milkとバニラ珈琲


キッチンで遅く食べたお昼の洗い片付けをしていると、ダイニングテーブルの上に置いていた携帯が震えて着信が入った事を知らせた。

電話だなんて誰からだろう?

そう思いながら手に付いていた泡を手早く洗い流し、タオルで水気を取りながら携帯を手に取り、着信相手を確認する。

画面には、“虎杖悠仁”の名前と登録していた番号が表示されていた。


『虎杖から…?今日休日なのに、一体何の用だろ?』


自分に対しての彼の用事が特別思い浮かばなくて、不思議に思いつつも画面をタップして着信に出る。


『もしもし…?』
《あ、もしもし?俺、虎杖だけど…今電話大丈夫だった?》
『うん、別に大丈夫だけど…どうしたの?私に何か用?』
《うん。この間借りた漫画読み終わったから、コンビニ行くので狗尾ん家近くまで来たついでに返そうと思ってさ。流石にアポ無しで急な訪問は狗尾も困るだろうなぁ〜って思ったから今掛けてんだけど…今から狗尾ん家行っても良い?》
『あぁ…、そういや漫画貸してたのすっかり忘れてた。家に来んのは別に良いよー。今日休日で暇してたし。今、親も出掛けてて居ないからさ。全然オッケー。』
《良かった…!んじゃ、もう近くまで来てるからすぐ着くと思う。また後で!》
『ほーい、お待ちしてま〜っす。』


そんな感じで軽く短な遣り取りを交わして通話を終える。

友達が来るからといって、特別片付ける程部屋が散らかってる訳でもなかったし、強いて何か用意すると言えば、来客用のお茶出し準備とかお茶請けのお菓子ぐらいだろうか。

用意するにしても、彼がそこまで滞在するかも分からないから下手に用意するのも気が引ける。

用意しといて結局漫画の返却だけに来たとかだったら無駄になりそうだし、変にお茶するかどうかの催促するのも逆に気を遣わせそうだしな。

こういう時はその時の流れに身を任せよう。

洗い物もほぼほぼ終わらせていたので、彼が来るまでは特に何もする事が無い。

大人しく居間のソファーにでも座って待っていようかな。

そうこう考えながら居間で寛ぎつつクッションで遊んでいれば、玄関の方で来客を知らせるインターホンの音が鳴り響いた。

其れに私は軽く返事をしながらパタパタと玄関先へと向かっていく。

そして、玄関のドアを開いていらっしゃった我が友人を出迎えた。


『はいなー、いらっしゃい。』
「よっすー!昨日の学校振りな!さっきは急な連絡で御免なぁ〜?何かしてる最中とかじゃなかった…?」
『いや?まぁ、遅めの昼飯食べた後の食器洗ってたぐらいだけど、ほとんど終わりかけだったし。別に気にしてないから良いよ。』
「あ、そうなん?なら良かった。あっ、コレ…はい!お借りしてた漫画です!お勧めされた通り、超面白かったです!有難うございます…!!――っと…あと、コンビニ寄ったついでに買ったおまけのお菓子、良かったら食べてっ。」
『えっ、わざわざお菓子まで買ってきてくれたの…?そんな気ぃ遣ってくれなくて良かったのに〜。』
「いや、何かただ漫画返すだけなのも寂しいかなって。あ、勝手に俺の好みで買っちゃったお菓子だったけど、苦手とかじゃなかったよな…!?」
『え、あ、うん。全然平気。寧ろ、コレ、私も好きなヤツだから安心して。』
「良かったぁ〜…っ!」
『はははっ、せっかくだし…家上がってく?続きの漫画すぐに貸せるけど、部屋に取りに行ったりするし。その間ただ玄関先で待たせんのも悪いからさ。』
「え…っ、逆に良いの?俺お邪魔して。」
『うん。さっき電話越しにも言ったけど、今、親二人共出掛けてて居ないから。上がるついでにお茶でも飲んでって。』
「あざーっす!じゃあ、お言葉に甘えて上がらせてもらいますね〜。お邪魔しまーっす。」
『どうぞどうぞ〜。大したおもてなしは出来ないけどゆっくりしてってぇ〜。』


そう言って彼を家に上げて居間へと案内してあげていたら、ふと私の手に目を向けたらしい彼から問われてしまった。


「あれ…っ?狗尾、その手どうしたの?何かちょっと指んとこ赤くなってるけど…。」
『へ…?あー、コレ…お昼のうどん作ってる時にちょっとね。』
「えっ、まさか火傷したの!?」
『うん。熱湯がちょっと掛かっちまいやして。』
「いや、何でそんな平然としてんの!?ダメでしょ!!ちゃんと冷やさなきゃ…っ!!水膨れにでもなったらどうすんのよ!?もーっ!よく見たら赤くなってるだけじゃなくて腫れてきてんじゃん…!!ちょっと水場借りるぞ…っ!!」
『え…っ?あ、ちょと、虎杖……!?』


急に態度を変えた虎杖の様子に吃驚して戸惑っていたら、その間に彼に手を引かれ強引にキッチンの方まで連れて行かれた。

そして、流しの蛇口を捻られ、勢い良く流れる冷たい水本に火傷した方の利き手を晒される。

思わず、どっかで見たアニメの展開みたいだと頭の片隅で思ってしまった。

まだ若干ヒリヒリとして赤みを帯びていた患部に冷たい水が触れて心地好い。


「全く…火傷は舐めてたらダメなんだぞ?ちゃんと処置しないと痕残っちゃったりするんだから。特に、狗尾は女の子なんだからさ、痕残ったりなんかしたら大変だろ?せっかく綺麗な手してるんだしさ。」
『…うん、何か御免…。一応、火傷した瞬間にちょっとだけ…つっても数十秒から一分くらいだけど、流水で冷やしたんだよ?』
「熱湯で火傷したんなら、もっと長い時間冷やしてなきゃ意味無いって…!火傷した時は最低でも五分くらいは流水で冷やしてなきゃダメだって前に学校で習っただろ?まぁ、調理中だったなら其れは無理だったろうから…せめて調理が終わった後にでももう一回流水で冷やすとか、保冷剤とか氷で冷やすとかしないと!火傷はマジで舐めてかかると痛い目見るからな…っ!!分かったら、今後は気を付けろよーっ。」
『うん…有難ね、虎杖…。』
「…いや、まぁ、その、俺もつい勢いで色々言っちゃったけど…俺も昔ガキん時とかに失敗して何度か火傷した事あったからさ。其れで慣れちゃってんだよね。今はもう滅多に火傷する事もなくなったけど。」


じゃばじゃばと流れていく水に濡れて火傷した手が冷やされていく。

私はただ淡々とその光景をそのままぼんやりと眺めていた。

暫くすると、私の手を掴んだままでいた虎杖が手を離して、一度蛇口の水を止めて患部の状態を確認してきた。


「ん〜…っ、少しの間流水で冷やしたお陰でだいぶ赤みは取れたけど…どう?痛みとかある?」
『えっと…さっきまではちょっとヒリヒリ感残ってたけど、今はそんなに。』
「ん。じゃあ、あとは保冷剤か氷で冷やしとこ。まだ赤み残ってるからね。冷蔵庫失礼しちゃってもおk?」
『あ、うん…っ。保冷剤なら、冷凍庫のドアポケに小さいのが二つか三つ入ってると思うから。』
「コレ?」
『うん、ソレ。』
「よし…っ、じゃあコレをそのまま直接患部に当てんのは流石に冷た過ぎるだろうから、ハンカチか何かで包んで、っと…あー、今俺が持ってるのでいっか。コレで包んで…はい!どうぞ!」


ご丁寧にもわざわざ薄手のハンカチで包んでくれた保冷剤を渡してきた彼に御礼を言いながら受け取ると、「どういたしまして。」と短く笑顔で返事が返ってきた。

私は受け取った保冷剤を、水気を拭いた後の患部に押し当てる。

流水に当たっていた時よりも冷たい温度が肌に触れてキンキンとした。

そのまま突っ立ったままなのも申し訳なくなって居間のソファーへ案内すると、二人してぎこちない空気で座る事になった。

少しの間隔を空けて座った虎杖がそこで気まずそうな顔をして問いかけてくる。


「…えと、もし訊いたら不味かったら悪いんだけど…その、狗尾さぁ…今日何かあった?」
『え…っ?』
「いや、電話の時から何か元気なかったっていうか、ちょっと何時もと違うなぁって思って…。」
『虎杖って凄いよなぁ、すぐにそういうの分かっちゃうなんてさ。』
「え?や、別に凄かないでしょ、これくらいで…っ。――んで、やっぱりその言い方だと何かあったっぽい…?嫌な事あったとかなら、俺話聞くよ?嫌な事あった時は吐き出した方が楽になるかんね。何でも良いから話してみてよ!」


そう優しく笑いかけて言ってくれた虎杖の言葉に甘える事にして、私は今日あった出来事をぽつぽつと話してみる事にした。

其れは、今日の午前中までの出来事であった。


『実はさ…私、土日は朝だけバイトやってて、今日も昼までバイト行ってたんだけどさ…。』
「うん。」
『何時も通りのつもりでやってたら、急に難癖付けてくる客が来てさ…たぶんよくある“クレーマー”なんだろうけど、一応そういうの何度か経験した事あったから同様に対応してたんだけどね。何かその人、めちゃくちゃ理不尽に怒鳴り付けてきてさ…あまりの剣幕に私思わず萎縮しちゃって、其れでまごついてたら奥で控えてた先輩が出てきて代わりに対応してくれて助かったんだけど…その後、上の人に裏方に呼び出されちゃって。其処で、また更に理不尽に叱られたりとかして、ちょっとメンタル落ち込んでたんだよね…。そういう時に台所立つと大抵何かしらヘマやらかすんだけど…案の定、茹で上げたうどん麺の茹で汁捨てる時に手元狂って思い切りバシャッとぶっかけちゃってさぁー……っ。はは、我ながら何やってんだろーって自嘲しながら咄嗟に水で冷やした訳だけど…今回みたいなの、実は初めての事じゃないんだよねぇー…。』
「え゙…っ!!マジで!?」
『うん…っ。前も似たような事あってメンタルへこんでる時にラーメン作っててね。あの時も、確か生麺のヤツ茹でてたんだと思うんだけど…同じく熱湯をぶっかけて火傷しましたな。一度ある事は二度あるとはよく言うけども、正直こういった事は一回ぽっきりで良いと思っちゃうわぁー…っ。つか、そもそもメンタルへこんでる時は何かしらやらかしやすいから、端から火扱う料理しなきゃ良いんだよな。料理しちゃうから毎度ヘマすんだって、私学習能力無いなぁー…っ。結局、虎杖にも迷惑掛けてるし。はは…っ、本当私ってば馬鹿ばっかやらかしてら……。』
「狗尾……っ。」


最早乾いた笑みしか出てこない。

何とも言えない複雑な顔をした虎杖が口籠って気まずげに一瞬目を伏せた。

単に近くまで寄ったからって漫画を返しに来てくれただけなのにね。

こんな迷惑まで掛けちゃって、本当どうしようもないや、私。

ソファーの背凭れに凭れて天を仰いでいた視線はそのままに、私は今の情けない面を見られたくなくて隠すように顔の上に片腕を覆い被せた。

保冷剤を当てていた利き手とは反対の腕の方だ。

そうして暫くお互いの間に沈黙が降りた。

その沈黙を破ったのは、彼の方だった。

「よし…っ!」と短く声を上げて勢い良く立ち上がると、彼は私の方を振り返って言った。


「ねぇ、狗尾、親御さんってまだ暫くは帰ってこないんだよな…?」
『え…っ?あ、うん、そうだけど…。』
「んじゃ、ちょっとの間キッチンお借りしてもヨロシ?あ、あと、この家に在る材料勝手に使っちゃってもオッケー?」
『え?そ、れは別に構わないけど…何すんの?』
「ん?其れはなーいしょ…っ!あ、狗尾はそのまま其処でゆっくりしててね。」
『はぁ…?』


よく分からないまま頷き、彼が何やら作る為キッチンへと向かうのを見送り、そのまま暫くカチャカチャと何かが作られていく音をBGMに過ごした。

次第にキッチンから甘い匂いが漂ってきて、手持ち無沙汰に弄くっていた携帯から顔を上げ、キッチンの方を覗き見る。


『何かすっごい良い匂い……っ。ねぇ、虎杖何作ってんの?』
「ん〜?出来上がってのお楽しみ…!って、あ、こら…っ、後ろから覗いてきちゃダメだって!」
『えぇ…っ、だってめちゃくちゃ気になって仕方ないんだもん…。』
「もう少しで出来上がるから、狗尾は向こうで大人しく待ってろって…!」
『はーいっ、大人しく待ってまぁーす。』


凄く気になったけど、待ってろと念押しされてしまったので、大人しく居間のソファーの元へと戻って片手の火傷を冷やしながらクッションを抱き込んでいると。

寸分経たずに虎杖から声を掛けられて姿勢を正した。


「ほい、お待ちどう様…っ!虎杖特製ふわふわパンケーキのセットでーっす!」
『え……っ!?何コレ、すご…っ!え、ちょっ、どしたのコレ!?』
「今、俺が作ってきたの。材料は全部狗尾ん家にあった物しか使ってないよ!あ、ドリンクの方だけは一部俺がコンビニで買ってきた物も使ったけど。」
『え?は、え…?コレ…私が食べて良いの……?』
「うん。だって、狗尾の為に作ったし。せっかく作ったからには是非とも食べて欲しいかな?」
『え……っと、じゃあ…頂きます。』


虎杖手ずから作ってくれたと言う、お店宛らな出来のパンケーキにナイフを入れ、一口サイズに切った物を口の中へとぱくりと押し込んだ。

途端、とても甘くて美味しい味が口の中いっぱいに広がって思わず口許を押さえて溜め息と共に感想を零した。


『え……っ!?何コレ…っ、めちゃくちゃ美味しいんすけど…!えっ、凄い!ただのパンケーキなのに、お店で出てくるみたいな見た目だし、ナイフ入れた時の感覚も食感もすんごいふわっふわ…っ!!え、マジで凄くない虎杖って!?天才かよ!!』
「へへへ…っ、喜んでもらえた?」
『そりゃ、こんなの出されりゃ私でなくとも全国の女子が落ちるだろうよ…っ!!』
「いや、其れは流石に言い過ぎだって……っ。でも、喜んでもらえたみたいで良かった。良かったついでに、ドリンクの方も飲んでみてもらえたら嬉しいかなぁ〜、なんつってね!」
『この珈琲みたいな色したヤツ…?何だろう…?』
「まぁ、試しに飲んでみてって!」
『んじゃあ、試しに一口…頂きまーすっ。』


今度はセットで出てきた黒いドリンクの方に手を伸ばして口に含んでみた。

そしたら、見た目以上に甘い香りが口の中に広がって吃驚した。


『ふぐ…っ!?んんっ、え…!?コレってただの珈琲じゃなかったの!?』
「吃驚した?ソレね、インスタントの珈琲にミルクとバニラ味のチョコレート溶かしたヤツを混ぜてみたんだ!だから、パッと見の見た目は苦そうに見えるけど、実は其れなりに甘いんだよ〜っ!」
『ふわぁ〜…っ!虎杖って本当何でも作れちゃうんだね…!純粋に凄いわ……っ!!』
「んふふ…っ、どっちも喜んでもらえたみたいで安心した…!前に狗尾が甘いの好きだって聞いてたから、美味しいスイーツでも食べれば少しは元気出るかな?って思って作ったんだ。いやぁ〜っ、最初はどうなるかと思ったけど、成功して良かったよ〜っ!」
『わざわざ私の為に作ってくれるとか…虎杖ってば格好良過ぎない?もう…っ、惚れたらどうするつもりなのー?責任取ってくれるんでしょうねぇ?――なぁんて…、冗談だけどね。ふふふ…っ!』


虎杖の気遣いのお陰で、私はすっかり元気を取り戻せたようで、美味しい物を目の前にしてるのもあるけども、自然と笑みが零れてきてつい小さく口に出して笑ってしまった。

すると、大きな躰を小さく丸めて屈み込んで私の事を覗き込んでいた彼が朗らかに笑って呟いた。


「へへへ…っ、漸く笑ってくれた…!」
『ぇ……っ?』
「狗尾、今日会ってからずっと曖昧な感じでしか笑ってなかったからさ…やっと自然な感じの笑顔が見れて安心した。」
『虎杖…。』
「やっぱりさ、狗尾には笑ってる顔の方が似合うし、可愛いよ。だから、何時もみたいに笑っててよ。」
『……虎杖の馬鹿、天然タラシ…っ。』
「んええっ!?何で俺今詰られたの!?俺、狗尾に何かした!?」


リアクション芸ばりに良い反応を返してくれるから、ソレが面白くってちょっとだけ揶揄ってみた。

あんまりに恥ずかしい台詞をストレートに言ってくれるもんだから、私なりの照れ隠しであるのは、此処だけの内緒である。


『…っふふふ、嘘、冗談だよ。有難う、虎杖。お陰で元気出た…っ。偶々だけど、今日虎杖と会って話せて良かったよ…。色々とスッキリ出来たしね。本当感謝してる。こんな美味しいスイーツまで作ってもらっちゃったんだし…今度何か御礼しないとね。』
「えっ、いや、良いよ御礼とか…っ。俺が勝手に作りたくて作っただけだし!気持ちだけ受け取っとくって…!」
『ソレじゃ私の気が済まないから、何か小さな事でも良いから御礼させて!何なら、今回は虎杖に世話んなったから、今度は虎杖がして欲しい事とか何でも良いから希望言ってみてよ…っ!』
「えぇ〜…っ?そんな事急に言われてもなぁ……っ。うーん、どうしよう…。」


何でも良いから何かしら御礼がしたいと粘って返答を待てば、彼の口からは予想だにしない意外な言葉が返ってくるのだった。


「…んーっと、じゃあ…狗尾と一回お試しデート、なんてのはどう?ダメ?」
『え……………、はいぃ……っ?』
「あれっ?今のよく分かんなかった?はっきり言ったつもりだったんだけどなぁー…。」
『いやいやいや、ちょっと待ってよ虎杖。誰と誰がお試しデートだって…?』
「バッチリ聞こえてんじゃん。」
『いや、あのな?急に話ぶっ飛び過ぎてて頭付いていけないっていうか、急展開過ぎて訳ワカメ状態っつーかな…とにかくそんな状況でだな!』
「あ、そっか。俺、まだ狗尾に直接言ってなかったっけ。」
『What…??』
「俺、実は結構前から狗尾の事好きだったんだ…!だから、狗尾さえ良ければ、俺と付き合ってくんねぇかな?って…!」
『は………、はぁああああッッッ!!?』


衝撃的過ぎる事実といきなりの告白に暫く開いた口が塞がらなかったのは言うまでもないが、口の中に残る甘ったるさが、後に胸焼けを起こしそうな程に変わるとは思いもしなかったのであった。


AFTERWORD

執筆日:2020.11.16

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