画面をずっと見続けて目が疲れたからと目薬を点した後、目薬が馴染むまでというのと目を休ませる為の意味も含めて上を向いた状態で暫く目を瞑っていたら、不意に誰かにキスされたような感覚が降ってきてぱちりと目を開けた。
すると、どうやら相手は通りすがりのたぬさんだったらしく、其れにまた驚いて目を瞬かせる。
「え…何で今キスされたん、俺?」
思わず、思った事をそのまま訊けば。
「キスして欲しくてキス待ちしてんのかと思った」
と返され、更に驚いた。
「いや、単に目ぇ疲れたから目薬点して馴染むの待つ間目ぇ休ませてただけなんだけど…」
「悪ィ、勘違った」
「や、まぁ…別にキスされるの嫌じゃないから良いけどね」
何とも面白い出来事があった日であった。
―そんな事があったまた別日に、仕事を片付け終わって疲れたからと畳にごろんちょ寝転がっていたら、先日と同じパターンでまた通りすがりの彼にチューされた。
いきなりの事に吃驚してぱっちり目を開き、言葉にもならない「え、なん………っ????」という言葉を漏らして見つめ返せば。
「仕事お疲れさんって言うついでに労いのつもりでした。…駄目だったか?」
と返ってくる。
其れに対し、動揺を隠さぬまま返事を返した。
「え…や、別に駄目でもないし、嫌でもないから良いんだけどさ……どしたん?何か最近やたら馴れ合ってくるというか、構って欲しがりというか…」
「ん…特にこれといった理由は無ェけど、何となくアンタとキスしてぇなって思ったからキスした」
「何ソレ。可愛過ぎるかよ。萌禿げるわ」
あまりの可愛さにそのまま顔を覆って悶えていたら、構って欲しさにちょんちょんと
もう、そんなに可愛さ溢れさせて審神者どうさせたいん?
「アンタに構って欲しいだけだよ。……まぁ、可能なら戦にも出して欲しいけど、望み過ぎんのは良くねぇからな。無理は言わねぇよ。アンタにはアンタのペースがあるし。それに、戦に出たら負傷すんのは当然だし、其れでアンタの手ェ煩わすのも無駄に資材消費させんのも避けてぇしよ。我が儘も程々に、…ってな」
いや、良い子過ぎるかよ。
思い遣りある子に育ってくれて審神者嬉しみが過ぎるわ。
感激のあまり、思わず勢い余って思うままの感情をぶちまけた。
「今度また別のイベント用に出陣部隊組むから、順番回ってきたらたぬさんも戦出してあげるね!いや、絶対出しちゃるわ!!うん、絶対出す…!!だから、それまで待ってて!!」
「おう、ありがとサンクス。でも、今は無理しなくて良いぜ。仕事終わったばっかで疲れてるだろうしな。ゆっくり休んでろ。茶が必要なら俺が持ってきてやるし。何だったら、糖分補給用に菓子も持ってきてやろうか?どうせ頭使いまくって脳味噌疲れてんだろ」
「うわマジかよ、あざーっす。たぬさん優しい、スッキ…」
「知ってる。から、後でもっかいキスさせろよな。予約は入れたぞー」
「わー、予約されましたぁ〜!」
はははっ、と軽く笑い合いながら部屋を出ていくたぬさん。
平和な日常み且つユルくて可愛い。
…にしても、頭ユル過ぎる会話だったなぁ、今の。
度々審神者の頭は馬鹿になるし、語彙力どっかに行くからしょうがないとして諦めるか。
いや、流石のこれ以上馬鹿になるのは情けないというか頂けなさ過ぎるので、程々に留めておこうと思い直して彼が戻ってくるのを待つのであった。
執筆日:2021.05.30