惹かれる理由は

「きっと僕は、どうしようもない恋をしている」


 唐突に宣言をする浅野学秀を目の前にしたなまえは教室で自習をしていたのだろう。

 なまえは彼の言葉に驚いて手にしていたペンをポロっと手元から机へと転がした。
 

「それでどんな恋をしているのでしょうか…?」
「まず何故その人物を好きになったのか分からない」
「んん?好きな人ディスっちゃうの?」


 なまえはきょとんとした顔をしながら彼の突然の言葉に敬語で学秀に問いかけると彼は頭を抱えてぼそりと言葉を零すとその言葉を聞き取ったなまえは学秀の言葉に眉を潜めて彼に突っ込みを入れる。


「…………はあ…何故…」
「待って、何で私を見てため息を付くのよ!?」
 

 学秀はじっとなまえを見ては深いため息を付いてまた自分の中に眠っている謎にKと叔母を零すが、それが納得いかないなまえは少しだけ声を荒げて彼に突っ込みを入れた。


「ところで君は何をしているんだ」
「自習してたら貴方に邪魔されたんだけど、浅野君」


 学秀は机に転がっているペンを手に取って、なまえに差し出すと教室で1人何をしているのかと問うと彼女は呆れた顔をしながら彼の問いかけに嫌味っぽく答えると差し出されたペンを受け取った。
 

「本当に可愛くないな、君は」
「ええ、それが売りなもので」
 

 可愛げなく学秀が邪魔したとばかりに返答するなまえに学秀は眉をぴくっと動かして言葉を返すと彼女はにっこり微笑んで売り言葉に買い言葉を返す。


「…そこ、間違ってる」
「え、うそ。どこ」
「ここだ…この問題はこっちの文法を使うんだ」


 学秀はふうと息を吐いては彼女の解いていた問題集に目を向けると彼女が解いていた問題に間違いがあり、そこを指摘するとなまえは驚いた顔をして問題に顔を向ける。

 学秀は間違っている部分を指を差して、また別で開いていた教科書に書かれてれいた文法を指差して解き方を教えた。


「あ、なるほど…ありがと」
「そんなことも分からないのにも拘らず、君はA組か」
 

 学秀の言っていた意味を理解したなまえは彼にお礼を言って書いていた文字を消しゴムで消して、正しい文法を書き始めると学秀は呆れたように彼女に毒を吐く。
 

「あはは…来年はE組行きかもね」
「……ない」
 

 学秀の言っている通りと思っているのかなまえは否定することもせずに苦笑いしながら来年…中学3年生になる頃の未来の話をすると学秀は目を見開いて驚いては小さく言葉を紡いだ。
 

「え?何が?」
「君は来年もA組だ」
「…パパに頼んでくれるの?」


 彼の言葉が聞き取れなかったなまえは学秀の方へ耳を傾けて問いかけると彼はまだ不安定な未来にも拘らず確信のある言葉をなまえにかける。

 彼の確信のある言葉になまえは目をぱちくりさせるとふと思いついた案に学秀に問いかけた。


「そんなことするわけないだろ、僕が教える」
「……へぇ、それは光栄だ事。浅野せんせ」
 

 彼女の言葉に呆れた顔をして彼女の問いを否定すると学秀は真面目な顔をして彼女の勉強を見ることを提案する。

 まさかそんな提案をされると思っていなかったなまえは驚いた顔をしてはわざとらしく彼を“せんせ”と呼んだ。


「だから、E組には行かせない」
「…ねえ、浅野せんせ。知ってる?」


 学秀はじっとなまえを見つめては3年になった時にE組へ行かせないと断言するとなまえはふっと笑って机に両腕を乗せて前のめりになって問いかける。


「何をだ。君は相変わらず目的語がない」
「何故と思う相手に惹かれる訳」
「…それが分かれば苦労しない」


 彼女の問いかけに眉を寄せて呆れたように言葉を返すと彼が最初に説いていた彼の抱えていた議題を口に出すと呆れた顔をして言葉を返した。


「それはね…遺伝子レベルで惹かれるんだって」
「……。」
「だから、何故その人なのか、とか考えるだけ無駄…なーんだって」


 なまえは口角を上げて面白そうに知った情報を彼に伝えると学秀は彼女の言葉に目を見開く。

 なまえはそんな彼に構わずに机に両手を付いて少し立ち上がると彼の唇に口づけを落とした。
 

「……な、なにを…」
「んー…遺伝子レベルでもともと惹かれちゃってたから」
「っ、…だから、僕の思い通りにならない君なんて苦手だ」
 

 学秀は目を見開いたまま言葉に詰まらせているとなまえは不敵に微笑んで言葉を返す。

 学秀は彼女の言葉に少し頬を赤く染めてそっぽ向くと憎まれ口を叩くいた。


「ふふ、それは光栄ね……んっ!」
「……やられっぱなしは好きじゃない」
「ふふ、知ってる」


 なまえは学秀の言葉にまた嬉しそうに微笑んで言葉を返すと仕返しとばかりに学秀から彼女の顔を引き寄せて屈ませると口づけを落とす。

 頬を赤くさせたまま素っ気なく言葉を彼女に掛けるとなまえは学秀から伝染したかのように頬を赤くさせて嬉しそうに微笑んだ。



惹かれる理由は

―遺伝子に組み込まれてるらしい―


Request 2018.06.30
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