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出逢ったが運命



恋っちゅーんは、唐突として落ちるもんやき。

出逢いっちゅーのも突然で、一瞬でビビビッ!ち来たら、次の瞬間にゃあ相手に惚れちゅーもんやと思うがよ。

ほんで、今、まさに其れを体験しちゅうところなんじゃと、心の片隅に居るもう一人のわしが語りかけよった。


「あ〜、面白かったぁ…っ!久々に見る映画ってのも良いよな!!」
「そうだなぁ〜!で…次、どうすんだ?」
「何処行くかな〜…。どっか希望とかあるか?」


同じ大学の同じゼミの仲がええ奴等数人と授業終わりに寄りよった映画館で、見終えた映画の感想を言い合いながら次は何処行くがの話をしちょった時じゃった。

偶々向けた視界の先に映った女の子が気になって、目で追いかけてしもうた。

そん子は、丁度わし等と同じように端っこの柱ん処に立っちゅー子の処に駆けて行きゆうところじゃった。


『ごめん…っ!お待たせ〜っ!!』
「はいな。別に急いで来んでも良いのに…。」
『いやぁ、だって、あんま待たせたら悪いと思って〜…。物販コーナー狭いのに人多いし、レジ混んでたから。』
「まぁ、今映画終わったばっかだし、今日人気作品が封切りしたからね〜。そのせいもあるでしょ?」


駆け寄りよった先の子の方も見ると、雰囲気が似ちゅう事から姉妹なんじゃろう思うた。

駆け寄りよったそん子は、灰色のポンチョ風なフード付きのコートを着ちょった。

首元のボタンで留めるだけのタイプなんか、動くと前がひらひら開いて、そん子によう似合うちょるように思えた。


「で、欲しい物は買えた訳?」
『うん…っ!それはばっちし!今日この日買えるのを楽しみに待ってたかんねぇ〜…っ!!』
「それは良うござんしたね。」
『へへへ…っ、推しキャラのグッズが買えて満足〜…!お家帰ってからが楽しみだ!!開けるのは家に帰ってからだもんねぇ〜…っ!』
「ハイハイ、次どうすんの…?」
『何処行こっか?』


笑うた顔が可愛い子じゃと思うた。

和泉守や獅子王等の話に交ざらんと見惚れる様にジッと見つめちょったら、不審に思うた和泉守の奴に話しかけられた。


「おい、陸奥守。俺がせっかく訊いてやってんのに、何無視して余所見してんだよ…?」
「っ…!お、おぉ…っ、すまんちや…!!」
「あ…?何だ、お前…もしかして、誰かカワイ子ちゃんでも見付けて見惚れたりしてたとか…?」
「な…っ!べ、別に見惚れてなんかしちょらんぜよ…!!」
「その反応は怪しいなぁ〜…。どれどれぇ〜?テメェが俺の話も聞かずに見てた方向に居る子は、どの子だぁ〜?」
「や、やめいち、おまん…!バレたらどうするがよ!?」
「あ?そんときゃあ、お前が開き直って声掛けに行きゃ良いだろうが。」
「アホぬかせ…っ!!」


公衆の面前で恥ずかしい事すなち一発かまして止めに入る。

一瞬騒いでしもうた後、慌ててそん子の方を見て、何も気付いちょらん事を確認してホッと溜め息を吐く。

良かった…こっちん事は見ちょらんし、気付いちょらんようじゃ。

思わず叩いてしもうたせいで機嫌を損ねた奴には申し訳無いけんど、茶化そう思うたおまんが悪いんじゃと開き直って誤魔化した。


「で…?陸奥守の奴は、何処行きたいんだ?」
「ほうじゃのお〜…特にコレっちゅーのは思い付かんにゃぁ…。」
「そうかぁ〜。じゃあ、次何処行くってよりは、何したいかにするか…!」
「嗚呼、ほれやったら、さっきよりは思い付きそうやね。」
「お前、何がしたい?」
「俺か?う〜ん…っ、何が良いかなぁ…。」


奴等の話も聞きながら、彼方側にもチラチラと目を向けて様子を窺う。

ついでに、気になる子ぉ等の話にも耳を澄ませる。


『次かぁ〜…。そうだなぁ……あっ、ゲーセンってのはどう?最近、二人で出掛けるっていう事もしてなかったから、久しく行ってなくない…?ゲーセンついでに、一緒にプリクラ撮んのはどうよ。アンタ、よくよく言ってたじゃない?私とプリ撮りたいって。』
「あぁ〜っ、プリね。良いね…!じゃあ、ゲーセンに決まり!」
『久し振りに、某太鼓のゲームもやりたいから、行くならあっちの方のゲーセンだね。』
「うん。こっちのゲーセンだと、周りの音がうるさいし騒がし過ぎてゲームの音楽の音聞こえにくいからねぇ〜。」
『そうと決まればレッツらゴー…ッ!!』


見つめちょった子が、場所を移動する為か、姉ちゃんらしき人を連れて館内の出口の方へと歩き出す。

わしは、其れを目で追って視線で行方を追いかける。


「なぁ、陸奥守は何したいとか希望ある…?」
「ゲーム。」
「は…?」
「ゲーセン行きとうなったち言うちょるんじゃ。」
「ゲーセンかぁ〜…んな金あったか?」
「まぁまぁ、誰も特に希望無かったんだし、陸奥守の案で行こうぜ!で、ゲーセンっつったら、此処から二ヶ所あるけど…どっちの方に行くんだ?」
「商店街の方ぜよ。あっちの方が人が少ないき混んじょらせんきね…!」
「よっしゃ、どうせ帰りの電車までまだ時間あんだし、暇潰ししに行こうぜ…っ!!」


何とか奴等を言い包めて、あん子が向かいゆう方向と同じ処に行く流れに仕向ける事が出来た。

後は、あん子の後を追って、出来る限り近くで見てみて…チャンスっちゅーもんが訪れる事があるんやったら話しかけてみよう思うた。

そんなこんなで、二人を連れ立って商店街の方にあるもう一つのゲーセンへと向かう事にした。

自分等が歩く先の少し離れた処で、さっき目ぇを付けた子が姉やんと思しき子ぉと仲良さげに話しながら歩いちゅう。

隣で和泉守の奴が一人でに喋りかけてきゆうが、上の空で曖昧に相槌を打ってやりながらほとんど話の中身は聞き流し、今目が追いかけゆう子の様子を眺めた。


『…〜で、あのキャラが出てきたかと思ったらいきなり突っ込んで行っちゃって、マジ驚いたよね〜っ!』
「うんうん…っ。あそこ、滅茶苦茶格好良かったよね…!アレは惚れるに決まってんだろぉーッ!!…って。」
『ねぇ〜?作画も思ってた以上に素晴らしかったし、早く円盤欲しいわ〜…っ。』
「流石に気が早過ぎるわ(笑)。まだ上映始まったばっかだし!でも、気持ちは分からんでもない。」
『だろ…?』
「はぁ〜…っ、嫁が愛おし過ぎて辛い…尊い。やべぇな、コレは今月金欠になるかもしれんぞ…っ。」
『近々、映画上映に合わせて新しいグッズ出るもんね〜…。あの人の作るグッズはクオリティー半端ないから、私も欲しいかな。あはは…っ、私も今月やばいかもね。お財布と要相談だぁー。』


さっき観てきた映画の話でもしゆうんじゃろうか…。

和やかに話す傍ら、ちょっと極まった話をしちゅう気がする。

あと、ついでに言うんなら…話を聞く限り、どうもわし等が観ちょったもんと同じもんの話をしゆうようじゃ。

シアター内では暗うて気付かんかったがやけんど、あの場に居ったちいうんが分かっただけでもなんちゃあ嬉しいちや。

嬉しさ故に高まる鼓動と昂る気持ちに、自然とニヤけてきゆう顔をどうにか堪えて平常を保つ。

にしても…あん子の癖じゃろうか、姉やんのバッグの肩紐んとこを掴んで付いていきゆうみたいに見えるんじゃが。

歳はそう離れてないゆうに見えるが、なんちゃー可愛いのお…。


「…おい、陸奥守…。」
「ん?何じゃ…?」
「お前…どうした?いきなりデレデレしてるみてぇな気色悪ぃ顔しやがって…キメェぞ。」
「喧しいわ。何時も気色悪いおまんに言われとうない。」
「ア"ァ"ン"…!?何だとテメェ、やんのかゴルァ…ッ!!」
「ほたえなや…っ。周りの人に迷惑じゃち、静かにせない。」
「元はと言えばテメェが喧嘩売ってきたのが悪ぃんだろ…ッ!?」
「ま、まぁーまぁーっ!二人共落ち着けって…!!せっかく遊びに行くんだから、仲良くしようぜ!な…っ?」


和泉守の奴は放っちょいて、前の二人の姉妹の会話に意識を集中する。

ゲーセンに着くまで、奴から一時突っ掛かられゆう気がしちょったが総無視した。

明日、また大学に行った時に堀川等ぁに何か言われるかも知れんかったが、そうなった時はそうなった時じゃち思うて、今はあん子の事に集中する事にした。

暫くして、目的のゲーセンに到着する。

入ってすぐあん子等は奥のプリクラ機が並ぶコーナーの方へ歩いて行ってしもうたき、わし等はどうしようか迷うた。


「ゲーセンに着いたは良いが…これから何するんだ?言い出しっぺのお前、ちゃんと答えろよ。」
「ほうじゃのお…まず最初は、適当にUFOキャッチャーの方でも見て回るかの?」
「おっ、それ良いな…!んじゃ、あっちの方から見に行こうぜ!」


獅子王が先頭きって進み出す。

わし等二人は其れに続くように後ろを付いて回った。

じゃが、匣体の中身を眺めるだけじゃあすぐに終わってしもうて、次の目的を考えにゃならん事になった。


「何か、今日は特に面白味も無ぇ中身だったな。」
「もっと良いのあるかと期待したんだけどなぁ〜?」
「ほれやったら、今度は各々好きなもんでも見に行くかえ?ただ眺めるだけも良し。何ちゃゲームをプレイしても良し。どうじゃ…?」
「それで良いか…。んじゃ、俺ぁ奥にあるガチャガチャんとこ見て来るわ。さっきチラッと見た時、何か気になるもん見付けた気がしたからよ。」
「う〜ん、そんじゃ俺も何時もやってる音ゲーしてくるわ。終わったらそっちのどっちかに合流するな?」
「おん、了解したぜよ。ほいたら、わしはシューティングゲームんとこ居るきに。何かあったら呼びとうせ。」


好きなゲームん処へ行くんに、後で合流する意図を伝え合って一旦別れる。

取り敢えず、あん子等が奥から出て来るまで、このサバイバルゲームでもしとこうかの…。

慣れた手付きで銃型のゲームコントローラーを手に持ち、画面へ向かって構える。

こんゲームは既に何回かクリア済みじゃき、少しハードルを上げたモードを選択してゲームを開始させる。

一通りゲームをこなし、ミッションクリアを出し続けよったら、奥の方から出てきたあん子等の声が聞こえた。


「案外、今日の上手く撮れたんじゃない…?」
『そうやね。前回撮った時のは、ちょっと照明がいまいちで全体的に明る過ぎたもんね?』
「うん。おまけに、何か美肌モードのせいもあってか、やたら顔が白けてるっていうね。」
『今回のは上手く撮れて良かったね〜。』
「次は太鼓するんだったよね?」
『うん、太鼓太鼓。』
「んじゃ、コレ財布にでも仕舞っとこう。」
『おう。私も仕舞っとかねば…。』


丁度全クリアしてプレイした成績が表示された時に、姉妹二人がわしの後ろを通り過ぎていきよった。

ほんで、ゲームプレイによって肩に入っちょった力を抜いたタイミングで合流しにきた和泉守と獅子王等が来た。


「お…っ、なかなかの成績じゃねーか!俺も負けてらんねぇな…っ。」
「おーっ!流石だな、陸奥守…!俺にもやらせてくれよ!!」
「良いけんど、わしがやっちゅーんはハードモードじゃきぃ、おまん等とはレベルが違うぜよ…?」
「うおっ、マジかよ…!コレ、ハードモードでやるとか鬼じゃねーかっ!!しかも、それで全部のミッションBランク以上でクリアとか、お前何者だよ…!?」
「わしは鉄砲もんなら負け無しじゃきぃのお〜。ゲームでの得意武器は、拳銃ぜよ!」
「クッソ…!何か腹立つな、その台詞…っ!獅子王といっぺんやり終わったら、次はテメェと勝負だ!良いな!?」
「構わんぜよ?精々撃ち数こなすんじゃな…!」


煽って火を付けるだけ付けちょって、眺めるだけの外野に回ったところで、目的のあん子等の様子を眺める。

ちっくとばかしゲームをプレイしゆう様子が気になっちゅーのを装って奴等から離れ、少しだけ近寄る。

男ばっかのむっさい面子じゃのうて、姉妹二人っちゅー面子だけに女子特有の華のある空間が広がっちょった。


「選曲は、私もアンタもプレイ出来る曲な。」
『おうよ。コースはもち普通で良いよね?』
「おけ〜。んじゃ、手始めにコレなんかどうよ?」
『良いよ〜。っしゃあ、やったるで…!』


よっぽど仲がええんじゃろう、見事なまでの連携プレーでのクリアじゃった。

ほんで、気になっちょった子の名前もようやっと知る事が出来た。

女の子の名前は、璃子っち言うんじゃと。

よう似合う可愛い名前じゃ。

一人うんうん頷く。

ほいたら、ゲームクリアし終わっちょったんか、和泉守等が何ちゃ気色悪いニヤケ顔で肩組んできよった。


「おうおう、吉行君。俺等がプレイしてんのも無視して、何一丁前に女の子に見惚れてんのかな?うん…?」
「……そがな面倒な反応返すち思うたき、黙っちょったににゃあ…。」
「で?お前が気になってた子って、どっち…?二人居るけど。」
「どっちもカワイ子ちゃんじゃねーの。テメェにゃ勿体無ぇ別嬪さんな嬢ちゃん等だな。」
「おんしゃあ、ちっくと黙っとれ。」
「うるせぇ、テメェこそ黙ってろ田舎者の方言野郎。」
「あ゙ーあ゙ーっ!気になる子居るなら教えてくれりゃ良いのになぁ…っ!?水くせぇじゃんか、俺達の仲なのに!!」
「そうだぜ?教えてくれねぇなんて水くせぇじゃねーか…!」
「こうなるき言うの嫌じゃったんじゃ…。特におまんはめんどい。」
「んだとオルァ…ッ!?いっぺん表出やがれこの野郎!!」
「まぁーまぁーっ!抑えろって和泉守…!!あんま騒ぐと店の人にも迷惑だし、あの子等にも迷惑だろ!?」


すぐに頭に血ぃ上って暴れそうになる和泉守を押さえ付けゆう獅子王。

すまんの、いっつも面倒な役割に回してしもうて。


「何だったらさ、さっきのゲームで勝負とかしたらどうだ?ほら、さっき和泉守の奴も陸奥守と勝負したいって言ってたろ?」
「おお、そりゃあ良いぜ。その案、乗った…!」
「わしゃ、どっちかと言うとあんまし乗り気やないがやけんど…しゃーないかのお。それでおまんが黙ってくれるいうんじゃったら、やったるわ。」
「おっし、そうこなくっちゃな!」
「じゃあ、決まりだな…っ!!」


和泉守の怒りを収めるが為に、獅子王の提案で、さっき奴が言うちょった対決をやる事になった。

わしは、もう少し璃子ちゃんの事眺めときたかったがやけんど…仕方ない。

諦めて、奴の勝負受けて、コテンパンに負かしちゃるとするか。

そう腹を決めて、ついさっきまで持っちょったコントローラーをまた手に持って画面の前へ立つ。


「勝負は一回ポッキリ。わしとおまんの一対一対決勝負じゃ。」
「おうよ!」
「ルールは、制限時間内にどちらかが多く敵を撃ち倒しクリアした方が勝ち。負けた方は、後で勝った方にジュースを奢る。それで、えいの…?」
「臨むところだ…っ!!」


勝負の簡単なルールを説明して、互いにゲームプレイへと移る。

後ろでこの勝負を見守りゆう獅子王が、わし等二人の対決の勝敗を見届けるレフリーじゃ。


「そんじゃ、Ready…fightッ!」


獅子王の合図を皮切りに、勝負のゴングは打ち鳴らされた。

難易度は、奴に合わせて簡単なモードに。

手慣れちゅうプレイヤーとしてのハンデとして、わしは片手持ちでのプレイで、扱うタイプは標準タイプのスコープでのプレイとなった。

代わって、奴は両手有り、オートスコープタイプでのプレイ。

パッと見、奴の方が有利じゃと思われるかもしれんが、ハンデがあったところで、わしにゃあ何も不利にはならざった。

やってわし、こんゲームじゃあeasyモードSランクでの負け無し完コンプな不敗プレイヤーじゃき。

成績じゃって、上位ランクで登録されちゅうき、どうあったって奴が不利なんは目に見えちゅうんよ。

まぁ、そがな事、後が面倒じゃき絶対に言わんがな。

勝負は簡単で、勝敗なんかもあっちゅう間に着いた。

勝ったんは勿論わしで、負けたんはハンデ付け言い出した方の和泉守の奴じゃった。

なぁんの苦労も無く全ての敵を倒し切ったわしは、息を切らす事なくあっさりステージクリアした。

反対に奴は、一応クリアはしちょったがやけんども、無駄に力んで叫び散らしよったもんやきぃ、寧ろ其れがうるそうて邪魔になるくらいじゃったが、敵の撃ち倒した数はわしの半分にも満たっちょらんかった。


「勝者、陸奥守ぃーっ!!」
「まぁ、当たり前の結果じゃな。コイツと勝負したところで、最初から勝敗は決まっちょったもんやき、勝ったとしてもあんま嬉しくないのう…。じゃけんど、勝負は勝負やきぃ、勝ちは勝ち。負けは負けじゃ。諦めて早よジュース奢れ。」
「クッソォー!!腹立つぜ、コイツに奢るとか…ッ!!」
「まぁ〜、負けたのは和泉守の方なんだし、勝負言い出してルール呑んだのも和泉守なんだしさ。ココは男らしく、潔く負けを認めようぜ…?」
「コノヤロー…ッ!!次は絶対負けねぇからなぁ!覚えてろよ…っ!?」
「捨て台詞が完全に負け犬の遠吠えじゃち気付かんのかのぉ、彼奴は…。」


負けた奴がジュース買いから戻ってくるんを待っちょったら、ふとあん子等の声が耳に飛び込んできた。


「ふぅ〜…っ、楽しかった!次は何する…?」
『うーん、私は、あの銃で撃つみたいなゲームをプレイしてみたいなぁとは思うのだけど…。』
「やれば良いじゃん?私はやんないけど。」
『ん〜、でも難しそうだしなぁ〜…。』
「やってみたら良いじゃん、一回くらい。私は後ろから見守ってるあげるくらいしか出来ないけど。」
『いやぁ〜、前からああいうのは一度はやってみたいって思ってるんだけどねぇ…TVゲームと違うから勝手が分かんないし。FFで一回銃で戦うタイプ…えっと、確かそういうのをFPS視点タイプって言うんだっけ?其れをプレイした事はあるけど、やった事ないタイプで慣れなさ過ぎてクッソクズプレイヤーだったからなぁ…どうしても尻込みしてしまうんだよね。やってみたい気持ちはあるんだけども…!』
「面倒くさいな、お前…。」
『うっさい。何か友達とかで慣れてる子とかが居ればプレイ出来そうだなぁとは思うけど、んな都合の良い話ある訳無いもんよ〜…。』


其れがあるんじゃな〜、奇跡的に…!

なんちゅータイミングで聞こえてきた話じゃち思うたがよ。

思わず聞こえた後ろを振り返ったら、まさかのわし等の後ろにそん子等は居った。

横で同じく聞きよった獅子王が視線で「行け…!」と合図しゆう。

わし自身、こんなチャンス逃しちゃおれんと思うて、勇気を振り絞って声をかけた。


「もしかして、おんし、このゲームやってみたいなが?」
『え…っ?』
「もし、おんしが良かったらながやけんど、わしが教えちゃろうか…?」
『え…っ、いや、別に…私はただ見てただけで…っ。』
「良いんじゃない?アンタやってみたいって言ってたし。」
「(お姉さんナイス…ッ!)そうそう!コイツ、このゲームめちゃくちゃ上手いし、スゲェ手慣れてて強いからさ…!!一人でプレイすんのがアレだったら、俺達も一緒にするし、一回どうよ?面白いぜ、このゲーム…!」
「(獅子王の奴ナイスじゃ…ッ!)易しいモードじゃったら、ほがに難しくはないき、おんしでも簡単にプレイ出来ると思うぜよ…!」
『でっ、でも…っ、本当初心者の人間且つめっちゃ人見知りの初対面の人間なんですけど…だ、大丈夫でしょうか…?その、お気持ちは凄く有難いんですけど…っ!!』
「めっちゃ優しいじゃん、この人等。教えてくれる上に一緒にプレイしてくれるって言うんだから良いじゃない…?面倒くさそうな事言ってないでさっさと行ってきなさいよ、ほら。」
『ほわ…っ!?』


姉やんにいきなり背中を押され、前のめりによろける璃子ちゃん。

慌てて駆け寄って躰を支えた。

咄嗟の事故でのこっちゃけんど、躰に触れた途端ええ匂いがしたんと、柔らかいもんに腕が触れてしもうたんはわし悪くない。

敢えて其れには気付いちょらんフリして声をかける。


「なんちゃーないがか?」
『あ…はい、大丈夫です…っ。こ、此方こそ、姉がすみません…!』
「あー、かまんかまん…!其れこそなんちゃーないぜよ!ほいたら、分かりやすく優しゅう教えちゃるき、安心してわしに身を任せとうせ…?」
『え、えっと…っ、本当に良いんでしょうか?迷惑じゃないでしょうか…?』
「別に、わし等がええっち思うて言うた事じゃき、気にせんでえいぜよ?」
『はぁ…。じゃ、じゃあ、その…ご指導の程お願いします…っ。…えーっと、』
「うん?わしの名前かの…?わしは、陸奥守吉行じゃ!高知出身じゃき、ちっくと訛り強うて喋りづらいかもしれんけんど、仲良う頼むぜよ…っ!」
『あ、えと…っ、私の名前は、花江璃子って言います…。初心者ですが、どうぞ宜しくなのです!あ…堅っ苦しい喋り方でしたら、すみません…っ。初対面の方とは、どうしても敬語で喋ってしまう癖なので…!』
「えいえい、別にそがな細かい事まで気にせんきね〜。ゲームは誰もが楽しんでプレイするんがお決まりじゃろう…?やき、おんしも肩の力抜いて楽しくプレイするぜよ!」
『は、はい…っ、有難うございます…!』
「ん…!ほいで、呼び方はぁ…璃子ちゃん、でえいかの?初対面で呼び捨ていうんは、なんぼなんじゃあ流石にいかんじゃろうき。」
『あ、はい。其れで大丈夫です…っ。じゃあ、私の方は、陸奥守さん…?で良いんでしょうか…?』
「陸奥守は長くて言いづらい上に、呼びづらいろう?陸奥でえいぜよ。それか、よう周りの奴等が呼んじゅう“むっちゃん”でもえいよ…?」
『じゃ、じゃあ…陸奥さんで。』
「ほに…!ほいたら、いくぜよ!わしに付いてきとうせ!!」


其れからは、なんちゃー記憶が曖昧じゃが、気付けば璃子ちゃんと仲良うなっちょって、いつの間にか戻ってきちょった和泉守が物凄い顔して後ろで待っちょった。

ほんまに、げにまっこと凄い顔じゃった。

何ち言ったらええんじゃろうか…こう、なんちゃー形容し難い顔でわしの事睨み付けちょったわ。


「陸奥守、テンッメェ……ッッッ!!」
「すまんちや〜っ!運命の女神さんがわしに微笑んでくれての〜…!!」
「こっっっんの野郎…!!人がジュース買いに行ってるっていう間に、何可愛い女の子と良い雰囲気になってんだよ!?ええっ!!?」
「いやぁ〜、日頃の行いがええからかにゃあ〜?っやぁ〜、参った参った…!こりゃ、おまんには一生叶わん事じゃわな!!…あ、ちなみにあん子の名前、璃子ちゃんっち言うんじゃがの?連絡先も交換してきた…!」
「ッダァアアアアア!!クソムカつく上にクソウゼェエエエッッッ!!リア充爆発してろォオオオオオオ!!!!!!」


仲良く璃子ちゃんと別れた後、和泉守んとこに合流したら、しこたま怒鳴られた&ド突かれた。

終いにゃ、あんまりにもしつこいきに一発返しちゃったら、キマってしもうたんか、ピクリとも動かんごとなってしもうた。

何じゃ、口程にもない。


「簡単に落ちてしまうちゃー情けないのう…。」
「いや…思いっきし鳩尾キメといて言う台詞か?ソレ…。」


後日、璃子ちゃんとは改めて逢って、楽しくデートしてきたぜよ!

わしの彼女、げにまっこと可愛い!!


執筆日:2019.01.26
加筆修正日:2020.04.09