※本番には至っていないので、R-15レベルだとは思っていますが、終盤かなり過激に思える描写もございます故、苦手な方は回避願います。
戦場から帰ってきてすぐの事だった。
第一部隊の隊長として出陣していた報告の件で訪ねたのだろう。
しかし、部屋へやって来るなり、彼は私を机に張り付ける勢いで口付けてきた。
突然の出来事だった故に、抵抗も制止も挟む間も無くの事であった。
久し振りの戦に猛りを抑え切れなかったか。昂りを押し付けるが如く熱い唇を押し付けてきて、半ば蹂躙するみたく口内を舌で
随分と鉄臭い味のするキスであった。唇を離された時には、血混じりの薄赤色の糸が伝って切れた。
「ちょっと……いきなりのキスはやめてって、前にも言ったよね…?心臓幾つあっても足りないからって……」
「悪ィ……どうにも収まりが付かなくて、つい衝動的にがっついちまった…」
「おまけに、血の味しまくるんですけど……?」
「敵の攻撃一発食らった拍子に、口ん中切れたっぽい。慣れてっけどな」
「其れなら、口付けする前にまず手入れが先でしょ、このお馬鹿さんが…っ」
「アンタと接吻したくて堪んなくなったから、帰城するなりいの一番にアンタんとこ来たんだろォーが。分かれよ、いい加減さァ」
「分かるか!んな一々細かい事情なんざ…っ!」
「ハッ。いつまで経ってもウブさが抜け切らねぇ奴に言われたか無いねェ」
「開き直んなし」
「イデッ。おい、手荒ェぞ扱い……仮にも怪我人だぞ。もうちょい労れ」
「たかが軽傷負ったくらいで大袈裟な口叩くんじゃありませんっ」
ぐいっと口端から顎先まで垂れていた唾液を拭い去ってから、彼を手入れしてやるべく手入れ部屋へと連行する。
この間、しょうもない軽口を叩かれたが、相手にせず、軽く流して手入れ部屋へとぶち込んだ。多少荒っぽくなってしまっても、ご愛嬌で許せ。掠り傷程度なら、“舐めときゃ治る”の一点張りで放置しかねない、自分の体の事すら省みない刀なので、少々強引にも引っ張ってこないと手入れされないのだ、
仕方なく、先程の一方的な乱暴なまでのキスすらも許して、手入れの準備を進めていく。
敵より受けた傷は、幸いにも大した損傷にはならなかったようで、ほんに浅い傷にしかならなかったようだ。一先ず、安堵して、懐紙で本体の刀身を挟み、古い油を拭い落としていく。次いで、打ち粉をぽんぽんしてやり、負傷した傷を治していく。
本体の傷が修復した頃には、人の身の方の傷も塞がり、綺麗さっぱり消えて無くなってしまっていた。元より彼の体に刻み付けられている傷痕の数々が消える事は無かったが。
すっかりピンピンに元気になった彼へ、修復し終わった本体を鞘に納めて返却した。
「ハイ、手入れ完了。今回もお疲れさんっした!」
「おう。相変わらず、アンタに手入れされんのは良い気分だなァ」
「私としちゃあ、よく分かんない感覚だけど……まぁ、たぬさん達手入れされる側からしたら、そんな感じなのねって事だけは分かったわ」
「相変わらずの語彙力の無さァ…」
「うるせぇ。ちゃんと手入れしてやってるだけ有難く思え」
「発言が横暴だろ。仮にも本丸の主勤めてる奴が言う言葉じゃねェーな」
「うるっせぇ。文句言う暇あったら、帰城して即真っ先に負傷等の報告しろや。私、まだその件を許した覚えは無ェからな。報連相、此れ鉄則だろ?些細な事でも報告は怠るな。いつも言ってる事だぞ。今更忘れたとか言わせんぞ、古参刀」
「へーへー、わぁーってますよぉ、主様ァ」
「反省の色が全く見えんわ。こんわりことしめ」
「今、この場で他の奴の口調真似るとか、アンタ空気読めてねェーな」
「むっちゃんの土佐弁真似て言うたんはワザとじゃ」
子供がするみたく、「べ、」と舌を出してあっかんべと挑発してみたら、短気な彼はすぐに乗っかってきて、仕返しに出てきた。挑発のつもりで出していた舌に、引っ込める寸でで噛み付いてきたのだ。勿論、傷付かないようにと加減されての甘噛みだった。
捕まえられた舌は、そのまま彼に甘く吸い付かれ、じゅるりと吸われた。
途端、ふにゃりと力の抜けた此方に好機と見て、人目に付かぬ場所に二人きりで居るからか、遠慮無しに食い付いてきた。言葉通りの意味である。まこと、私を食べる勢いで私の唇と舌を貪ってきた。くちゅくちゃり、ぴちゃぴちゃと、卑猥な水音が耳の奥を犯してくる。
すっかり抵抗のての字も出来なくなる程
「ん……やっぱ接吻に蕩けたアンタの顔見んの、好きだな」
「……ふざっくんな、コノヤロー…。ちっとは人の事考えろやバカヤロー……ッ」
「その割には良い顔して必死に付いてこようと健気だったがな」
「うるへー………っ。こちとら、お前の散々なキスのせいで舌も唇も痺れてシビシビしてんだよ……っ。責任取れよな…?」
「戦帰りで昂って餓えてる俺の前で、舌出して挑発してきたアンタが悪ィんだよ。…まっ、責任は取ってやらねぇ事も無ェがな…?今のアンタ、息荒くなってトロ顔なってんのも含めて、大層色っぽくなってるしなァ」
「誰のせいでだ、誰の……ッ。この変態め…!」
「おまけに、薄暗い部屋ん中で、赤く染まった唇が紅差したみたく映えてるしな……据え膳食わぬわ何とかってヤツだろ?」
「は?紅……?」
普段からノーメイクで居る故に、紅なんて差した覚えは無いと思ったところで、先の審神者仕事部屋での口付けを思い出した。成程、今唇が赤く染まっているのは、恐らく口の中を切った状態でのキスで血糊を移されたからだろう。
彼との深い口付けで付着した血液が、結果的紅を差した時同様に唇を彩ったという事か。何とも卑猥で淫靡な事だろうか。皮肉な事に笑けてきてしまった。
思わず吊り上がった口角に、妖艶にも誘ってきていると見たのか、獣の如く爛々と煌めかせた
「アンタもその気になったんなら、もう止めるとか野暮な真似はしねぇよなァ…?」
「ハイハイ…降参ですよ、もう。……たぬさんの好きにして良いよ。但し、手加減はしてね…?足腰立たなくなったら仕事に差し支えるから」
「昂ってっから、多少荒っぽくなるかもしれねぇが…我慢しろよ」
「ははっ……いつもの事じゃん。今更過ぎる前置きでしょ」
「抱き潰しちまったら悪ィ」
「意識飛んで落ちた時は、いつも通り布団で寝かせといてくれたら良いよ。遅れた分の仕事は後から巻き返す。そんときゃ、手伝ってくれるんでしょ…?」
「当たり前の話だな」
「じゃあ、交渉成立って事で……好きなだけ抱きなよ。いっぱいいっぱい抱きまくって、たぬさんで満たして」
「飛っんだ殺し文句だな…ッ」
「ンフッ、たぬさんにしか言わないし」
「凄ェ殺し文句過ぎて、マジで滾るわ、アンタ」
「そんな私が好きな癖にさ」
「もうその口塞ぐぞ」
「んンッ……ふっ、ン…む、」
散々口付けといて、まだ足りないって言うみたく、また深く何度と角度を変えながら私の口へ貪り付いてきた。
次第に行為はエスカレートしていき、衿元は開かれ、肌を暴かれていく。
優しく激しく肌に触れられれば、都度、体中を駆け巡る言葉にし難い快感に切ない嬌声が洩れ、淫らに体を捩っていった。
時折、喘ぎ声は彼の口へと飲まれていって、少し苦しかったけれど、其れもまた燃える行為の一つに過ぎなくて、下履きの内側はしとどに濡れそぼっていった。その内、熱く硬く反り勃った彼の逸物が服越しに押し当てられて、互いに息荒く擦り付け合う。
最後は服なんて邪魔な物全て脱ぎ捨てて、生まれたままの姿を惜しみ無く曝すのだ。そうして、彼と裸で縺れ合うようにして
……まぁ、これ以上の事は、野暮だから語らないでおくけれど。
Title by:moshi