ふと、視界の端でキラキラと光を反射しながら揺れる存在がチラチラと映り込む。
一度、目に留まった其れを意識の外へと追い遣るのは中々に難しく。彼が動く度に揺れる其れをじっと見つめていたら、此方の視線に気付いたらしい彼が小首を傾げながら問うてきた。
「ん……? どうかしたか、相棒。俺の顔に何か付いているか?」
刀のお巡りさんと名乗るに相応しい、親しみやすさに溢れた面倒見の良いお兄さん気質な笑みを浮かべて此方を向く彼の言葉には、何ともおざなりな「いや、別に……」という反応を返しながら徐ろに手を伸ばす。
事務処理の為にアナログ式で記入する書類を片す傍ら、ローテーブルを挟んで向かい合わせに座っていた所為か。正面に居る彼との距離は近かった。
特別な理由も無しに突然己の顔という目前まで伸ばされた手に驚いたのだろう。彼は小さく驚いたように目を瞠って、手の行く末を見守っていた。伸ばした手が行き着いた先は、そのすぐ後で、彼の左耳を飾るピアスだった。
指先が硬質な金属製の感触に触れると、“二筋”の名の由来である二本の護摩箸を模したピアスがシャラリと揺れ、その存在感を示す。徐ろにその片方を無言で軽く弾けば、衝撃が振動となって耳朶から伝わり、此方が何を仕出かしたのかという情報を受け取ったのだろう。殊更驚いたような反応を示した彼が、堪え切れずに口を開いた。
「お、おいっ……さっきから何なんだ? そんなにこの耳飾りが気になるか?」
戸惑い半分、擽ったさ二割、純粋な好奇心三割といったところだろうか。決して怒ってはいないけれども、此方の意図を掴みかねている様子に、手遊び紛いの悪戯を仕掛けた理由を口にした。
「君が動く度に視界の端でチラチラゆらゆら揺れるのが目に入って、何となく。金色だから光を反射すると、キラキラして、余計視界に入ってしょうがなくてさ。半分意趣返しのつもりでやった」
「成程。此れの所為で集中力が削がれたって言いたいんだな? 俺の相棒は、
「俺は元々猫っ気の強いタイプだよ。だから、視界の端で何かが動いたりすると、つい目で追いがちなんだよね」
「益々猫みが増してくる話だ」
「だから、仮に君が何もしてなくとも、揺れるピアスの存在が俺の意識を逸らしちゃうのさ」
「端的に述べて、書類を書くのに飽きたって事だろう、其れ」
「仕事だから遣らなきゃいけない事は頭では分かってるんだけどね。其れよりも、今は君のピアスの存在から目が離れにゃい……というよりは、離しちゃいけにゃいって感じに意識が向いちゃってる」
「いや、完全に獲物や玩具を狙い定めた猫の其れと同じじゃないか! あんたは人間の筈だろう!? しっかりしろ、相棒! 正気に戻れ……っ!」
想定よりも斜め上な回答が返ってきたからだろう。動揺を隠せない様子の彼が思い切り心配した目で此方を見つめながら両肩を掴んできたと思った瞬間には、軽く前後にガクガクと揺さぶられて脳味噌までもが揺れる。その不快感に顔を
「俺は
「普通の人間にそんなものはない筈だろう! ああもうっ……そんなに気になるのなら、この仕事が片付くまでは外しておくから、其れで問題は無いな?」
「にゃんだ、外しちゃうのか……勿体ない」
自分の反応が招いた事だが、いざ定位置にある筈の場所から外されてしまうと、何故か物悲しい気分に陥った。彼と向かい合わせで片していた書類と書類の間付近へと安置された其れに手を伸ばして、人差し指の先っちょでちょこんと触れる。外されたばかりの其れには、まだ彼の体温の残り香のようなものが感じられた。実際に手に取ってみると、硬質な金属製の冷たさよりも、彼の霊気と残り香的温もりの方が勝って、何とはなしに呟いた。
「此れ、ちょっとの間預かってても良い?」
「別に構わないが……相棒はピアス用の穴とか開けてなかったよな?」
「うん。だから、単に持ってるだけ。仕事の邪魔にならないようにポケットに入れておくよ」
そう言って、宣言した通りに上着のポケットの中へと仕舞って、その存在感をポケットの上から確認するようにポンポンと叩いた。
その後は、それまでの些細な喧騒があった事など嘘のように、二人揃って静かに事務作業へと集中した。基本的に仕事は溜めずに適度に片付けてしまう派なので、本日分の仕事は大体八つ刻くらいには終わった。
「此れで、今日こなすべきノルマ分は終了〜……っ」
「はい、お疲れさんでした」
「お疲れ〜。提出する分は、纏めてファイルに仕舞ってから封筒に入れようか。糊付けして封閉じたら、後はこんちゃんに提出するだけや。ちゃちゃっと其れも片付けてしもたら、休憩にしよか」
「そうだな。其れが良いだろう」
最後の細かい作業まで見守ってもらったら、今日のお仕事はお終いである。きちんと封がされた事を確認した書類を、喚び付けた管狐へと手渡してしまえば、提出作業は完了だ。途中、思わぬところで集中力を削がれる出来事はあったものの、無事何事もなくお仕事が済んで何よりである。
「さて……仕事が終われば、御褒美のおやつタイムだ! 今日のおやつはにゃんだろなァ〜」
「相棒は疲れてるだろうから、俺が厨まで取りに行ってくるよ。そのまま座って待っていてくれ」
「いや、気分転換ついでに、他の子等が何してるかとかそれとなく見ときたいから、一緒に付いてくわ」
「そうか? なら、一緒に行くか」
先頭を行く彼に付いていく形で母屋の厨までを目指す。その道中も、ふと目の前で揺れる彼の肩に羽織られたジャケットの存在が視界を過る。彼が歩く度に揺れる装飾品の紐の部分だとか袖口などに、つい目線が向いて、ゆらゆらと揺れる。
大人しく無言で付いてくるだけの自分の様子が気になったのだろう。不意に首だけで後ろを振り向いた彼の目に映ったのは、丁度彼の肩で揺れるジャケットの袖先にちょんちょこ指先でソフトタッチしている瞬間であった。途端、やけに静かな様子であった事を察した彼が、緩やかに相好を崩して吹き出す。
「また、猫みたいな真似してるな」
「視界の端で揺れる君のジャケットのひらみが悪い」
「今日の相棒は、本当に猫みたいな感じで可愛いな。そんなに気になるなら、捕まえてみるか?」
「いや、捕まえたい訳じゃないから良い。ただ、視界の端で何か揺れる物があると、疼くものがあって反応しちゃうだけにゃんで」
「俺の相棒は
「残念な事に、君が顕現する前からだし、何なら俺が審神者を始める前からこうだよ」
「其れは、残念な事に入るのか……?」
「人としては残念な部類に入るでしょ。俺は気にしないけど。元からこういう気質なんで。何なら、年々猫みが増してる可能性すらあるぐらいだしな」
「頼むから、人間として大事な人間らしさを捨てないでくれ」
「マジレスされちゃった……」
他愛ない話をしている内に、結局目の前にある物の一部を掴んでいた方が安心力があるのに気付いて、彼のジャケットの袖先をちょこんと摘んで持つ事にした。たぶん、彼としては、腕を掴むか、手を繋ぐかの方が良さそうに見えたが、揺れる物が目の前にあっては落ち着かない自分が納得する方法を優先してくれた模様だ。
そのままの調子で母屋の厨まで顔を出せば、丁度近くを通りかかった粟田口勢に
「おっ、主と二筋樋さんじゃん! 其れ、何してんの? もしかして、番犬のリード握ってるつもりとか、そんな感じ?」
「いや、寧ろその逆だ」
「逆?」
「俺が、猫モードの相棒に
「え、どういう事??」
「今の相棒は、どうやら……目の前や視界の端で何か揺れたり動いたりしている物があると、衝動的に目で追いかけたり、果てには猫パンチをするみたいに手を伸ばしたくなる気分なんだと」
「あ〜、だから其れで二筋樋さんの袖にぎにぎして遊んでたんだ」
「主様が猫モードを発動されている気配を察知……此れは、完全に家猫の其れと同様の行動パターンであると分析致しました」
「つまり、ただの猫じゃん」
「しかも、野良じゃなくて、家猫なのか……」
「はい。私が分析した結果では、そのような結果となっています……。まるで、南泉一文字や、五虎退の虎のようですね」
「んみ」
「鳴き声もマジで其れじゃん」
「頼むから人間らしさを捨てないでくれ、相棒……っ」
「悲壮感漂わせた二筋樋さんとの落差やばくない?」
「君達……厨の中に入るでもなく、その手前で
鯰尾藤四郎と白山吉光二人の無邪気(?)な絡みに付き合っていれば、賑やかしさを聞き付けてか、厨の中に居たらしい歌仙兼定が暖簾を掻き分けて出て来た。今日のおやつ当番係を務める一人だったのだろう。彼の背後からひょっこり興味深げに此方を覗く燭台切光忠と小豆長光の姿もチラリと見えた。
「俺達の方は、本日分の業務が片付いたんで、休憩がてら八つ刻のおやつを貰いに来たってところさ」
「今日は、にゃんのおやつ作ったの?」
歌仙兼定の言葉に爽やかに受け答えた彼の背後から、控えめに顔を覗かせて問えば、其れを見た長船二人からにっこりスマイルが返ってきた。
「色んな形のクッキーを山程沢山作ったよ! 一応、皆に行き渡るように一人何個ずつって制限を設けてあるから、皆で仲良く分け合って食べてね! 食べ過ぎや独り占めは良くないからね!」
「くっきーについては、あじにあきないように、いくつかのしゅるいをよういしたぞ。ぷれーんに、ちょこに、まっちゃのさんしゅるいだ」
「一部の刀向けに、魚型のクッキーも焼いてみたんだが、其方は
「
「そっちも味比べ用に沢山作ってあるから、主が食べる分もちゃんとあるけど……甘くてサクサクのクッキーの方じゃなくて良いのかい?」
「
「そうか。あるじにとって、それはいいおもいでなんだね。すこしだけまっていてくれ。いま、あるじのぶんをふくろにつめてわたしてあげるからね。しょくよくがなくても、くっきーならたべやすいだろう」
自分の語った何気無い家族とのエピソードを微笑ましげに聞いた小豆長光は、そう言って百均などで売っている可愛らしい柄のラッピング袋に全種類のクッキーを詰められるだけ詰めると、そっと優しく手渡してきた。
「はい、どうぞ。ねこちゃんのがらのほうが主のぶんで、あおいりぼんでむすんだほうが二筋樋貞宗のぶんだぞ」
「わぁ、猫ちゃんだ! 可愛い〜っ! あぃがと、あつき!」
「ふふっ、きょうの主はいちだんとあいらしいね」
「二筋樋さんと白山曰く、絶賛猫モード発動中らしいから、その所為もあるんじゃない?」
「あははっ、其れは困ったね。二筋樋さんの事、あんまり困らせちゃ駄目だよ?」
「あい」
「何か、幼女と猫を良い感じにミックスしたみたいなリアクションだよね、今の主」
「雅とは言い難いところだが……言い得て妙な響きではあるね」
「……俺の相棒は、
「主の此れは一種の甘えたモードみたいなモンだから、デレ期に突入すると見られる光景かな? まぁ、直前までデレデレの甘えたモード発揮してたかと思うと、スイッチ入れ替わった瞬間塩対応になるけどね」
「成程、分からん……」
「にゃむにゃむ、お魚クッキーおいちぃ。ウマウマ」
「うまぴょい?」
自分の事を
「君の愛馬が! ずきゅんどきゅん走り出し〜♪」
「ふっふー♪」
「ばきゅんぶきゅん駆けてゆくよ〜♪ こんな〜レースは、は〜じめて♪」
「三・二・一、fight♪」
「ずきゅんどきゅん胸が鳴り〜♪」
「ふっふー♪」
「ばきゅんぶきゅん大好きだよ〜♪ 今日も〜かな〜でる〜♪」
『はぴはぴダーリン♪ 三・二・一、go fight♪ うぴうぴハニー♪ 三・二・一、うーfight♪』
それまでローテンションだったのから打って変わったようなハイテンションぶりであった。突然歌い出した事に驚いた彼は、ギョッとした目で此方を見ていた。
そもそもがこういう時はわざとネタを振るタイプの鯰尾藤四郎なので、此方がノリに乗って歌い出せば、合いの手を入れて一緒に歌ってくれたりとその場を盛り上げてくれる。そして、仲良く一頻りサビを歌い切れば、互いを称えるようにサムズアップし合うのだった。
厨に居た
そうこうしていれば、何処からともなく歌声を聞き付けてか、三郎国宗が暖簾の隙間からにょきっと顔を覗かせた。
「何やら景気の良さそうな歌声が聴こえてきたのですが……本日の歌合戦会場は此方で?」
「おや、流石は三郎氏。耳が良いね。どっから聞き付けてやって来たんだい?」
「渡り廊下近くのお庭をお散歩しておりましたら、主の御声と思しき歌声が聴こえてきたものですから。是非とも私めも歌合戦に混ぜて欲しいと思い、こうして馳せ参じた次第に御座います」
「めっちゃ遠いところから飛んで来てんじゃん草」
「それで……次はどのような歌をお聴かせ願えるのでしょ?」
「此処は厨で、ライブ会場ではないから、歌うなら他所でやってくれ
「ほら、主、三郎さんもアンコール希望出してるから、次の曲行く為にも移動しよう!」
「まさかのアンコール確定演出決まっとるんやが」
「皆、主の歌声を聴くのが好きだからね! 調子が良ければ、少しだけ付き合ってあげて! 後で差し入れのお茶持って行くから!」
「俺、他の兄弟や江のメンバー達にも声かけて、サイリウムとか
「観客が大勢増えるのであれば、歌流しするのは大広間辺りが適当で御座んしょね?
厨組から盛大に送り出された挙句、つい先程ハモった仲間の鯰尾藤四郎は場所移動を促したかと思えば、盛り上げ要員のギャラリーと道具を集めに自分を置いて行ってしまうし。何故か既にカラオケする前提で話を進めていく三郎国宗は、歌う場所とカラオケ機器を確保しに向かってしまった。人前で歌うのに抵抗が無いタイプだから構わないけれども、せめて他人の意思は聴いて欲しい。
「皆俺の意思総無視で話進めてくじゃん?? しかも、ギャラリー更に増やす気かよ。しかも、ペンラまで用意するとか正気か??」
「さっきいきなり急に歌い出した相棒の方が正気を疑ったぞ……? 鯰尾の方は、まだ何となく分かる気がしなくもないが」
「酷ェ言い草やんけ。でも、ずお兄に対する解釈は一致してるところに、草しか生えねぇの控えめに言ってワロタ」
「それで……? もう一曲と言わず、あんたの歌声をもっと聴かせてもらえるのか?」
「さっき軽く引いたみたいな感想零した直後にその返しは狡くないッスか?? まぁ、ずお兄と三郎氏にけしかけられたんで、絶賛何か歌いたい気分にはなってるけども」
「どうせなら、さっきの曲をもう一度最初から聴いてみたいな」
「あ゙ー……“うまぴょい伝説”はなぁ、サビはギリ歌えても、フルは殆ど練習してないから歌えないんだ。代わりに、“VOLTAGE”の方なら歌える。曲調的にも、ソッチのが格好良くて好きだし、何より歌いやすい。“VOLTAGE”も同じウマ娘ソングだから、今度原曲を聴いてみると良い。癖になる程にハマるぞ。俺なんてネットで動画見てる時にCMで流れた瞬間にビビビッと来て、“此れは俺好みの曲だ……っ!!”って思うなり即検索して原曲聴きに飛んだくらいだからな。マジで推せるから、是非とも一度原曲を聴いてみてくれ。飛ぶぞ」
「あんたがこれから歌ってくれるんだろう? なら、わざわざ原曲とやらを探して聴かなくても良いよ」
「バッカお前、そういう時はちゃんと原曲も聴いて聴き比べてみるモンだろうがよ……!!」
「そ、そういうモンなのか……?」
「音楽ってのは、原曲を聴いて初めてその良さに気付くんだ! 暫く声出ししてないからあんま上手く声出せるか分からんし、伸びも良くなくなってるだろうから、ちょっち自信無いが……俺の声を聴きたいってんなら、聴かせてやるともさ!」
「もう〜っ、主さんってば〜……其処は、“俺の歌を聴けェ!”って言うところでしょ〜?」
「其れはもう完全にマクロスじゃん。いや、好きだし歌えるから、リクエストされれば歌わなくもないけどね? 今回の俺のカラオケリサイタルは、初参戦のご新規さん混ざってるから、あんま過激な歌詞の曲は控えてあげてよ〜」
通りすがりの乱藤四郎からのかけ声に、しれっと言葉を返してやりながら、厨組から貰ったお菓子の袋を持って大広間までの道を歩く。すると、今しがた自分の放った発言にピクリと明らかな反応を示した彼が、それまでにこやかに微笑んでいたのから打って変わったようにスッ……と目を据わらせて問うてきた。
「相棒……過激な歌詞の曲というのは、一体どういう意味を指すんだ……? うん?」
「アッ、貞宗さんが取り調べモードに入っちゃった……!
そう言ってなぁなぁな感じでざっくり話を纏めると、誤魔化すように先程も
「はい、確保。俺から逃げられると思うなよ、相棒?」
その後、自分の状況は、首根っこを掴まれていた状態から彼の肩に担がれるような状態へと変化し、結局大広間に着くまで解放される事はなかった。あからさまに捕獲された状態を見た、先に集まっていた者達からの感想は、「また主が何かやらかしたんだろうな……」で満場一致であった。悲しい。
大広間に着いた途端無事に降ろされたが、その際、ポケットの中へと仕舞ったままであった彼のピアスが、揺れた拍子にシャラリと擦れた音を鳴らした。「あっ」と思った時には、目敏く気付いた短刀の子等が、「今、何か音がしました!」「なんのおとですか?」とわらわらとポケット付近まで集まり、半ば促される形でピアスを取り出せば、自分と彼の顔とを見比べ始める。
「其れって、二筋樋さんがいつも付けてらっしゃる耳飾り、ですよね……?」
「どうしてあるじさまがもってるんですかぁ?」
「業務中に付けてたら、相棒が猫モードを発動して集中力を欠いた……と言えば分かってもらえるか?」
「大将ってば、相変わらず猫やってんなぁ〜!」
「まぁ、其処が主君の良さであり、魅力の一つでもあるんですがね!」
「……もしや、あんたの猫モードとやらは、俺相手以外にも発動した事があるのか……?」
「あ゙〜……まぁ……不定期であると言えばある、かな……」
「主が奇行起こすの、大抵周回疲れ起こしてる時が多いよね〜」
「徹夜して回してた時なんか、長谷部の膝見ながら“膝枕に丁度良さそうだな……”とか呟いてたし。食事そっちのけで回してた時なんかは、乱の髪の毛見ながら、“何かミートパスタ食べたくなってきた……”とか言ってたからね〜。長谷部の時のはまだギリ分かんなくもないけど、乱ん時のはちょっとやばいと思ったかな。ちなみに、ココイチで一番やばいと思った発言は、柏太刀のレベリング周回に付き合わせてたクソ爺の髪色見て“カルボナーラみたい”とか言ってた事だな。偶々、数日前に食べた記憶が脳裏に過っただけっぽいけど」
「まぁ、そうなると、猫モード発揮してピアスで遊ばれたりする程度なら可愛いモンじゃねぇか? 一回バグで精神だけがリアルな猫化現象起こした時に比べたら、全然マシだろうしよ」
「総じて言えば、俺達の大将は面白愉快で良い奴だって事だな!」
「ねぇ、待って皆。そんな急に俺のやべぇ過去録を暴露しないで欲しいな……。というか、薬研に至ってはめっちゃ雑に纏めるじゃん。いや大体合ってるから否定はしないけども」
「否定はしないんだな」
「事実だからね……今更否定するも何もないかな……。どうせ、その内バレる事だろうし」
大概皆好き勝手言ってるけど、そのどのエピソードにも身に覚えしかなく、否定しようがない有様で素直に認めるしかなかった。ただ、何でそんな急に暴露大会を始めたかの意図だけは知れない。単なる話の流れ上そうなっただけなのかもしれないが。
そんなこんな、地味にしょんもりとした顔を下げていたら、脇腹へくっつくような形で抱き着いてきた今剣が、彼のピアスの出処について掘り下げる話題を投げた。
「それにしても、きになりますねぇ。どうしてあるじさまが、二筋樋貞宗のピアスをもっていたんですか? ただはずすだけなら、あなたのポケットからでてくるのがふつうなのではないですか?」
「確かに、外した直後は、真っ先に卓上へと置いたんだが……」
「其れを俺が何となくで預かって、うっかりそのままポケットに入れたまんまにしてただけだよ。特に深い意味はないぞ。……ってな訳で、ホイ。返しそびれてて御免ね、貞宗さん」
「あ、あぁ……っ、どうも」
彼の掌の上へとチャリ、と落とすように返せば、何処となくぎこちない返事を返されて、小首を傾げた。
「ん……? どうかしたかい、貞宗さんや?」
「……いや、何でもない。気にしないでくれ」
「そう? なら、俺はこれからカラオケリサイタル開催してくるから、良ければ貞宗さんも聴いて行ってくれや。新刃歓迎の度に歌ってきた曲も披露してやろう」
「よっ! 雇い主の本気の歌声見ってみったい……っ!」
「リクエスト可能なら、俺、主が
「私は今後の参考に、アイドルソングもしくは、ミュージカル本丸の楽曲をリクエストします……!!」
「僕は古のボカロ曲聴きたぁ〜い! 可愛くて甘酸っぱい恋愛ソングお願いっ!!」
「俺は如何にもな格好良い曲が聴きたいぜ!!」
「ハイハイ、順番に歌ってやっから一人につき一曲ずつね! 歌って欲しい曲は入れてくれれば歌えるだけ歌ってくよー! とりま、最初は貞宗さん希望のウマ娘ソングから行くぜ!! 聴いてください、“VOLTAGE”!!」
一曲目からテンションぶち上がる曲でぶっ飛ばす勢いで声を張り上げるなり、其れに沸く皆の野太い歓声が上がる。リサイタル会場となった大広間は大いに盛り上がりを見せ、気付けばコーレスが飛び交っていたり、タオルやら
歌好きな人間からしてみれば、一度歌い始めたらエンジンが止まるまではエンドレスで歌い続ける。例え、翌日ガラガラに声嗄れしようとも、偶のストレス発散に歌うこの瞬間が堪らなく好きだった。歌を通して、普段心に秘めている感情を爆発させる。歌は、自分を表現する方法の一つだったから。曲調に合わせて声音を変え歌い方を変え、表情豊かに百面相をする様を、彼は本丸の百振り余りの大観客の中から静かに見ていた。まるで、この光景を目に焼き付けるかのように。
▼蛇足の解説文
作中に登場した人物が多かった為、個人的な覚え書き用として書き留めた部分です故、興味のない方はスルーしてくださって結構です。台詞文が乱立してる部分について、誰がどのタイミングで登場し喋ったのか知りたい方だけ、どうぞ引き続き見て行ってね。
尚、表記は分かりやすく登場順で明記致しました。
(※複数回喋ってる子も居ます故、
▼メイン枠
●夢主……陸奥国に所属する、猫之目城の審神者名:猫丸。成人済みの三十路手前。全体的に猫っぽい人。審神者歴来月(6月)で8年目を迎える一般審神者。レベルは、まだ雛ゴリラレベルの257Lv.。超絶脳筋プレイヤー。
●二筋樋貞宗……審神者から“貞宗さん”の渾名兼愛称で呼ばれてる。顕現直後から審神者から期待を寄せられた出来る男。ビジュと設定の時点で数多の審神者達を虜にし沼落ちさせたギルティな男士。特個体、カンスト済みの乱舞レベル1。
▼サブ枠@(厨→移動道中にて)
●鯰尾藤四郎……審神者から“ずお
●白山吉光……審神者から“白山君”の渾名兼愛称で呼ばれてる。作中ではまだ極める前だったけど、このお話を書き終えた後に修行へ旅立ち、神々しい姿になって帰ってきた。機会的な喋り方からちょっと人間味が増したけど、まだ人間らしさを勉強中。実は古参組に入る。極個体、レベル48Lv.の乱舞レベル5。
●歌仙兼定……審神者から“歌仙さん”の渾名兼愛称で呼ばれてる。我が本丸での一番最初に来た厨番組でありオカン。雅だけども物理で解決しようとする思考は審神者と一緒だね。少しでも審神者に精の付く物を食べさせたいと思ってる。極める前は敬称付けずに普通に呼び捨てされてた。最古参組の1振り。過保護勢。極個体、レベル47Lv.の乱舞レベルMAX。
●燭台切光忠……審神者から“みっちゃん”の渾名兼愛称で呼ばれてる。第二の厨番組でありオカン。時折ムーディーな空気を醸し出す事もあるが、概ね大体元気にハキハキ喋って料理作りに精を出してる。少しでも審神者に精の付く物を食べさせたいと思ってる。審神者が伊達政宗公推しなのを後方支援面してたりもする。最古参組の1振り。過保護勢。極個体、レベル49Lv.の乱舞レベルMAX。
●小豆長光……審神者から“あつき”の渾名兼愛称で呼ばれてる。スイーツ職人。審神者が甘い物好きなので、腕を振るって毎回美味しいお菓子を大量生産してる。しかし、ここ近年、審神者の体調が変化してクリーム系駄目になった事に対して地味にショックを受けてる模様。最古参組の1振り。極個体、レベル48Lv.の乱舞レベル6。
●三郎国宗……審神者から“三郎氏”の渾名兼愛称で呼ばれてる。何で“氏”を付けてるかと言うと、rkrnの鉢屋三郎と呼び分ける為。歌が大好きで無類の猫好きなところがパッション的に合致したのか、本丸史上最速で顕現した伝説の男。審神者の歌声が聴こえようものなら何処からともなく現れる。特個体、カンスト済みの乱舞レベル1。
●乱藤四郎……審神者から“乱ちゃん”の渾名兼愛称で呼ばれてる。可愛い物好き。本丸のアイドル枠。審神者の歌声を聴くのが好きなので、よく可愛い曲や恋愛ソングをリクエストする。マクロスは
▼サブ枠A(大広間にて)
●秋田藤四郎……審神者から“秋田君”の渾名兼愛称で呼ばれてる。本丸の癒し系枠。ほのぼのほんわかしてるようで、戦場では格好良く決めてくれる。耳が良いので、審神者のポケットに何か入ってる音に真っ先に気付いた聡い子。鵜飼派組と仲良しでよく畑に居る。縁の下の力持ち系でもある。最古参組の1振り。極個体、レベル70Lv.の乱舞レベルMAX。
●五虎退……審神者から“ごこちゃん”の渾名兼愛称で呼ばれてる。無類の猫好き審神者が定期的に虎君をモフりに来るので、いつもニコニコ歓迎し仲良く一緒にブラッシングしたりする。審神者が上杉組と縁深い家系の末裔であるのを抜きにしても、上杉組と親しい関係性なので嬉しい。最古参組の1振り。極個体、レベル69Lv.の乱舞レベルMAX。
●今剣……審神者から“いまつるちゃん”の渾名兼愛称で呼ばれてる。審神者と男士の誰かが良い雰囲気になってると、何処からともなく話を聞き付け、密かに画策したりしてる。無邪気に見えて三条派感ビシバシ感じさせる。最古参組の1振り。極個体、レベル69Lv.の乱舞レベルMAX。
●後藤藤四郎……審神者から“後藤君”の渾名兼愛称で呼ばれてる。粟田口年長(大将)組。極めてからより一層頼り甲斐が増して、演練でガチパ編成の時に大活躍する。審神者が猫っぽいのは本丸黎明期より知ってて慣れてる。最古参組の1振り。極個体、レベル70Lv.の乱舞レベルMAX。
●前田藤四郎……審神者から“前田君”の渾名兼愛称で呼ばれてる。初鍛刀枠で出演率が高い。頼りにしかならない常識刃且つ紳士刀。審神者の事が大好きでいつも見守ってくれてる優しい子。審神者に何かあったら真っ先に駆け付けて傍から離れないつもりで居る。過保護勢。最古参組の1振り。極個体、レベル70Lv.の乱舞レベルMAX。
●大和守安定……審神者から“やっさだ”の渾名兼愛称で呼ばれてる。可愛い見た目に騙されると痛い目見る系。戦闘中のオラオラ感はたぶん審神者に似た。審神者の奇行に見慣れてる。最古参組の1振り。極個体、レベル47Lv.の乱舞レベルMAX。
●加州清光……審神者から“清光”の渾名兼愛称で呼ばれてる。初期刀故に一番出演率が高い。審神者の相棒であり、戦友な関係性。審神者の愛が強過ぎる為、愛されてる自覚がめちゃクソ強い。審神者の奇行には慣れてるけど、苦労刃枠でもあるので定期で心配してる。審神者が元気に健やかに生きてくれたら其れだけで良い。審神者が
●和泉守兼定……審神者から“兼さん”の渾名兼愛称で呼ばれてる。頼れる兄貴感溢れてるけど、刀剣男士内では未だに最年少扱いな事を地味に気にしてる。しかし、顕現序列は先輩なので、新刃が来る度に先輩風吹かせて何かと世話焼いてたりする。最古参組の1振り。極個体、レベル47Lv.の乱舞レベルMAX。
●薬研藤四郎……審神者から“薬研”の渾名兼愛称で呼ばれてる。初泥刀枠故に出演率が高い。漢前過ぎるが故に、「お前のような短刀が居て堪るか」と古参より言われまくり、未だ語り継がれる刀種詐欺代表刀。実はうっかり内番組むのミスって前田君より先に修行に出た(つまり初期刀の次という順番=2番目)。儚げな見た目の割に大雑把なところがある。過保護勢。最古参組の1振り。極個体、レベル69Lv.の乱舞レベルMAX。
●八丁念仏……審神者から“八丁君”の渾名兼愛称で呼ばれてる。古備前推しの審神者から気に入られてるのはちょっぴり恥ずかしいけど嬉しい。審神者とは似た者同士な匂いを感じている為、言葉には気を付けてる感じ。陽キャのギャル男に見せかけた闇深男士。鍛刀CPで幾度と鍛刀チャレンジしてきたが頑なに2振り目を迎えさせなかったが、つい最近シール交換で1振りGETした審神者により半強制的に乱舞レベルを上げさせられた。特個体、カンスト済みの乱舞レベル2。
●篭手切江……審神者から“こて君”の渾名兼愛称で呼ばれてる。江のアイドル筆頭枠。真面目で勉強熱心なので、審神者が歌って踊れば其れを鑑賞して自分達のものにも取り入れようと考えてたりする。最古参組の1振り。極個体、レベル55Lv.の乱舞レベル5。
●愛染国俊……審神者から“愛染”の渾名兼愛称で呼ばれてる。不定期で“国俊”と呼ばれる事も。審神者がワンマンリサイタル開く度に観客枠に参戦してる。テンションが上がる格好良い曲を聴くのが好きなので、今回もそのノリでリクエストした。最古参組の1振り。極個体、レベル69Lv.の乱舞レベルMAX。
加筆修正日:2026.05.16
初出日:2026.05.16
公開日:2026.05.20