※【怪異報告掲示板】より一部抜粋。


 ・【微睡みの夢籠】……怪異:【終の夢】と呼ばれる、某所に存在する、とある迷い家本丸の空間その物が生み出したとされる。特異点のような場所であり、ものであり、世界である。本当に必要とする者限定で入口までの道標を指し示し、導く。どんな特性を持つかは、望んだ者の望む夢を好きなように見せてくれるという報告が上がっている。但し、吉兆を示したりなどの良い夢しか見れないのだそう。
 ┗入口までの行き方……この記事を読んで【微睡みの夢籠】の存在を知った者であり、且つ本当にその怪異の力を必要としている者のところにのみ、入口は開かれる。この怪異と遭った経験者の報告曰く、普段と同じく眠っていたら夢を見て、不思議な場所へ行き着く夢を見る。その場所の全貌は、所々で淡い明かりの灯っているが、薄暗い空間である事。また、其れに対し、不安や恐怖感は抱かず、寧ろ安心感のようなものを抱くとの事。そして、川岸らしき場所へ辿り着くと、船着き場なのか、一艘の舟が今にも沖へと流れて行きたそうにゆらゆらと水面で揺らいでいるのが目に入る。その手前に立つ人物こそが、【微睡みの夢籠】の番人である【夢籠の番人】だ。番人に出逢ったら、特別何も言わなくとも向こう側から欲しい物をくれるらしい。其れが、【微睡みの夢籠】の中へ入る為の鍵となる、【夢籠の欠片】である。此れが無いと、自分の望む夢を見る事は叶わない、絶対必須アイテムになる。形は、サイズはその時々らしいが、見た目は必ずからの鳥籠である事が報告に上がっている。使い方は、番人が懇切丁寧に教えてくれる為、心配の必要は無いとの事。万が一、本人がよく覚えていないと認識していても、頭や記憶域に直接覚えさせているのか、確実に実行へ移せる程の力を有しているのだそう(此れは推測に過ぎないが、恐らく、受け取ったその欠片自体か入口へ辿り着いた時点で、何らかの術式またはまじないが発動しているのではと思われる)。入口へ辿り着くまでの手順は以上となる。
※尚、この怪異の力を用いて夢の世界へ囚われた場合、余程の力を有していない限り、他者からの干渉は出来ない仕様となっている為、夢を見ている者が自然と覚めるまで起きないし覚めない。無理矢理起こす行為は得策ではないので、なるべくなら自然起床を待つ事をお勧めする。

 *追記1:【夢籠の番人】……【微睡みの夢籠】の入口たる場所にて、夢籠の番人のような事をしている者と必ず遭遇する為、何時いつからかそう呼ばれるように。どういった存在なのか詳しい詳細は分かっていないが、恐らく夢籠の管理者たる者で間違いは無いだろうと結論付けられている。一部の間では、どうも“廿楽つづら”という名を名乗っているらしいとの事だけ判明しているが、その他については謎に包まれている。
 ⇒尚、このネタを悪戯に悪用・偽物を作った事で、悪意的に変じたver.が生まれているとの報告が上がってきているとの事。其方は、【無間むまの鳥籠】と言って、此れに囚われたものは二度と帰ってこないし戻れないのだそう。(何故“無間”という名が付いたのか、其れは夢で悪さをする“夢魔”に掛けているのでは、との一部見解が示されている。その他は、この怪異の特性から、読み方が“むま”ではなく“むげん”とも読めなくもないとの事を呟いている人も。)

 *追記2:最初に挙げた【終の夢】とは、穏やかな最期を望んだ刀剣男士等の墓場のような場所・・を示す。最後に、望んだ夢を見ながら眠り続け、そのまま消える事を望むような者だけが辿り着ける。極稀に、ふとした切っ掛けに人間(審神者)が迷い込む事も有り(迷い家の特性故の事)。見た目は、何処にでもあるような初期形態の本丸でしかない。しかし、住人はほぼ居らずの無人状態な風に捉えられる為、廃棄本丸のような印象を受ける。此処には、基本、眠りに就いた刀と、間違って辿り着いてしまった人間達を元の場所へ案内する為に起きた刀しか居ない。怪異対策調査課には、静かに観測され続けている模様。行こうと思って行き着ける場所ではない為、表向きは禁足地という事にされている。が、稀に転送装置のエラー等で該当本丸の在るIDコードとして認識され、飛ばされる事も。この現象についての原因は未だ解明されておらず、不明。恐らくは、この怪異と化した空間本丸その物の気紛れで、時折人間を招いては住人たる刀剣達の望むようにしているのではと思われる。此処からの脱出方法については、中の住人が協力する事で元の場所へ戻れる為、危険度は低く設定されている。


執筆日:2023.06.12/公開日:2023.07.17