とある城の本丸に所属するとある刀剣男士には、稀に見る特殊体質があった。顕現した時点より、持ち主である審神者の心の形状が
何故、
自分は、この本丸で初めて顕現した時から、他には無い少し特殊な性質を持ち合わせている事に気付いた。他の仲間達には見えない、本来ならば見える筈もないものが見えるという現象だ。さて、ならば何が見えると言うのか。端的に言えば、自身の主である女の心である。もっと正確に言えば、心の形状が見えるというものだった。他の者達の中身は見えないのに、何故か彼女のものだけ見える、何とも不思議で不可解な能力だった。
――こんな意味も分からない能力、何の役に立つんだか……。
初めはそう思い込んで、戦の役にも立たなさそうな使い所も無さそうな力に意味を見出だせず、持て余すばかりだった。だが、ふとした時に見た彼女の心の形状が、どうにも
自分の主だと言う女の心は、見るからにボロボロであった。繕う端からぽろぽろと欠片が零れ落ちていくような、痛ましいとしか言い様のない、悲惨な形状。けれども、彼女の口が語るは其れを取り繕い装った表向きの言葉のみ。隠すのは、余計な気遣いや心配をかけぬ為であろう。どうして、そんなボロボロになってまで戦の指揮など執っているのか、不思議で堪らなかった。けれど、その根底には自身が顕現した意義と使命とが重なって見えたのだ。だからこそ、女の身ながらも勇ましく本丸の大将として振る舞い自分達を束ねて歩む姿に鼓動の高鳴りを覚えた。
それからというもの、他と違って顕現時より疵だらけの見目で顕現した事から何処となく親近感を覚えると同時に、
執筆日:2023.11.02