんうん…って、へ?」
「僕を振り回して意識させるなら僕の恋人にならないと許さない」


 学秀は意味深な言葉を零すとなまえは怒っていると思って彼の言葉に頷いていると彼の意図が掴めずきょとんとした顔をして彼の顔をじっと見つめると彼はむっとした顔をしてなまえに顔を近寄らせて断言をした。


「………それって、推薦状ですか?」
「即合格のな」
「浅野くん、大好きっ!」
「なっ、急に抱きつくな!」


 なまえは学秀の言葉を頭の中でぐるぐる考えて出た答えを口に出して問いかけると学秀はふっと笑って肯定の言葉を返す。

 その彼の言葉になまえは嬉しさのあまりに好意の言葉を述べて学秀に抱きつくと彼は顔を赤くしては彼女を引き離そうとしたが、引き離そうとする手を止めて彼女の肩に手を置いた。


「急じゃなきゃいい……ん…!」
「……。」
「んん!んー!!」


 なまえはへらへら笑いながら言葉を返そうとするが、学秀の顔が迫ってきて唇を塞がれてしまい目を見開くと薄く口を開けてしまった。見逃さなかった学秀は薄く開いた唇に舌を入れるとなまえにとって予想外の彼の行動に声を出そうとするが彼の唇でふさがれているため、声がこもってしまう。


「………この間の仕返しだ」
「ふわぁ、ずるひ…」
「くす、顔真っ赤だぞ」


 そっと唇を離した学秀はふっと笑って先日やられた仕返しをしてすっきりした顔をしているとここまでの行動をすると思っていなかったなまえは顔を真っ赤にさせて彼の服をぎゅっと握ってクレームを言うと彼はふっと笑って仕返しとばかりに以前掛けられたような言葉を返した。


「うー…不意打ちだもん、そうなるよ…あ、ねぇねぇ、何で私の気持ち、受け入れてくれたの?」
「…君になら振り回されてもいいと思っただけだ」


 まだ引かない顔の熱を感じながらもなまえは拗ねたように言葉を返すとふと気になったことを学秀を見上げて問いかける。上目になっているなまえを見て少し照れた顔をした学秀は彼女の問いかけに答えるとなまえは嬉しそうにふわっと微笑んだ。



即合格の

―恋人の推薦状を頂きましたー


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