目覚めたら、其処はよく見知った二次元ワールドの世界でした



※ゲーム本編の主人公≠夢主ちゃん。
※夢主は、“一人称が俺っ娘なノンバイナリー女主シリーズ”設定の子です。
※自己投影色強め且つ癖強めの傾向有り。
※尚、pkmn剣盾未プレイのニワカ勢な人間が実況動画やら二次創作から得た知識のみで書いたお話です。故に、細かい部分には生温かい目でスルー願います。
※その他、個人的趣味や性癖、捏造諸々で構成しております。飽く迄も自己満足で書いた代物ですので、地雷等の配慮をしておりません。もし仮にうっかり地雷ネタを踏み抜いたとしても、その時は静かにお爆ぜ遊ばせくださいまし。
※この時点で苦手と判断した方は回れ右で自己回避。自己防衛はしっかりとね。全て自己責任での閲覧をお願い致します。無理閲覧はダメ絶対、お姉さんとのお約束なんだぞ!
※以上を踏まえた上で、どうぞ。


 自由になりたい、と願った事がこれまでにも何度となくあった。けれど、同時に其れは叶わぬ願いだとも分かり切っていて、心の奥底ではずっと燻らせていたけども、現実的ではない望み故に諦めていた。だが、現状はどうだ。目に入る世界は、自由を象徴するかの如く澄み渡った青空に何処までも広い緑の生い茂る原っぱだった。
 其処で思った。
「誰もいきなり大草原にほっぽり出されるとは思ってねぇ―んだわ……」
 大草原(笑)じゃない方のリアルガチな方の大草原が目の前に広がっていた。いや、この光景見て第一声に「やったー! 自分は晴れて自由の身だー!! シャバの空気は美味えなヒャッホーイ!!」となれる訳が無い。もし仮にそんな奴が居たなら頭の正気度疑うレベルでやべぇ奴認定するわ。だけども、現実として目の前に映るのは兎に角だだっ広い草原で、空の青と地面の緑しか色が分からない。地平線は遥か彼方先の向こう側である。いや、何で。何がどうしてこうなった。
「何で起きたら視界に映る全てが大自然と化しとるんや……?? 誰か嘘だと言ってくれよ、バーニー……っ!」
 問いかけたところで返ってくる返事など一つも無いどころか、辺り一面草しか生えてなくて人っ子一人見掛けやしないどころか、人が居る気配すらしないってどういう事。何時いつ自分は違法的な裏社会の人間達にドナドナ(隠語)されてしまったのか。いつものように自分の家のいつも寝ている自室の布団でスヤァしてからの記憶しかないし、其れが此処までに至るまでの最後の記憶だ。記憶に疑われる以前の問題が起こっているの何で。リアルガチに“此処は何処、私はだぁれ”状態に陥りかけているんだが、マジで此処何処。SANチェックのお時間です、やってる場合じゃないのよ。漏れ無く其処は正気度失ってからの発狂コース入りする未来しか見えないのよ。頼むから誰か人来て頼む、最悪人じゃなくても良いから人工物或いは生き物来てくれ精神メンタルがキャパオーバーからの爆発四散起こして死にそうだから……っ。
 己の切な願いは届いたのか、突如何も気配の無かった空間に自分以外の立てる物理的な音がして、大袈裟に肩を跳ねさせて音の出所を勢い良く振り向く。何なら、口からも漏れ無く情けない短い悲鳴がまろび出ていった気もしなくもないが、現状気にしていられる余裕も無かった。
 振り向いた先には、何だかふわふわと丸っこい姿をした生き物が居た。草叢からヒョコリと顔を覗かせて、此方の存在に気付き、不思議そうに首を傾げている。見たところ、ヒツジ山羊ヤギのような生き物のようだ。体の大きさから察するに、まだ子供サイズだろうか。モコモコふわふわとした毛皮に包まれたその生き物は、己へ近付いてくるとふんふんと匂いを嗅いで、此奴は安全かどうかの判断を下しているようだった。危害を加えるつもりは一切御座いませんと証明する為に、己という身一つ以外何も持っていないと両手を上げて降参ポーズを取れば、“此奴は大丈夫な奴だ”と判断したらしく、甘えるようにもふもふとした身を擦り寄せてきた。控えめに言って可愛さの権化。
 普段、野良猫達にも目が合った瞬間逃げられるようなタイプの人種であったが故に、動物との触れ合いは数える程しか経験が無かった。その殆どが、友人の飼っているペットと遊ばせてもらった時くらいなもので、其れ以外は偶々在住地域に何かのイベントで動物の触れ合いコーナーがやって来た時以来だ。どの記憶も子供の時の記憶ばかりで、ここ最近の最後の記憶も友人宅へ泊まった際の飼い猫ちゃんと少しだけ触れ合ったというものである。つまるところ、動物から得られる癒やしに飢えていたのだ。
 怖怖と自分から手を伸ばして触れれば、そのもふもふは温かくて生きた生き物である事を教えてくれた。同時に、動物大好き精神が爆発して、愛しさ余って表情筋が溶け、ふにゃりとした顔付きとなった。
「君、可愛いねぇ。何処から来たの? って、其れは完全にブーメランだったな、御免ね。初めましての初対面で訊くには申し訳ない質問なんだけど、此処が何処でどういった場所なのか教えてくれると嬉しいなぁ〜なんて……君に訊いてる時点で自分の正気度を疑うわ……。でも、リアルガチで“今此処何処?”な状態だから何とも言えんのよ、お姉さん……。いきなりこんな事通りすがりに知らない人から頼まれても困るだけとは分かってるんだけども、一生のお願いです助けてくださいお願いします、ガチの迷子なんです、後生ですからァ……!」
「め゙っ!? めぇ……っ、め? めぇ?」
 ふわもこMAXな愛らしい生き物の前で無様にも合掌しながら土下座決め込んだら、明らかに困惑したような声で鳴かれた。たぶん、誰の目から見ても今の自分が変質者もといやべぇ奴だって思われる。何なら、自分から見ても“どういう状況だ、コレ……ッ”と胡乱げな目を向けるレベルにはトチ狂った選択をした気がする。けれども、人間マジで窮地に陥った時までプライドやら何やら気にしてられなくなるから。現に、プライドなんざ其の辺の道端にかなぐり捨てた勢いで一縷の望みを掛けて頼み込んでるから。見た目なぞ知った事かい。
「め……めっ!」
「……うん? もしかして、そっちに付いて来いって言ってる?」
「ぐめっ!」
 あまりの非現実的現状に脳内トリップ現象を起こしていたら、いつの間にか服の裾を引っ張るように噛み付いていたふわもこMAXな生き物ちゃんが「自分に付いて来い!」とジェスチャーするみたくグイグイと主張してきたので、素直に其れに従うべくゆるりと立ち上がって導かれるように草叢を分けた先へ進んだ。
 少し歩いた緑の先に人影を見付け、漸く人里らしき場所に出て来たのかと自覚したと同時に、足元で先導してくれていたふわもこちゃん(仮暫定)が再び鳴き声を発して自分の存在を主張した。すると、前方できょろきょろと辺りを見渡していた人影が此方に気付き、パッと表情を明るくして駆け足で駆け寄ってくる。そして、その人影であった人物が近付いてきたところで改めて口を開いた。
「もぉ〜、探したんだぞウールー! 勝手に居なくなったら駄目だろ?」
「めぇ〜」
「ったく、ちゃんと反省してるのかウールー?」
「めぇ!」
「ははっ、まぁちゃんと戻ってきてくれたんだから良しとするか! 次からは一言言ってから離れるんだぞ、分かったな?」
「めぇ! めぇっ!!」
「ハイハイ、分かったよ。一応反省してるんだな? なら、安心したんだぞ!」
 恐らく、己を此処まで先導してくれたふわもこちゃん(仮暫定)の飼い主さんか何かだろう。まだまだ発達途中らしき少年さを遺憾無く発揮してキラキラとした瑞々しいオーラを纏う少年が、己のペットへと愛しげに語りかけている。なんて素晴らしき光景。一枚の写真どころか絵画にすら成り得る美しき光景に、何だかよく分からんが自分の存在など空気に霞んでも良いからこの光景を守りたいとさえ思ってしまった。いや何で。自分で自分が抱いた感情に困惑していると、ふわもこちゃんを抱き上げて此方へ向き直った少年が改めて口を開く。
「ウチのウールーを此処まで連れて来てくれた人だよな? ウールーを連れて来てくれて感謝するんだぞ! 本当に有難う!!」
「えっと……此方こそ、困ってたところをその子に助けられたというか、兎に角御礼を言われる程の事は何もしてないので! 寧ろ、助けてもらった身としては、此方が感謝の念を伝えたいぐらいでして……!!」
「そうなのか、ウールー……?」
「めぇ!」
 自分は人助けが出来てエライだろうと言わんばかりに胸を張って一際強く鳴いたふわもこちゃんに、少年の邪気の無い無垢で不思議そうな視線が向けられた。其れに、たぶんこの後確実に“え、此奴何言ってんだ?”顔をされる覚悟で切実に現状己の置かれているよく分からん頓痴気な状況を打ち明けてみた。
「あの……つかぬ事をお尋ねしますが、此処は一体何て言う所なんでしょう……?」
「此処は、俺が住んでる家が在る、ハロンタウンって所だぞ」
「うん……何となく理解はしてたけれども全く知らない・・・・・・場所ですね、終わった……」
「えっ……もしかして、迷子だったりするパターンか……?」
「現状が完全に迷子の其れだと確定したのなら、自分は知らない内に世界規模の……否、次元レベルに匹敵する迷子という事になりますねぇ〜……。アハハッ……悲しくて涙出て来そう。控えめに言って涙腺決壊しそう」
「ええっ!? 其れは大変なんだぞ!! よく分かんないけど、家に帰れなかったら君の家族が心配するじゃないか!! 俺で良かったら協力するから、一先ず落ち着く為にも一旦俺の家に来るんだぞ……っ!!」
「ゔぇっ……君ってば見るからに良い人なんだな……将来有望確実じゃないですか、やだ惚れる……っ」
 現実を直視した途端緩んできた涙腺にさめざめと泣きそうになっていると、困っている人を放っておけない質の子なのだろう、今にも不安で押し潰されそうになっていた己の手を取って励ましの言葉をかけてくれた。子供から励まされる大人の絵面はどっからどう見てもやば過ぎるんだぜ……。
 現実の情けなさも相俟って感動のあまりに余計涙腺を刺激されて鼻を啜ると、明らかに動揺した様子を見せる名も知らぬ少年がわたわたとしながらも何とか此方を慰めようと手を尽くす。
「な、泣かないでくれよ……っ! ほら、ウールー貸してやるから、ちょっとは泣き止んで落ち着くんだぞ!」
「えっ……待って、いきなりそんなパスされても困r――、ちょっと待って予想外にこの子重いなッ!? 見た目のふわふわ感に騙されたわ!! 何キロあるんだ、君ッッッ!? ゔッ、腰に来そう……!」
「ウールーなら、6キロはあるぞ!」
「待って、控えめに待って。6キロて、米袋5キロ分よりも重いじゃん……!! 其れを安々と抱っこ出来る君、普通に凄いな!? 俺よりも細そうなその腕でよく軽々と出来たな!? ひょっとして見た目よりも力持ちかい!?」
「へへっ! 少しでもアニキに近付けられたらなってトレーニングは欠かさないからな!」
「ひょえ〜……っ、今時の子は恐ろしいな……。俺なら一発で腰やらかす自信しか無いわ……うわ、自分で言ってて悲しくなってきた。どんだけ貧弱なの、俺。控えめに言ってやばいじゃん。子供に負けてる時点でアウトだわ、少しは運動しよ」
 そんなこんな、幼気いたいけな少年に手を引かれながらえぐえぐと涙を湛えて歩く事数分。少年のお家だと言う立派なお庭付きのお宅の前に来た。
 少年は帰宅の挨拶も漫ろに声を大にして庭先に居たご家族の方へ呼びかける。
「ただいま!! 帰ってすぐで悪いんだけど大変なんだぞ!!」
「おぉ、おかえりホップ。そんなに慌ててどうしたんだ?」
「さっき其処で勝手にどっか行っちゃってたウールーを見付けてくれた人に会ったんだけど、その人、迷子だったんだぞ!! どうも帰り方が分からなくて途方に暮れてるっぽかったから、一先ず家に連れて来ちゃったんだけど、どうしようアニキ……っ!」
「何だって!? そいつは大変だな……! 兎に角、一度中へ入ろう! 詳しい話は其れからだぜ!」
 最早情緒不安定からの涙で視界がグチャグチャだし、脳内もこんがらがり切っててグチャグチャだったから、一瞬自分が幼女にでもなったのかと錯覚した。落ち着け餅つけ。自分は成人して暫く経つ立派な大人で社会人だ。ちょっと、いや、かなりメンタル弱い人間だけども、其処を間違える程脳味噌まともに機能していない訳ではない筈だ。少なくとも、今は。
 片手は6キロもあるウールーを抱えさせられ、もう片手は少年に引かれてお家の中へ。どう考えても外観からして洋装な造りをしたお宅を見て、世界観が外国その物だという事に気付いてしまった。気付きたくはなかったが。
 精神が未だ追い付かず、一度緩んでしまった涙腺はそのままにえぐえぐと顔から出るもの全てを垂れ流していると、片腕に抱くふわもこちゃんことウールーが慰めようとしてくれたのか、気付けばペロペロと頬に伝った涙を舐められていた。少年と同じく優しい心持ちなのだろう。社会に揉まれて荒み切っていたハートにその優しさがダイレクトアタックした結果、余計に涙腺へと拍車を掛けてしまった。だばりと増えた涙の量にあからさまにオロオロとしだすウールーと少年。控えめに言って申し訳なく思った。何が嬉しくて良い歳した女の泣きっ面拝まにゃならんのよ。普通に不細工極まりないだろうから見るに耐えんものをお見せしてすまないな、少年よ……。今暫くお待ちなすってください。たぶん、暫くすれば、決壊した涙腺も落ち着くものと思われるので……。
 ――とか何とかかんとか考えていたらば、リビングらしき場所にあるソファーに座らされ、目の前にホットなミルクの入ったマグカップを差し出され。「いや、コレ、完全にガキ扱いのソレですやん……ッ」と思わなくもなかったが、親切に優しくしてくれた厚意は受け取っておくべきと膝上のウールーはそのままに受け取った。この際、細かい事は気にするな方針で行こう。そうしよう。
 淹れ立てで熱いであろうあったかな湯気の立つマグカップへ口へ付けるのは、流石に猫舌が火傷しそうだと判断して、両手で持つだけに留め、目の前に傅く大きな男へ視線を向けた。
屹度きっと、色んな事に吃驚して混乱してしまったんだろう。まだ現状に頭が追い付いていないのかもしれないが、少しずつで構わない、君の事を教えてくれるかい……? まずは、お互いを知るところから始めよう! 俺はダンデと言う! 君の名前は、何て言うんだい?」
「……だん、で……?」
「あぁ! 俺はダンデだぜ! 此処、ガラルじゃ知らない人間は居ないくらいの有名人さ!」
 自己紹介がてら続け様に聞いた単語に、混乱していた頭が反応したかの如く記憶の蓋を開いて、とある予測の道筋を掲示してきた。其れは、現実的には有り得ない事であった。しかし、現実の事として起こってしまっている以上、有り得る事として考えるしかないのだ。ほら、定期的に再熱するくらい好きな漫画のキャラが言ってた名台詞があるだろう。“有り得ない、なんて事は有り得ない”ってな。某強欲の人が言ってたの、よくよく覚えてるんだぜ。だから、此れは現実。いい加減認めよう。
「俺……ダンデ、知ってる……」
「おっ、本当か? 其れは嬉しい限りだな!」
「流石はアニキ! その有名さに痺れるぜ……!」
 突き当たった現実を直視した直後、俄に信じ難いと吐き出した己の口からは片言のような言葉が漏れ出ていた。今度は別の混乱の渦が自分の中で巻き起こっており、気付いた時にはあんなに垂れ流していた涙も止まり、変わりに背中をダラダラと冷や汗が流れ出していた。
 迷子で困惑して泣いていた筈の女が突然押し黙ったまま冷や汗を垂れ流し始めれば、事態の急変を悟るものだ。此方の様子の異変に気付いた男が、ただでさえ圧のある顔を近寄せて迫り問う。
「ど、どうした? 具合でも悪くなったかい?」
「気持ち悪くなっちゃったのか!? だったら、トイレへ連れて行った方が良いか!?」
「待て、ホップ。何か言いたそうだから、其れを待とう。途中で話を遮ってしまってすまなかった。其れで、君は何を言いたいのかな? 話してごらん」
「ぅ゙、あ…………あ、の……これから何を聞いてもドン引かないって、約束してくれます……? たぶん、俺が話す事は、普通に聞いたら“頭可笑しいんじゃないの”って疑うレベルの話になる事必至だと思うので…………」
「分かった。約束するから、落ち着いて話してもらえるかい……?」
 了承を得たので、震えだす呼吸を落ち着かせるべく一度深呼吸を挟んで、意を決して口火を切った。
「たぶん、暫定事項になると思われますが……俺、現状次元レベルの迷子になってるんだと思います。何故ならば、此処は、俺にとっては異世界となるからです……っ。その理由の一つに、俺の暮らしていた世界にポケモンという生き物は存在しない。代わりに、別の似た生き物が生息しているという感じです。そして、何故ポケモンの事を含めダンデさん・・の事を知っているかにつきましては……其れは、世界規模で有名なとある作品のゲームに出て来る存在だからです」
 嗚呼、とうとう言ってしまったという事実と、ぶち当たってしまった現状の重さに、早くも押し潰されそうな心が内心で悲鳴を上げた。取り敢えず、現在進行形でメンタル面から胃が悲鳴を上げているので、後で胃薬か胃腸薬辺りを貰おうと誓った。
 こんな形での自由など、誰が想像出来ただろうか。否、誰も予測出来る筈もないし、現実的に不可能な自由の形を押し嵌める事など無理な話で。其れこそ、こんな事は絵空事や空想物語として片付けられる話であって、本当の現実として起こり得る事と想定されていないのだ。知っているぞ、この展開。pixivとかpixivとか夢小説とか言う二次創作で何万回と見てきたクダリだ。所謂、異世界トリップという名の、なろう系小説物に有りがちなネタである。其れが、リアルガチな現実の事として起きてしまっている。其れも、自分がその物語の主人公という立場で。
(あのね、トリップ物というネタはだね、飽く迄も物語として読むから面白いのであって、誰も当事者になりたいとか思ってないのよ……!! 夢小説の中でなら願った事は何度か有れどもさぁ!! リアルガチで自分がその対象になるとか普通思わないからァッッッ!! 返ってきて、俺のつまらない平穏な日常!! ポケモンワールドはゲームの中だけであれ!! とか言って俺生まれてこの方一度もポケモンやった事は無いけどな!! 履修してるのアニメ(しかも特定のシリーズを穴空きで履修)だけだよ!! 剣盾は主に二次創作でしか知らないよ助けて神様仏様ァ!! 俺が何をしたって言うんですか、コンチクショー!!!!)
 ハイ、絶賛脳内は大荒れです。本当、自分が何をしたって言うんですかね。どうなったらこんな仕打ちで返ってくると言うのでしょう。『魔訶不思議アドベンチャーの始まり始まり〜!』とか言うフリップ出さないでお願いします。どうせ出すなら『ドッキリ大成功☆』というフリップにしてください。そして、目の前に居るのは本物激似のコスプレイヤーさんという流れであれ。あら吃驚、此れは画面の中から出て来たバリにそっくりクリソツレベルのコスプレでした、であってくれ。でないと俺のキャパがオーバーどころかオーバーキル食らってパンクするから。嫌でしょ、某世界的人気且つ有名なゾンビゲームみたく脳味噌パァンして爆発四散するの。絵面的にも最悪過ぎるわ。
 思考回路がショート寸前で焼き切れそうになるまで後5秒、なんてところにまで差し掛かっていた折に、目の前で驚き顔で固まっていた大男が静かに此方へ両手を伸ばして肩を掴んでくる。え、何、自分今から殺されるんですか。急な死刑宣託を待つ囚人のような面持ちで彼が発しようとしている言葉を待った。
 あ、何か急に気分悪くなってきた。今しがた急に脳味噌フルスロットルで回転させて色々考えまくった所為かな。唐突な頭痛を催して控えめに言って体調グロッキーなんだけど、何故。一先ず、目の前の彼の言葉を聞かねばの精神で何とか意識を保って、真摯な色を乗せた金色の二ツ目を見つめる。
「取り敢えず、今の話を聞いて、思い当たった事があるから、正直に話すぜ。もしかしたら、君が此処に辿り着いてしまったのは、伝説級のポケモンの仕業かもしれない」
「伝説級のポケモンの仕業……?」
 訳が分からないまま鸚鵡返しに今聞いた言葉を繰り返した。そしたら、落ち着いてこのまま話を聞いてくれと言わんばかりの眼力を注がれて頷きが返ってくる。
「そうだ。俺も過去に何度かそういった事例があったとの話を聞いた事があるレベルにしか聞き齧ってはいないが……実際に、これまで伝説級のポケモンの力が作用して、意図せず此方の世界へ干渉してしまった人達が少なからず居るとの報告が挙がっている。此処ガラル地方での報告が挙がっているとの話は未だ聞いていないが……もしかすると、君がその一人目となるのかもしれないな……」
 なんてぽつたい。まさかの事態に、体調グロッキーとか言ってる余裕無くなっちまったんだぜ。鏡見てないから分からんけども、恐らく今の自分の顔色は最低値を記録している程青褪めているだろう。下手したら、土気色になっているかも。
 思ったよりも深刻化している事態に付いて来れていないであろう少年ことホップの方をチラリと見遣り、再び目の前の彼へと視線を戻す。
「この件は、俺一人が抱えられる案件じゃなさそうだ。一旦、シュートまで戻ってリーグ委員会の方まで報告させてもらうぜ。ついでに、ソニアを通じてマグノリア博士の方にも連絡を入れよう。事は思ったよりも深刻みたいだ。一先ず、君の身柄は此方で保護するという形を取らせてもらっても良いかい? 君が何故この地に飛ばされてしまったかの調査やら何やらをしなくちゃならなくなったからな。いきなりの事で戸惑うのも無理は無いが、取り敢えず衣食住面の保証は俺達の方がするから安心してくれて良いぜ!」
「ぁ……其れは何よりのお言葉で安心した限りで…………っ、」
 ちゃんとした言葉で感想を告げるべく口を開いたものの、意識を保てたのは其処までだったようで。グラつく頭で何とか手に持っていたマグカップをテーブルの端に置く事だけは死守し、そのまま思考も視界も暗転してしまった。
 遠い意識の端で二人と一匹の叫ぶ声が聞こえていた気もするが、重く伸し掛かった現実に混乱した結果、理解の範疇を超えてしまったらしい。トリップ特有の弊害だろうか、何もかもに置き去りにされてしまった心と体がキャパオーバーして防衛本能からシャットダウンを起こしたようだ。推し達の前で倒れるなんて真似は避けたかったのだが、如何せん体の言う事が利かない為にどうにも出来なかった。


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▼今回の登場人物をざっくり紹介。
・夢主……何か知らんけど目が覚めたらポケモンワールド(しかも巷で沼と噂の剣盾シリーズの世界)にトリップしていて、色んな意味で思考回路がショートor宇宙猫に至ったのち、意識がログアウトというベタでお決まりなコースを辿った本作の主人公。暫定・冒険者。剣盾はポケモンシリーズの中で最推しの沼という程ハマった人間。尚、沼に落ちた切っ掛けは二次創作絵のキバナ氏だと語っている。性癖パラダイス有難うございます、我々にはご褒美です……!(※名前は次回公開予定。)
・ウールー……ハロン兄弟の弟の方であるホップの手持ちポケモン。ふわもこMAXな見た目が愛玩動物の其れで、存在しているだけで癒やし。今回のファインプレーは実質この子。ウールーに出会えなければ、夢主はボッチからのスタートでメンタル激やばルートだった。お前がMVPだ!
・ホップ……上記のウールーのトレーナー。勝手に何処かへ行ってしまったウールーを追い駆けて探し回っていたところ、ウールーと一緒に現れた夢主と出会う。見たところ、自分と同じくらいの歳の子かなと仮定して接する。取り敢えず、迷子らしいし不安から泣き始めてしまったので、親切心から保護へ走る為、即様兄へ報連相した偉い子。伊達にゲーム本編の主人公のライバル枠じゃないぞ!
・ダンデ……現リーグチャンピオンでホップの兄。弟関連で一時的に実家へ帰省していた模様(つまり完全プライベート且つ休暇満喫中だった)。自宅前のバトルコートで手持ち達のトレーニングを行っていたら、ウールーを探しに出ていたホップに迷子保護を知らされて急遽お仕事モードに。見たところ、弟とあまり変わらないくらいに見えるが……?事情を聞き出していたら途中で倒れ込むように意識を失ったので絶賛心配している。兎にも角にも、各所に報連相からの応援を依頼しなければ……!

※続きのお話は、ホップのウールーが間違ってモシャってしまったので、未定です。


執筆日:2024.02.25
公開日:2024.03.03

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