ポタポタと屋根を打つ雨音が聞こえる。
ふと窓辺に寄り掛かって外を覗き込んでいると、ぽつり、彼女が呟いた。
『雨音を聞きながらの読書ってのも、なかなかに風流で素敵だよねぇ。』
「おや、君にも少しは雅さが分かるようだね。…普段はそんな欠片は微塵も感じないが。」
『一言余計だよ…。雨の日は外に出掛けるに出掛けられないからね。室内でゆるりと読書をするのが一番なんだよ。何もしないでごろごろするのも良いけども…何処にも出掛けられないこういう時こそ、読書に勤しむのさ。ポタポタと屋根を打つ雨音が音楽の様に心地好い作業BGMとなって丁度良いしね。』
ぱらり、彼女が本の頁を捲る。
紙の本独特のカサリとした乾いた音が部屋に響いた。
彼女の目は紙面を見つめ、視線はじっくりと文字を追いかけていた。
『…まぁ、それも次第に眠くなってころんと横になって寝てしまうのだけども。』
もう暫く読書に集中していたからだろう。
ふわり、と欠伸を漏らした彼女は栞を挟み、パタリと本を閉じた。
そうして傍らに置くと、相好を崩して固まってしまった躰を解して、コテリと横になった。
どうやら一寝入り、午睡に微睡む事にしたらしい。
そんな彼女に、僕は風邪を引かないようにと自身の上着を掛けてやった。
―静かに屋根を打つ雨音がする。
僕の隣では、静かに安らかに寝息を立てる彼女が居る。
「まぁ、偶にはこういうのも悪くはないかな…?」
彼女の午睡を邪魔しない様、僕は静かに雨音を聞きながら書を書き、歌を詠むのに勤しんだ。
執筆日:2020.07.18