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微笑みの爆弾(控えめver.)



イベント明けの翌日、のんびりゆっくりと起床して寝床から起き上がったが、頭の奥で訴える鈍く重い痛みに顰めっ面を作った。

頭、イッテェ〜………。

もうすぐアレが来るせいでの影響か、はたまた端に寝過ぎた事によるせいか。

最悪どっちもだろう。

どっちにしろ辛い事には変わりない。

地味な頭痛に苛まれつつも、取り敢えずは起きて服着替えて顔洗わなきゃ…。

んで、朝御飯食べに行かなきゃなぁ…。

着ていた寝間着を脱ぎ、予め枕元に用意していた服をモタモタと着替えて、欠伸をしながら部屋を出て洗面所へ向かう。

髪を整える為に鏡を覗き込んだら、凄まじく爆発した髪型となった自身と対面した。

うわ、すげぇ爆発してんな今日…酷ェ寝癖。

気休め程度に櫛を通すも、今日の寝癖は今期最大レベルで爆発していたせいで髪を梳くだけじゃ直らなかった。

まぁ、この際寝癖付いたまんまでもいっか。

どうせ今日どっこも出掛ける予定無いし、来客予定も無いしな。

頭クソ痛ェし、もうこんままで居よう。

女としてあるまじき惨状を曝した頭だったけど、気にしない事にする。

それよりも頭痛ェよ、クソが。

罵倒にもならない罵倒を吐き出しつつ蛇口を捻ってバシャバシャと洗顔を行った。

顔洗ったら少しはスッキリするかなぁ〜とか思ったが、顔洗うので一時的に下向くor躰動かすだけでも何か頭痛かった。

うわ、今回のコレ、ちょっと動いただけでも響くやつだ。

超面倒くせぇ。

うわぁー、今日一日絶対安静にしとかなアカンやつや〜ん…。

今日も仕事せなあかんになぁ〜……地味にツッラ。

一先ず、飯食いに行くけども…食欲無いねんよなぁー。

其れでも一応食うけどね?

何かしら胃に入れんと腹空いとるし、何より空腹過ぎると逆にグロッキーになるからね。

とにかく何か食べとこう、うん。

ちょっとでも良いから、何か食べとこう。

うん、よし、オッケー。

ちゃちゃっと洗顔済まして化粧水付けて、寝起きの目薬点したらGOだ。

朝の身支度を終えて、離れから移動する。

頭痛に苛まれているせいか、歩いて行く道中、母屋までの道程みちのり地味に辛いな…とか考えてたら、私を起こしに来たor様子を見に来たっぽい薬研とすれ違ったので挨拶をした。


「よぉ、大将。おはようさん。イベント明けの気分はどうだい?見るからに何か体調悪そうに見えるが」
「オーッス、薬研…絶賛起きた時からクソ頭痛過ぎて辛たん状態でぇーっす。マジでやべぇ…取り敢えず先飯食うけど、後で熱冷まシート貼らなきゃやってらんねぇわ…」
「おぉ、そりゃ大変だな。あんまり酷いようなら薬飲んどくか?必要ならすぐに用意するぜ」
「ん〜…あんま頭痛薬には頼りたくないんだけど、マジでやばくなったら頼むわ」
「うん。既に何かだいぶやばそうなんで、飯食った後すぐにでも飲めるように準備してくるわ。漢方薬なら、市販の即効薬と違ってゆっくりじわじわとだが効き目は確実にあるからな。胃に負担がねぇように作ってきてやるよ」
「朝からすまんやで、薬研や…」
「なに、これくらい大した内に入らん。大将の体調の方が優先事項だからな。それに、俺はもうとっくに朝飯済ませちまってるから、気にしなくて良いぜ」
「嗚呼…薬研から後光が見える……っ。有難や有難やぁ…」
「おーい、しっかりしろ大将ぉ〜。まだ起きたばっかの朝だぞぉ〜」


最早何か普通だったら見えなさそうな後光が薬研の背に射してるように見えて拝んでみたら、呆れた風に突っ込まれた。

いかんいかん…頭痛過ぎて馬鹿になるところやった。

ハタ、と正気に戻って母屋の大広間へ。

たぶん、もうほとんどの皆が起き出して飯食ってるとこだと思う。

今日はだいぶゆっくりのんびり寝てたからなぁ…そのせいか何か知らんけど頭痛ェわ。

うーん…タイミング的に、単なる寝過ぎかアレ来る前現象か、ただの体調不良なんか分からん。

取り敢えず頭痛いんは分かっとるけどね。

はぁ〜、朝から地味にツッラ…。

こんなん早々にテンション駄々下がりのグロッキー状態になりますわ。

そんなこんな思いながら大広間の障子開けたら、まだ飯食ってる系面子のメンバーと偶々居残って駄弁ってた系メンバーが顔上げてこっちに気付いたように一斉に視線を向けてきた。


「おっはよー、主さん!」
「あれ、何か今日体調悪い?テンション低めだよね。大丈夫?」
「おはよう、愛染に蛍。うん、その通りだよー。絶賛寝起きからクッソ頭いとうて敵わん。地味につっらい」
「うわ、だからかぁー。お疲れ様だなぁ…」
「顔白けてっけど、本当に大丈夫か?本気でやばくなったら無理せず休めよ。あと寝癖酷ェな。後ろ超絶爆発してるぞ」
「おう…端からそのつもりでーっす……。心配してくれてありがとね、無用組お二人さんよ。寝癖は、頭痛過ぎて直すのも何か面倒だったから放置なう…。一応、コレでも櫛は通したのよ?全く直らへんかったけど」
「ヒィ…ッ!!主の髪が飛んでもない事になってる!!もう、自分でする余裕の無い時は周りに頼りなっての…!ハイ、其処座って!!俺が整えてあげるから…っ!!」
「すまん、清光…任したわ」
「主、大丈夫?寝癖直す気力も無い程頭痛いのはやばいと思うけど…たぶん、其れ気圧変動のせいじゃない?今、ネットで調べてみたら、今日一日気圧変動激しいみたいだから。ほら」
「うわ、本当だ…うわやだわぁ〜……っ。だからメチャクソ頭痛いのね〜…?わざわざ調べてくれて有難う、安定」
「体調優れないんでしたら、あんまり食欲も無い感じですかね…?僕、燭台切さんや歌仙さんにその事伝えて、御飯の量とか諸々調整してきてもらいますね」
「おう、あざーっす堀川…助かるわ。あ、出来れば御飯は少なめのお茶漬けでお願いしますって伝えてもらって良いかね?今日はそんなに入っていかなそうやから」
「了解です!主さんは無理せず大人しく席に座って休んでてください!じゃ、僕行ってきますんで!兼さん、代わりの見張り役お願いね!!」
「おうっ、任せとけ!…つって、本当に大丈夫かよアンタ……。熱とかはねぇだろうな?」
「あったら今よりもっと確実にダウンしてるし、デコとか首とか触った時熱いと思うから、今んとこは大丈夫っぽいよ。一応自分で触ってチェックした時冷たかったから」
「其れでもやっぱ自分以外の奴が確認しとかねぇと万が一があるからな。ちょっと失礼して測らせてもらうぜ〜」
「うーい、どうぞお好きにしてくだせぇなぁー」


修行から帰ってきたばかりで不安らしい兼さんにお熱チェックされながら大人しく座って待っていれば、堀川君から聞いたらしいみっちゃんと歌仙達二人が一緒に私用の食事を持ってきてくれた。

今日の朝餉は、わかめとお豆腐と油揚げな普通のお味噌汁に、厚めの出汁巻き玉子と胡瓜の浅漬け、そんで人参と蓮根の金平牛蒡だった。

比較的シンプルめな献立メニューである。

其処に、私のには白飯ではなく茶漬け飯が来るのだが。

たぶん、最初から食欲無いって伝えてたから他の皆のと比べて量は少なめであろう。

ついでに言うと、やはり熱はなかったらしく、わざわざチェックしてくれた兼さんから安堵の溜め息を頂いた。

おまけに、清光の手により、厨組と顔を合わせる前に寝癖を直してもらう事も出来た。

有難う、清光。

流石は俺の初期刀、仕事の出来る刀である。


「ふむ…一応熱はねぇみてぇだな。でも、油断は禁物だぞ。これ以上悪化しねぇよう、今日は一日大人しくしてろ。良いな?」
「うぃっす…気遣ってくれてありがとなぁ〜兼しゃん。…さて、ワシの飯が運ばれてきたようなので、御飯タイムと致しますかね」


運ばれてきた美味しそうな御飯達を前に、食欲無いながらも手を合わせて感謝を捧げる。


「わぁ、いつもながらに美味しそうやなぁ〜。急遽お茶漬け変更してくれって頼んですまんやで」
「気にしてないよ。寧ろ、体調優れないって聞いて心配になったんだけど、大丈夫かい?薬研君から頭痛いって話も聞いたんだけど…」
「うん、今絶賛寝起きからずっと頭痛うてな。地味に辛いねん。原因は何となく予測付いとるからええねんけど…コレばっかりはなぁー…うん、どうしようもないな」
「取り敢えず、ご希望通りの少なめのお茶漬けにして用意してきたが、無理の無い範囲で食べてくれ。あまり入らなそうなら食べれるだけ食べて残してくれて構わない。残った場合はラップでもして冷蔵庫に仕舞っておくから、また食欲の出た時にでも食べると良い」
「うん。まぁ、何も食べんまんまは胃に悪いし、空腹過ぎんのも後でゲーゲー吐く原因になるからな。食べれるしこ食べとくわ。朝っぱらから世話かけてほんますまんやで」
「これくらい世話の内に入らないよ。君が元気で居てくれる事こそが僕等の唯一の願いだからね。食事が済んだら、薬研がもうじき薬を調合し終えて持ってくるだろうから、其れを飲んで安静にしておくと良い。きっとイベント明けで疲れが出たんだろう。今日くらいゆっくりしたら良いんじゃないかい?」
「ん…まぁ、今日から一週間はただのキャンペだけになるから、そのつもり〜。次の鍛刀キャンペと復刻慶長熊本イベに備えて、今の内に英気を養うor蓄えとかんとね…っ!特命調査は問題無いけど、鍛刀キャンペの方はほら…まだウチにはお迎え出来てない子やからさ?今度こそは、って気合い入れて頑張らんと…!待っててね十文字君…!!審神者頑張って泛塵君喚ぶからね!!」
「其れは分かったから…君はまず御飯を食べなさい」
「アッハイ、すんませんっした…」


ちゃんと頂きますしてから食べ始めたら、私の食べる調子を見てそこまで深刻な程食欲が無い訳ではないと判断したのだろう、厨組の二人揃って安堵の表情を浮かべて微笑んでいた。

ちなみに、私が泛塵君の話題と名前を呼んだせいだろう、既に食事を済ませていた通りすがりの十文字君が顔を覗かせて「戦か?」と問うてきた。

君は何処の同田貫さんかな。

つい先日までイベント周回でめっちゃ前線で活躍しまくっとったに、もう出陣の催促ですかいな。

少しは休む事も学ばないかんよ、戦脳の十文字君や。

此処暫くはずっとカンスト強化期間設けてレベリング続けてたから、この一週間で審神者諸共一緒に休まな持たへんで…おもにワシがじゃけど。

取り敢えず、今日は私の体調が優れない関係とぶっ続けのレベリング周回で疲れた事もあって、今日から一週間は出陣お休みやって事を伝えといた。

あと、次の鍛刀キャンペで再び泛塵君来るらしいから審神者頑張るねって言ったら、戦出れない事についてはやっぱり不満そうな顔見せたけど、私が具合悪いんは流石に心配やったらしく、遠回しに早く治して戦に出れるようにしてくれって言葉を貰った。

んでもって、やっぱ身内の子って言うんか、知り合いの子が来てくれるんは嬉しいらしくて、気持ちちょっと嬉しそうにしてた。

うん、皆の為にも早くこの不調治るよう努力するね。

ちょいちょい色んな子達に声かけられながら元気貰って、食欲無いって言いつつも何だかんだで完食し切ったのだった。

食べ終わる頃に丁度薬研が薬を持ってきてくれたので、有難く其れを飲んで酷い頭痛が少しでも早く引いてくれる事を祈った。

自分から漢方薬所望したけど、お薬にっがい。

薬の苦さには慣れてたつもりなんだけどなぁ…思わずうげぇって顔したら近くに居た大将組に笑われた。

そんな笑わんでもええやん、厚君…。

まぁ、良いけどさ。

食事が済んだら、一先ず、今日から一週間は出陣はお休みで日課のお仕事は内番と鍛刀のみだけ行う件を皆に伝えておく。

つって、今日は朝からこの調子やから、こんな状態で鍛刀しようもんならギリ残ってる体力と霊力全部持ってかれてすっからぴんのグロッキー状態に悪化するので、今日の分の鍛刀は明日以降に纏めて行う事にした。

本日の鍛刀当番だった三人にもきちんとその旨を伝えて、各自各々おのおのに振り分けられた内番や仕事に取り掛かってもらう。

私も私で日課のお仕事に励もうと仕事部屋という名の執務室に向かうも、頭痛が酷い。

薬は飲んだが未だ引いてくれる気配は無い。

まぁ、飲んだのが即効性のあるヤツじゃないからな…そこは別に構わん。

熱冷まシートも貼ってもらって少しはマシになるかと思ったけど、実際はそうはいかなかったらしい。

うーん…これは参った。

仕事しようにもこのままじゃ普段の調子のようにはいかない。

つか、頭クソイッタイ時にパソコンなんざ弄ろうもんなら悪化するわ。

執務室に来て机に着いたのは良いものの、如何せん頭痛過ぎて仕事出来ん。

でも、やらなかったらやらなかったで溜まっていくしなぁ…。

其れはめんどい。

お仕事タイムとなってやって来たこんのすけがすぐ近くの位置にちょこんと座って指示を待っている。

うーん…しゃーないな…。

頭痛過ぎて回らん頭をどうにか働かせて、今日やる分の仕事の指示を出した。


「今日はもうアナログの仕事しかせぇへんぞ。デジタルのやった暁には、俺の体調更なる悪化遂げるだけで終わるからな。つっても、アナログのもそんな出来ひんかもしれん事は先に言うとくで。頭痛過ぎて集中もクソもあらへんからにゃあ」
「アナログ…という事は、おもに書類仕事のみを片付けられるという事ですね!了解です!では、私の方は本日必要になる資料の方を纏めておきますね!」
「おう、宜しく頼むでこんちゃん」


さてはて、今日やる事は一通り決めたは良いけど…仕事手伝ってくれる近侍まだ決めとらんかったなぁ。

誰に頼もうかと思案していたら、カラリと開いた障子戸の音に顔を上げる。

見遣ると、其処には前田君と障子の陰に隠れてはいるが光世ちゃんも一緒に居るっぽかった。

二人してどうしたのかと首を捻ると、前田君が入室の許可を問うてきたので、一先ず了承して部屋に入ってくるよう促した。

部屋に入ってくるなり、きちんと正座をしてお話をする姿勢を作った前田君を見れば、常と変わらぬ調子ではきはきと喋り出した。


「お仕事中にすみません。少々お伝えしたい事がございましたので、貴重なお時間を割いて頂きました」
「はぁ…まぁ、其れは全然ええねんけど…私に伝えたい事って何?」
「確か、まだ本日の近侍はお決めになっていなかったかと思いましたので、それならばと僕は大典太さんを推薦しに来ました…っ!」
「光世ちゃんを推薦する理由とは…?」
「今日の主君はお加減が優れないご様子でしたので、少しでも早くよくなって欲しいなという思いで、大典太さんを推薦致しました。ほら、大典太さんには病切の異名というか、逸話がありますから…!きっと力になれると思ったんです!」
「元々は怪異を斬ったりするのが専門だが…俺は霊力が高いんでな。其れを買われてよく病に侵された奴の元へと貸し出されて、病を祓うのにも役立たされていたんだ。…アンタ、今日は起きてからずっと調子が悪いんだろう?どれだけ効果が出るかは分からんが、今日一日俺を側に置いておいたら少しはマシになるかもしれん。……まぁ、俺みたいな奴がアンタの側に居るのは居心地が悪くなるだろうが」
「いや、そんな事あらへんから安心せいて。…けんど、成程にゃあ〜。確かにそういう意味では今日の近侍にはぴったりやんね!その案採用!!」
「良かったですね、大典太さん!」
「あ、あぁ……」
「それにしても、丁度近侍誰にしようか悩んでるとこやったからタイミング良かったわぁ。有難うね、前田君。助かったわ」
「いえ!主君のお役に立てたのなら良かったです!」
「んじゃま、今日一日近侍兼お手伝い宜しく頼むね、光世ちゃん」
「あぁ、任せておけ。俺が必ずアンタの病を祓ってみせよう」
「いや、病って言う程のもんではなくてだな…単に頭痛いだけであって、そんな大層なもんでもあらへんで?じゃから、そんな気負わんくてもえいて」


前田君の計らいにより、無事本日の近侍も決まった事で、今日最低限やるべき分のお仕事開始なう!

取り敢えず、あまりにも頭痛が酷いので、限界値に到達するギリギリのラインまではやれるだけのとこまでやってしまおう。

紙書類の束をデンッ!と机のど真ん中に持ってきて、提出期限の近い物から優先的に片付けていく事にした。

光世ちゃんには、私以外でも捌ける分野の書類を渡して、終わった分には印を付けてチェック担当に回せるよう纏めておいてくれと頼んだ。

私はというと、自分しか捌けない類いの書類とひたすら向き合うだけである。

お互い仕事に集中し出すと、元々そんな言葉数多くないタイプ同士故か、暫く無言の間が続いた。

いやぁ、それにしても光世ちゃんの存在感パネェな。

圧倒的に体格がデカイって事も勿論あるんだろうけども、何だろうな…そもそもの存在感が凄いんだよなぁ。

まぁ、其処はの有名な霊刀だし、天下五剣に名を連ねる一振りだから?

当然っちゃー当然なんだろうけど…。

思えば、光世ちゃんを近侍にした事って指折り数える程の数回程しか無かった気がするから、そのせいもあるかな。

光世ちゃんがずっと側に居るって感覚に慣れない。

向かい側で黙々と書類を捌いている彼の事を盗み見るようにチラリと視線を向けると、そのタイミングで向こうからも此方に視線を向けられ、ちょっとドキリとした。


「…どうした、何か不具合でも見付かったか?」
「あーいや、そういう訳ではなかったんだけど…」
「そうか…。なら、俺に何か用だったか…?」
「あ、や、そういう訳でもなく…」
「……?そうでないなら、どうした…?」
「あー…まぁ、その…光世ちゃんと一緒にお仕事するのってそんなになかったから、ちょっと新鮮だなぁ〜って思って…其れで、つい……。気に障ったのならすまん」
「いや…別に其れくらいで気にするという事は無い。寧ろ、アンタからしたら、普段側仕えなんてしてない俺が側に付いているのに慣れないんだろう…?」
「ん〜、ぶっちゃけたら光世ちゃんのあまりの存在感に戸惑いを隠せないという感じではありますかね…っ。本当気にしとったら御免やけど…!」
「ふっ…だろうなとは思っていた。そういう事には慣れている。主は気にしなくて良い…。まぁ、そんなに気になると言うのなら、極力気配を小さくして影を薄くしておくが…」
「え、や、別にそこまでしてもらわんくても良いよ!?私の為に側にってくれるってだけでも十分に感謝しとるんやから!!気遣いありがとね!!光世ちゃんはそのままの光世ちゃんで居て…っ!!」
「………分かった」


何か勢いで変な事言った気がしなくもないけども、光世ちゃんが嬉しそうにちょっとだけ口角上げてくれたの可愛かったし、その後何故か無言で桜散らし始めたから取り敢えず機嫌良くなるような良い事あったんやな、って思う事にした。

光世ちゃんのお陰か、一先ずは何とか今日やれる分だけのお仕事を終わらす事が出来た。

途中から薬の効果も効いてか、最初の頃よりかは頭痛の酷さも幾分かマシになったし。

一時はどうなる事かと思ったけど、案外頑張れたんとちゃいますのん?

無事何とか最低限の分の仕事を片付け切って、解放感に脱力し、「終わったぁ〜……っ!」と雄叫びを上げて机に伸びるよう突っ伏していると、向かいから労うような頭ぽんぽんが降ってきて視界を上げる。

すると、不器用ながらも私の事を労おうとしてくれているのか、「…よく頑張ったな」という台詞付きで頭を撫でられた。

しかも、若干のはにかみ笑顔(控えめ)も浮かべてである。

いや、もうソレ飛んだ爆弾やないですか、と別の意味で顔を伏せる事になるのだった。

たぶん、今日一の笑顔だったと思う。

一瞬、頭痛いのなんて吹っ飛んだわ、というくらいの衝撃(癒し)を食らったのは確かである。


執筆日:2021.04.23