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先っぽに罪悪という罪を塗りたくる



自分的には大した事の内に入らない程度であったが傷を負った俺は、出陣先から帰って即手入れ部屋へと入れられ、嬉しい事に主と二人きりになれた。

その間、俺は主と至近距離で触れ合う状況下に居た。

あまりの近さに、内で暴れ回る欲望が顔を出さないか気が気じゃなかった。

正直、下は催していた気がするが、敢えて無視して、起き上がった意識には別の思考を重ねて蓋をした。

せっかくの機会をみすみす台無しにする訳にはいかない。

好いた女に嫌われ避けられる事だけはしたくない。

けれども、時折襟元から覗く肌に悪い意味で心奪われていたのはしょうがないと思う。

俺だって男だ、本能には抗えないし、煩悩を捨て去る事だって出来ない。


『全く…何時も言ってるけど、あんま無茶はしないでよねぇー。』
「俺達は戦に出てんだ、ちょっと怪我したくれぇで気にしてられっかよ…。」
『其れで大怪我してぶっ倒れて出血多量で死ぬ、なぁんて事になられても困るから言ってんのー。…まぁ、まともに聞かれた試しはねぇーけどなぁー。一応、お前等を管理してる審神者だかんねぇ。感謝しなさいよー?次また戦に出れるようにしてやってんだから…。』
「へーへー、感謝してますよォ…。」


何時もの小言を聞くのは半分に、意識は既に別の方向へと傾いていた。

赤く覗くその美味そうな口の中にある舌を思う存分しゃぶり尽くしたい。

薄い皮で覆われた首筋に噛み付いて、その皮膚を軽く噛み千切ってしまいたい。

そして、その内に流れる温かな紅い血潮が滴る様を啜りたい。

汚れを知らない、柔らかな白い肌を暴いたらどうなるのか見てみたい。

いっその事、今此処で暴いてみせようか。

そしたら、どんな反応を見せるのか。

吸い付くみたいに滑らかな柔肌に触れたら、どうなるのか。

恥じて身を捩り逃げるのか、悦がるままに身を委せ本能に負けるのか。

純粋なまでに知りたいと思う欲が暴走して、思考を狂わせる。

主は、俺にとっての毒だ。

甘やかで何処までも痺れが続いてしまうような、そんな厄介な毒だ。

そんな厄介な毒に毒されてしまった俺は、もうとっくの昔に狂ってる。


「なぁ、主…手入れが終わったら、また出陣させてくれるよなァ?」
『ハイハイ、分かってますよぉー…。ちゃあんと傷を治し切ってからですけどねぇー。今は治療に専念する事に集中しましょうね、たぬさぁーん…?』


主の甘い声音が俺の耳奥を犯して、非道く昂らせる。

嗚呼、今すぐにでもその身を悦がらせたい。

その美味そうな口から甘い啼き声が迸るのを聞いてみたい。

今日も今日とて、平常を装いながら、内では欲望を膨らまし、妄想の中では幾らと汚す主の事を乞い慕う。


執筆日:2020.04.25
Title by:ユリ柩