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夏だ!海だ!むっちゃんの季節だぁ!!



 審神者になる前は着てたんだけど、何となくここ数年は着ずに仕舞い込んだままで箪笥の肥やしになっていた半袖Tシャツを発掘して着てみた。
そしたら、その日、朝起きて一番に逢ったのはむっちゃんだった。


「おはよう、むっちゃん。今日も良い天気で暑くなりそうやねぇ〜」
「おぉっ、主、おはようさん!可愛いかわえい服着ちゅうねぇ、よう似合うちゅうよ!」
「ん?そう?コレ、久々に着たヤツだからどうかなぁって思うてたんやけど」
「よう似合うちょるき、心配しなや!大丈夫じゃ、今日の主もまっこと可愛い!」
「まぁ、むっちゃんがそこまで言うんなら大丈夫かな…?流石のべた褒めは恥ずいけど」


 着てたTシャツ見てから何やらご機嫌な様子でにこにこし出すむっちゃん。
“どしたんだろ〜、朝から何か良い事でもあったんかなぁ〜?”とか思って小首傾げて朝御飯食べてたら、気付いた安光コンビが側までやって来て声をかけられてしまった。


「どうしたの、主?首傾げて不思議そうな顔してさぁ」
「いやね、今朝方、朝一番にむっちゃんに逢ったんやけど…何か私のTシャツの話題あってから妙に機嫌良さげなんが気になってさぁ〜」
「あー、それね…」
「たぶんだけど、今、主が着てるTシャツの胸元にプリントされた錨マークの模様が彼奴の刀紋っぽく見えて、其れをナチュラルな空気で着てる主の様子見て嬉しくなったんじゃない?」
「え、そうなの?」
「僕の推測はだけどね」
「ほら、偶々だけど自分の刀紋っぽいデザインの服を選んで着てたら、自分の事好きアピールみたいな感じしてこない?もしくは、着る服さえも自分をイメージした物を着るくらい自分の事好き(無自覚)なのかなぁ〜って」
「成程…有難う二人共、お陰でモヤモヤしてたのが解決したみたい!」
「此れくらい、お安い御用ってね」


 安光コンビからの指摘を受けて、ささっと御飯を食べ上げた直後、今しがたの件も踏まえてむっちゃんの元へと行って話しかけてみた。


「むっちゃあ〜ん!」
「おん…?そがに慌ててどういたぁ、主?」
「いや、ちょっと今朝方逢ってからのむっちゃんの様子が気になってさ…清光達に話聞いてもらったら、居ても立っても居られなくなっちゃって!」
「お、おぉ…?何やよう分からんけんども、わしがどういたち?」
「実は、今朝起きて着る服選んだ時ね…“この服、むっちゃんの刀紋っぽい柄だなぁ〜”って思ったのが理由だったんだよ!だから、朝イチでむっちゃんに逢って“よう似合うちゅう”って褒められてめっちゃ嬉しかったんだぁ〜…っ!」
「ほにほに、其れは偶然にもえい事したにゃあ〜!まぁ、似合うちゅうんはほんまの事じゃったき褒めたんじゃが、主が嬉しい事はわしも嬉しいきに。…ほいで、まだ何ぞ言いたそうやにゃ?遠慮せんと話してみぃや」
「あとね、夏は海ってイメージ強くて、むっちゃんの刀紋にも描かれてる錨マークがデザインされてる事多いから、言ってしまえば、夏はむっちゃんの季節って感じするよね!半袖服のデザインには大抵錨マーク付いてるし…」
「お、おん…そうやにゃあ?」
「――ハッ!?私、天才的な事に気付いちゃったかも…!!夏は基本半袖、つまりはほぼ毎日錨マークデザインされてる系の服を着れる=むっちゃんイメージ祭りとなるのでは!?っひゃあ〜!!そんなテンション上がる事なくないか!?私マジ天才じゃね!?ははっ、やったねむっちゃん…っ!!」
「………主、頼むき、一遍落ち着いてくれんか?其れ以上煽られたら堪えられんぜよ……っ。ちゅーか、確実に理性を抑えられんくなる自信しかない…」
「え、何で?嬉しくないの?私はむっちゃんの事好きやから、夏場だけでもむっちゃんスタイルな服着れるんならめちゃくちゃ嬉しいんやけど。だって、毎日むっちゃんを近くに感じる事が出来るんだよ?其れってとっても素敵な事じゃn、――っんむ!」


 其れ以上喋るなと遮るようにキスして物理的に口を塞いできたむっちゃん。
そして、唇を離してから少し恥ずかしそうに照れながら、


「其れ以上言うたら、今以上に口塞いで喋れんようにするが…えいんかのう?」


 …と、宣ってきた。
その色気混じりの雄みに頭すっかりぽわぽわに溶かされて溶けちゃった私は、雌顔でおねだりするみたく上目遣いでこう返した。


「今すっごくむっちゃんで満たされたい気分だから、是非とも好きにキスしてもらいたいなぁ〜…――という事で…どうぞ、気が済むまでいっぱいキスしちゃて?勿論、むっちゃんがキス以上の事もしたいって言うなら…オッケーしても良いよ?だって、私…もうずっと前からむっちゃんの虜だし、むっちゃんしか見えてないんだから。いっぱいいーっぱいむっちゃんで満たして?」
「〜〜〜ッ!!そがな事言われたら男として答えなアカンって思うやないかァ…ッ!!こんべこのかぁ!!どうなっても知らんぞ!?」


 私の言い放った台詞で何とか保ってた箍も外れたのか、真っ赤な顔してそういきり立ったむっちゃんは、私をお姫様抱っこしてお部屋へお持ち帰りコースという流れに。

 その後の流れは、日がな一日部屋から出て来る事は無く、お昼過ぎまでの五時間くらい籠った後も、一度お昼食べようってなって本来の時間より遅くなった昼御飯を済ませてからもずっと二人仲良く部屋に籠ってハート乱舞させながらにゃんにゃんするのだった。


執筆日:2021.08.07