審神者専用の剣


 或る日、何の前触れ無く、書状にて、時の政府本部へ審神者単体の一人で来るようにとの召集が掛かった。
何の召集か、よく分からずに半疑いの目で書状を見る主。しかし、呼び出しがあったならば応じなければならないだろう。仕方なしに、彼女は指定の日に指示通り自身一人の単身で政府施設へ出向した。
 そして、其処で霊力の検査と称され、採血するみたく審神者の霊力を採取された。その時、彼女は、特殊な紋様の描かれた盆に乗せられた玉鋼のような石に触れさせられる。のちに、その紋様こそ術式を掛けられていた証だったのだろうと分かるが……今はさておき。用件は其れだけで、「後日、検査結果をお知らせするので、結果が分かり次第またお呼び致します」と言われ帰された。全く以て意味が分からん。
 けれども、霊力についての検査などを一度もした事が無かった故に、今はそういうのがあるのかも……と、彼女はザックリ受け入れた。初期刀は警戒心を解かず疑いを持ったままだったが、特に何も無く何も起こらなければ何もするなと言われてしまった為、仕方なしに引き下がった。


 後日、役人に言われた通り、再び審神者単体での召集を掛けた書状が届き、単身で政府施設へと赴く。すると、前回の謎の検査の正体が判明したのであった。なんと、例の霊力検査は、審神者専用の武器を生成する為のものだったらしい。巷の噂で耳にはしていたが、まさか本当に審神者専用の武器なる物が存在しようとは……。しかも、ただの武器ではない。審神者の命を吹き込んで創られた、正真正銘審神者だけにしか扱えぬ代物である。
 受け渡し担当となった役人は、彼女に向かってこう言った。
「此れは、貴女様の命とも言える、貴女様専用のつるぎです。今現在の体制でしたら、審神者就任時に創り、授与する制度となっている物なのですが……貴女様は、現在敷かれている新制度に変わる前に就任された審神者様。故に、審神者就任四周年の節目を迎える前での授与式となりました。大侵寇等で諸々対応が遅れました事は、大変申し訳なく存じております。しかし、此れを持ってこそ、貴女様も立派な審神者様となられます事を保証致します。此方は、まことの意味で、貴女様の命その物となる剣です。貴女様を生涯守ってくださる護身の剣となりましょう。しかし、此れを絶対に失くしてはなりませんよ。再三言うようですが、この剣は貴女様の命とも言える代物です。刀剣男士達のように替えは利きません。加えて、無闇矢鱈むやみやたらに扱ってはなりませんよ。例え、貴女様につがいとなられるお相手様が出来ようとも、容易に託してはなりません。此れは、そういった代物です。使う時は、決死の覚悟を決めた時のみと定められませ……」
 目の前に差し出されるように掲げられた物を視野に入れながら、彼女は黙したまま役人の言葉を聞いた。姿勢は直立不動のままである。顔を面で隠した役人は、言葉を続けた。
「念の為、説明しておきますが……此方を扱う事が出来るのは、審神者様、貴女様だけです。他の方が扱おうとしても、相当の負荷が掛かります故、余程の手練れでない限りは手出しする事すら出来ないでしょう。……と言うのも、この剣に触れる事が出来るのは貴女様しか居ないからでございます。この剣は審神者様の霊力で創られた物な為、審神者様の心その物のような属性・性質を持ちます。貴女様の場合は、容易に他人を寄せ付けぬたち・性格が反映された模様ですね。よって、貴女様以外の者は素手で触れられない属性を持ちし剣となっております。敵の者が触れようものなら、触れた先から焼け爛れて使い物にならなくなる事でしょう。貴女様の眷属となられます、貴女様の手より顕現せしめた刀剣男士の方々のみは多少なり触れる事は可能かと……。しかし、安易に素手で触れる事は避けた方が良いでしょうね。現に、其れを避ける為、私共の方もこうして布一枚を隔てた上で触れているのです。此れは貴女様その物とお思いくださりませ。そして、生涯大切に肌身離さずお持ちくださいますよう。……貴女様に、幸多からん事を御祈りしております。どうか、この先も健やかな日々を――…。ご武運を」

 そうして持ち帰った彼女専用たる剣は、何とも変わった姿をした武器だった。否、剣と称すのも些か躊躇われる形状をした物であった。
「で、結局何の用で呼ばれてたの……?」
 初期刀の加州が部屋を訪れるなり訊ねる。其れに、彼女は平然とした口調で以て応じた。
「俺専用の武器を授与する為だったんだと」
「主専用……って事は、審神者専用のって事……? 何ソレ、意味分かんないんだけど」
 彼女から返ってきた返事に対し、加州の口からは憮然とした言葉が言い放たれた。其れに頷く主も、再び口を開きつつ本音を零す。
「そりゃそうだろうな。俺、刀剣男士の皆と一緒に出陣するような戦闘系審神者じゃないし。ぶっちゃけ今更過ぎんだよなぁ……っ。噂では聞き齧っちゃいたけども、審神者専用の武器つるぎって就任時に渡される物らしいじゃん。まぁ、其れは今の新体制に変わってから施行された制度で、俺が就任した時には無かった制度だがな……。だから、つって今更渡されてもなぁ〜……刀剣男士居る意味無くない? って思っちゃう俺、何か間違ってるか?」
「いや、普通はそう思うのが当然の流れなんじゃないか?」
 主の呟きに、今度は薬研が応える。政府から直々に賜ったばかりの代物を前に腕組みをする彼女へ、共に話を聞いていた前田は控えめに口を開いて訊ねる。
「そもそも、此れはどういった理由で創られた物なのでしょうか……?」
「本来なら、未熟な審神者を守る意図も含んでの意味で就任と同時に渡される代物だったんだろ。……けど、俺、就任してから彼是かれこれ三年は経つし、下手したらあと一ヶ月も経たずして四年目迎えるんだが? まぁ、大侵寇とかあった訳だし、万が一の事があっても審神者だけは守れるようにの配慮なのかもしんないけどもよ……何でこのタイミングかね、って感が半端無い」
「其れな」
「つーか、此れさぁ……つるぎとは言えなくない?」
 加州が至極もっともな事を呟いた。其れに対し、その場に居た皆が揃って頷く。
「だよなぁ」
「どう考えても、剣と呼ぶには些か相応しくない形のように思えます……っ」
「ぶっちゃけ、奉行処とかに勤めてた岡っ引きなんかが持ってた十手みたく見えるんだけど……何でこんな形してんの?」
「嗚呼、その事なんだけど……其れ、たぶん俺の生来から来る、根っからのファンタジー物好きな性格が影響してだと思う」
「え? どういう事……?」
「実はな……この審神者専用に創られた剣には、審神者の霊力が込められてんだ。一から審神者の力で創り上げられる為か、出来上がった時の姿は審神者の性質そっくりに仕上がるらしい。だから、各審神者さんそれぞれで持ってる形状も種類も異なったりするんだと。故に、如何にも刀らしい刀持ってる人も居れば、はたまた槍ってなんか人も居る訳だ。中には、洋剣持ってる人も少なからず居るそうだぞ? ……で、俺の場合はこの形になったって訳です」
「――剣だ何だと言う話が聞こえてきたから何かと思えば……どうした。おまけに何だ“コイツ”は?」
 最古参の三振りと固まって談義していれば、開けっ放しにしていた部屋の入口から大包平が姿を現し、顔を覗かせ、話の輪に混ざってきた。其れに顔を上げた主は、彼の方を振り返り見ながら告げる。
「この度、御上おかみより賜った、有難ぁ〜いモンだ。言うて、ただの審神者専用の武器ってなだけだけどな」
「此れが武器だと……?」
「あっ、安易に触れちゃ駄目だ……! 素手で触ろうものなら、コイツの跳ね返しの影響を受けて焼け爛れるかもしれんぞ! 触るなら、せめて布か何か越しに触れてくれ……っ! コイツで怪我した場合、最悪手入れが効かんかもしれんから……っ」
「そんなに危険な物なのか、コイツは!?」
「いや、俺以外が扱おうとするとそうなるらしいって説明されただけで、実際どうなるかは分からん……っ。悪まで此れは俺にしか扱えん物だそうだから……」
 彼女の突然の制止に驚いた彼は、伸ばしかけた手を引っ込め、大いに顔を顰める。
「大体、何故こんな物がお前の護身刀になるんだ? お前の剣ならば、既に此処には山程居るだろう」
「コイツは、刀剣男士みたく励起して顕現するような創りになっちゃいない。だから、そういう・・・・意味も加味してのこったろう……審神者にしか使えんって謳い文句は」
「気に食わんな」
「まぁ、そう言ってくれるな。コイツは、俺の魂その物と同義の代物だ……武器らしくない見た目だが、肌身離さず生涯大事に持ってろと口酸っぱく言い含められた。ので、俺はこれからコイツを常に所持しとかなきゃならん。そういう意味では、持ち運びしやすいサイズ感で良かったなと思ってる。……まっ、この形になったのも、俺が非力で両手首痛めててあんまり負荷掛けらんない為だろうな。そういった意味では、扱い易そうと言ったところかね?」
 そう言って、言葉裏腹にひょいと気安く素手で持ち上げた彼女は、軽く向きを変えたりしてみて感触を確かめる。其れを横合いから覗き込んできた鶯丸が、憮然とした口調で以て言い放つ。
「其れにしても、剣と言うには随分変わった形だなぁ」
「あんたもそう思う?」
 加州が問い掛ける。其れに頷いた彼は尚も口を開いた。
「だってそうだろう? 此れでは、剣と言うより、小型の槍だとかと言われた方が納得が行く」
「まぁ、其れには俺も賛同だが……此れはどっちかってェーと、暗器とかって言った方が早いだろうぜ」
「暗器だと……?」
 何とも物騒な単語が飛び出てきた事に、大包平は片眉を跳ね上げて問う。その反応に、内心苦笑しながらも首を縦に頷いた彼女は言葉を続ける。
「そっ。西洋とか、亜細亜アジアの方面とかのね。あ、や、どっちかっつーと東洋……亜細亜方面のがイメージ強いか? 中国とか、そっちら辺の……」
「うーん……見様によっては、槍の穂先の部分のように見えなくもありませんが……」
「あー、言われて見ればそうも見えなくもない、か……? 三又に分かれてるとことか、十文字君の本体っぽくもないもんねぇ〜」
「何だって主が暗器なんざの武器を持たなくちゃならないんだ?」
「いや、暗器みたいな形になったのは偶々だよ……!」
「ちなみに、この形状になった心当たりは?」
 信用がならないと言った風に据わった目で彼女の手元の物を見つめる鶯丸が訊ねる。其れに、主はあっけらかんと答えた。
「俺が中華物好きだからだろうね……っ!」
「確かに、主のその細腕じゃ、俺達刀を扱うには不向きだろうねー……っ。おまけに、主女の子で力無いし。そういう意味では、刀じゃないって事も頷けるけど……大包平じゃないけども、俺も気に食わないかな」
「ふんっ。初期刀として黎明期より居るお前ならば、当然の事だろうな」
「気に食わんのは理解出来るが、さっきも言った通り、コイツは俺の魂その物と道義の代物だ。隠したり壊したりなんざ下手な真似すんなよー。俺が御上に怒られるから」
「心配せずとも、そんな幼稚な真似はせん」
 ふんぞり返って「ふんっ」と鼻息荒く溜め息をいた彼を他所に、主は視線を手元の武器へと落として呟く。
「……にしても、何でこんな見た目になったかの理由は、俺にもさっぱりなんだよなぁ〜。暗器て……俺、別に暗殺者アサシン目指してる訳でも何でも無いんだけど……。いや、まぁ、某世界の人理とか諸々を修正するゲーム(FGO)の推し挙げたら、暗殺者居なくもないけどね? つか、端的に言って、暗殺者とかんな高度な技術要るようなもん、俺に似合わんだろう。RPG的属性とかジョブで言っても、んなタイプじゃないと思うんだが……。強いて言うなら、物理行使タイプの脳筋魔導師とか? 本来なら後衛ポジション、回復魔法とかで後方支援タイプの筈なんだけど、血の気多過ぎて魔物とかの敵エネミーと遭遇したら、めっちゃ前衛に出張ってボコスカ敵殴ってて、最終的味方に“回復役が全力の積極的に前に出て来るんじゃねぇ! オメェが前衛で敵ボコんのは、俺達前衛組が全滅して戦えなくなった時だろォーがよ!!”って滅茶苦茶キレられるオチじゃね? 俺って」
「例えがめっちゃ分かりみ過ぎてやばいんだけど……」
「うん、でもウチの大将と言やぁそういう感じだろ」
「そうだな。総大将という立場にありながら、敵本陣へ単騎で突っ込んで行きそうなくらい、馬鹿で単細胞なところが主らしい」
「鶯丸様、其れはちょっと言い過ぎかと……っ」
「でも、事実ではある」
「本人が認めてどうするんだ、お前……っ」
「だって、事実そうなんだもん。だからこその“コイツ”なんじゃないの……? 下手な武器持たせるよかマシだからさ。考えてもみりゃ分かんだろ? 俺は前科持ち・・・・だ。そんな奴に、殺傷能力高い武器持たせたら、何やらかすか分かったもんじゃねェーだろ? その為の“此れ”だ。どう見ても、刀と比べたら殺傷能力は劣るだろ? まぁ、暗器言うても、一応武器は武器だから、其れなりの殺傷能力はあるがな。故に、ヒト一人殺るくらいは造作も無かろうよなァ……?」
 意味深感たっぷりの台詞を口にした途端、彼女を取り巻く周囲の空気が一気に冷えた。絶対零度という空気すら滲んだ雰囲気に、主はあっけらかんと言い放った。
「冗談だよ。んな本気にすんなって……オラ、殺気抑えろ。皆怖ェ顔になってんぞ……? 刃物らしい事は何よりだが、俺の戯れ言に一々反応してたらキリ無いぞ〜っ」
「……なら、冗談に聞こえぬ冗談を言うのはやめろ。全く以て洒落シャレに聞こえん」
「ハハッ、すまんなぁ。俺はこういう性格だからな。捻くれも度が過ぎりゃこうなんのよ」
「どうやって育てばそんな風になるんだか」
「大包平……其れ以上はしておけ。初期刀殿が本気でお前に斬り掛かり兼ねん」
 鶯丸の忠告に、名の挙がった者の方を見遣れば、今にも鯉口を切らんと腰元にいた本体に手を掛け、物凄い形相で睨んでいた。その状態で、加州は彼に向かってこう口を開く。
「主侮辱するなら、仲間だろうと容赦しないからな」
「加州も、そう怒るな……。大包平の言い方も悪かったが、此奴はただ主の事を案じて言っただけだ。許してやってくれ」
「次、同じ真似しようもんなら、背後には気を付けてくれよ旦那。うっかり俺も手が滑って、仲間内とは言え、刃向けちまうかもしんねぇーからよ」
 初期刀加州に続き口を開いた薬研までもが物騒な事を口にする。其れに両手を上げて降参の意を示した鶯丸は言う。
「おお、くわばらくわばら……っ。主の刀は、どうも血の気が多くて敵わんな」
「俺の影響を受けて顕現するんだ。戦闘狂の気があっても仕方ねぇだろう?」
「ふっ……その剣らしかぬ護身刀に比べたら、よっぽど心強く頼もしいというものだ」
「まぁ、其れは言えているな」
「血の気が多いという事に関しては、お前等に対しても言えるからな? なぁ、修行から帰って誉獲得率の上がった鶯さんよォ」
「ふふっ……俺も大概主の刀らしい奴だったという訳さ」
「良きかな良きかな……っ!」
 からからと笑い飛ばした主は、元在った箱の中へと一度戻して立ち上がる。其れを目で追った加州は訊ねた。
「其れ、どうすんの……?」
「んー……まぁ、一旦は専用の管理箱の中に戻しといて、後で刀掛けみたいに専用の置き場設置して置いとこうかな、と。んで、今後外出の際は、岡っ引きみたく腰に提げとこうかね」
「なぁ〜んか、一気に役人っぽい感出ちゃうなぁー……」
「いっそ、新撰組みたく“御用改めである!”ってポーズ決めちゃう?」
「おっ、其れなら良いんじゃねーか? コスプレって体での装いなら、ソイツも馴染んでまだ受け入れやすくなんだろ」
「じゃあ、俺、安定か兼定に羽織り借りてくるね〜」
「下はどうしよっか……。肥前君みたいな、ピタッとした感じのストレッチ性あるヤツにしとく?」
「でしたら、上の着物は、小夜殿や陸奥守さんのように尻しょっぱりにした方が、より岡っ引きさんっぽくなるでしょうね!」
「よっしゃ! そしたら、籠手とか何か其れっぽい防具も着けよう! その方が様になりそうだし……っ!」
「はははっ……主が何やら面白い事をし始めたぞ?」
「全く、時折奴の考えている事が読めんな……」
「楽しそうなら良いじゃないか」
 いそいそと用意を始めた彼女の様子を眺めながら、古備前の二人組はポツリとそう零した。


 その後、お着替えが済んだらしい主は、皆の集まる場所へ勢い良く現れ、決め台詞を口にした。
「御用改めである! 抵抗すれば直ちにしょっぴくぞ!!」
「うわっ!! 何事だ!?」
「おおの! こりゃたまげたぜよ……っ!」
「何やってるんだ、あんた……?」
「えっとね、政府から直々に俺専用の武器を賜りまして、せっかくなら何か格好良く決めたいなぁ〜と思った結果、コスプレしようぜ! ってノリに相成った次第なり」
「随分と手の込んだお巫山戯ふざけじゃないか」
 偶々側を通りすがった長義がボソリと呟いて去っていく。大して興味が無かったんだろう、若干棘のある台詞を言い置いて去っていった事には目を瞑っておこう。彼女は気を取り直し、改めて口を開いた。
「ちなみに、鉢巻きは兼さんから、羽織りはやっさだから借りて、着物の裾はむっちゃんの内番風に尻しょっぱりにして動きやすくしてみました……っ! 下履きは自分の短パンとトレンカなんだぜ!! 髪もちょいといつもより上めに結い上げたんだぞ〜っ! どやっ!」
「おおっ、なかなかサマになってるんじゃねーか? イケてるぜ、主……っ!」
「イェーイ!」
「ところで、その十手擬きみたいな物は……?」
「実は、此れが俺専用に賜った、審神者専用の剣なるモンだ……っ! ちょっと形は剣っぽくないし、どっちかってーと暗器っぽい見た目だが、非力な俺には似合いの物だろう?」
「我が十文字槍みたいな見た目だな……」
「うむ、大千鳥の本体の穂先によく似た形状の物だ」
「その暗器たる物であれば、何方かというと、姫鶴の内番服のような装いの方が似合うのでは……?」
「えっ……そしたらガチの暗殺者アサシンみたくなっちゃうけど、良いの? 俺は全然良いけども。いっそ、チャイニーズマフィアっぽい方向に変えてみる?」
「うーん、でも……主、俺のだとサイズおっきくない?」
「確実にダボダボサイズだろうなっ!!」
「でしょ〜? だから、主には俺のをちっさくしたヤツをあげようね〜っ」
「姫が望むならば」
「えっ……マジで用意すんの……?」
「主とお揃い、やったね」
「わーい……って喜んで良いのよね、今の?」
「おや、一文字の者に先を越されてしまったか。残念だったな、大包平」
「ちょいちょい思ってたが、お前は何に張り合ってるんだ……っ」
「何、ちょっとした嫉妬というやつさ。気にするな」
 各々が見せる反応を楽しみつつ、ワイワイと賑やかしくする彼女達の様子を離れた処から眺め、そう零した鶯丸であった。

執筆日:2022.05.08
再掲載日:2023.04.12