いつの日からか、突然愛猫が人間の姿に変身してしまった。
しかし、猫の時と変わらない態度と様子に、例えその姿が人であろうとも、飼い主としては可愛くて仕方がないのだった。
寝起きの人型な大倶利伽羅に。
『おはようっ。よく眠れたかい?』
と、ゆるゆるな笑みで挨拶。
午睡に微睡んでいた大倶利伽羅は、寝惚け眼でご主人様の璃子を見つめる。
そして、目を伏せると無言で鼻先を寄せてきた。
ふんふん、と匂いを嗅ぐように至近距離に来る大倶利伽羅。
『はは…っ、まだ寝惚けてんの?』
クスリッ、と笑っていると、ゆるりと眼を開いた。
じ…っ、と見つめられる璃子。
『伽羅…?』
キョトンと小首を傾げる。
不思議そうに見つめ返していると、そのままぺろりと唇を舐められた。
『んぷ…っ!ちょ…、伽羅っ、それダメだよ…っ!?』
「…何でだ?」
『今は人の姿だろ…!?確かに伽羅は猫だけど…!!猫の時のまんまの行動はダメ!』
「…いちいち気にしてたら、面倒だろ。」
『今は家の中だから良いけど!外で同じようにするのはダメだからね!!』
(………家の中なら、何しても良いのか…?)
混乱してわたわたと焦ったように告げる彼女に、内心で突っ込んだ大倶利伽羅だった。
執筆日:2017.09.11