※当作品の夢主は、拙宅ではお馴染みとなる、“一人称俺っ娘でノンバイナリーの方言ちゃんぽんな女審神者シリーズ”設定の子です。
※自己投影色強め且つ癖強めの傾向有り。
※自本丸設定山盛り+原作への独自解釈や捏造設定等多く含みます。
※尚、作中の一部にて、本作の前日譚たるお話である三日月宗近掌編『三日月宗近による神隠しの変【上】』に触れる描写が御座います。一応、単体でも読めなくもないですが、上記のお話を読んだ後に読むとより分かりやすいかも……というだけのレベルです。
※その他、夢主(女審神者)以外の他所様本丸設定の創作審神者とその持ち刀である刀剣男士もご登場致します。
※以上を踏まえた上で、どうぞ。
「おや、まぁ。こんな処で今年の干支を飾る白蛇さんと巡り合うたぁ縁起が良いこって。何処かの人外審神者さんかね? 良ければ、足の代わりに俺が出口かお待ちの近侍の元まで手を貸そうかい?」
年明け早々訳あって時の政府本部へと呼び出しを食らう羽目となって訪れていた本部施設内で、まさかの邂逅を果たした。わざわざ歴防本部まで呼び出しを受けたのは、各サーバー支部局では対応し切れないと匙を投げられた事が原因である。其れ故、わざわざ重い腰を上げて本部まで出向いてきたという
邂逅したのは、巳年に飾られるに相応しい真っ白でスベスベ肌な鱗を持ちし赤目の、所謂アルビノ種とされる白蛇である。偶々通りかかった廊下のど真ん中に落ちていたところへ
此れも何かの縁だろうと思った人の子審神者は、気安い言葉で以て何とはなしに声をかけた。すると、真白の蛇は言葉を解したような反応を返し、此方へと鎌首を
「此処で会ったも何かの縁だ。
「シュゥ……ッ」
「ふふっ。俺かい? 俺は、陸奥国に所属する一審神者に過ぎんさ。まぁ、審神者歴を申したら、一応中堅どころと言ったところではあるかね。上には上が居る故、俺なんぞまだまだゴリラ審神者レベルだがな。真のゴリラネッキ達が君臨する高みを目指すのが、今のところの俺の目標といったところだ。……あぁ、自己紹介が遅れてすまなんだが、俺は李鞠城の琥珀と申す者だ。見たところ貴殿は、亜人や神様といった類の、所謂人外枠の審神者さんだろう? 勘に頼ったざっくりとした予想だが、合っているかい?」
「シュルルル……ッ」
「ははっ。本当に神様相手だったら、些か気安過ぎるって怒られかねないかね。まぁ、此処は一つ、足になる代わりという事で大目に見てくだせぇな」
ほぼ独り言のような一方的な語りかけに、白蛇は赤い舌をチロチロさせながらも言葉短めに反応を示してくれた。其れを勝手に返事を返してくれているものと解釈しつつ、人の子審神者は出口まで送る道中の暇潰しがてら世間話を振る。
「いやはや、それにしたって、こんな巡り合わせも早々に無い稀なこったよ。今年の干支を飾る白蛇殿と偶々本部施設で出会うたぁ、こりゃ本丸に帰っての良い土産話が出来ちまったぜ」
「シュルルン……?」
「うん? 何で俺が本部に居たかって事かい? そりゃあ、新年早々ウチのモンがやらかしちまったってんで、始末書騒ぎになっちまったんでね。改めての聴取に身体検査諸々がてら呼び出しという名の強制招集を受けたってだけさよ。本当、三日月お爺ちゃんに至っては困ったもんだよ、全く……。この業界じゃあ、三日月宗近って刀は、何かしらやらかすのがテンプレみたいになってるのかね? あのお爺ちゃんのやらかしは、大侵寇の時の一件で既にお腹いっぱいだからお控えなすってくだせぇってところなのに……昨年の晩夏と言い、百鬼夜行の件でもまた一騒ぎ起こるし……もう参っちまうよ。ただでさえお腹いっぱいなところに、これ以上の厄介事は起こさんでくれって話さね……っ。あ゙ぁ゙、思い返しただけでまた胃が痛む…………」
「シュー……ッ」
「ははっ……元気出せってかい? 慰めありがとさん。まぁ、色々愚痴りたいところはあるが、諸々引っ括めて俺は自分が顕現した自分の本丸の刀達が大好きな事に変わりはねぇのさ。何やらかそうが、結局は可愛いで済まされちまうのが何とも難儀な事よなぁ〜。……まぁ、事実、ウチの子可愛いは常思う事だし? こういうのを世の中じゃ“親馬鹿”って言うんだろうねぇ」
言語は異なるものの、不思議と意思疎通が取れているようで、端から覗き見ていた通りすがりの者達は面白げな視線をそっと投げて見守っていた。その中に奇異なものでも見るかのような視線も混ざっていなくもなかったが、気にも留めなければ最早些事に過ぎない程度のものである。
そうこう喋りながら出口たるエントランスホールへと目指して進めば、距離にしてはあっという間の事で。ロビーに差し掛かる辺りで、焦った様子で此方へと駆け寄ってくる刀剣男士の姿を視界に収めた。相手が自身の刀でないのを認めて、首に巻き付けるような形で運ぶ白蛇を主に据える他所本丸所属の刀が迎えに来たのだろうと察する。本部へと呼び出しを受けた審神者の用事が終わるまでをロビーの待合所で待機していたのだろう。明らかに見て分かる通りに自身の刀ではない刀剣男士が駆け寄ってくる手前で、人の子審神者は己の肩で首を
「ウチの刀でもないところを見るに、貴殿の持ち刀かな? どうやら、此方が出向くまでもなくお迎えが来たようだ。良かったね、白蛇殿」
「シュゥ……ッ」
「ふふっ。束の間の短い時間ではあったが、貴殿とお話が出来て楽しかった。審神者という職業は、機密事項も多くて、あまり同業者の知り合いも居なかったモンで、久し振りに他人と話せたよ。ほぼほぼ此方の一方的な会話だったかもしれんが、付き合ってくれて感謝するよ。有難うね」
「シャー」
「そら、貴殿のお迎えの刀がお目見えだぞ。俺のお役目は此処までのようだ。さぁ、貴殿をお待ちかねであろう刀の元へお行きなさいな」
そう言って、駆け寄ってきた刀剣男士――地蔵行平へと首に回していた体を差し出すように腕を伸ばした。すれば、白蛇は素直に促しに従い、シュルシュルと腕を伝い、地蔵行平の差し出す両手へと移動していく。どうやら、意図は正しく受け取ってもらえたようだ。案内役を果たせた事に安堵しつつ、迎えの刀が来た事に別れの挨拶を告げようとして、反対に相手側の方から礼の言葉を述べられた。
「
「いや、何。偶々行き会った縁という事で、足の代わりになっただけの事。大した事はしていないから、そう気にせんでくれ」
「しかし、わざわざ運んでくれたところに、何の礼も無しという訳にもいくまい」
「本当に大した事をした訳でもないから、其処まで義理立てしてくれぬとも良いって。俺としては、今年の干支たる巳である白蛇殿と相見える事が出来ただけで、縁起が良いと思えた程だ。寧ろ、其れだけでお釣りが返ってくるくらいだろうさね。よって、本当に気にしなくて構わんよ。俺が好きで勝手にやった事だからね。口で礼を言われるくらいが気軽くて丁度良い」
「そうか。では、その通りに……。
「また何処かで会う機会があれば良いな。ではな、何処かの本丸の地蔵行平とその主さんよ。達者にやりや」
そう告げて軽く手を振って別れる寸でで、ふわりと空気が変わって、目の前の景色が一瞬揺らいだかに思えたらば。先程まで地蔵行平の肩より顔を見せていた白蛇の姿が消えて、代わりに人型の誰かが此方をひたと見据えていた。
人の子審神者とそう大して変わらぬ身丈の紫がかった白髪赤目の
「――神通力が切れて本来の姿に戻ったが故に難儀していたところへ、助け舟を出すように手を貸してくれてほんに助かったぞ、人の子よ。
「……やぁ〜、此れは此れは……今季最大の驚きだじぇ……っ。気配から察して、何となくそういう類の審神者さんだろうなとは思うておったが……よもや本物の神様だとは思いもせなんだやァ…………っ。こいつぁ失礼致しまして、誠に申し訳なく……!」
「その件については、咎める気も無い故に構わぬ。寧ろ、人の子と今日のように気安く言葉を交わせたのは久しく愉快であった。それこそ、嘗て昔、
「はぇ……っ。何とも恐れ多くも、有難き慈悲の程感謝致しまする……!」
「今更平伏される程の身分でもない。
「ひょえぇッッッ!? ただの通りすがりに過ぎない身分で其処までされる謂れは御座いませんて……っ!!」
「主たっての申し出だ。迷惑でなければ、素直に受け取ってもらえると
「迷惑だなんて滅相もない……!! 横の繋がりが強まるという意味では滅多にないお申し出! 此方こそ、今後とも親しくさせて頂ければ幸いに存じますところに御座います……っ!!」
まさか本当に神様の類であったなどとは露にも思わず。先程までの己の態度があまりに気安過ぎて罰当たりな気がした人の子審神者は、途端に畏まって平伏するように態度も口調も改めた。しかし、相手は咎めるどころか、そのままで居ろだなんて事を仰る。無理無理が過ぎる申し出に困った人の子審神者は、分かりやすく動揺を露わにしてわたわたと狼狽えた。けれども、態度を変えぬ人外審神者こと白蛇の神様に加えて、その持ち刀たる地蔵行平にまで追随するかの如く援護射撃を食らう。こんなの、受け入れる以外に選択肢が有るものだろうか。否、実際は有るようでいて、無きに等しく。つまりは、選択肢は実質一つしか無いのであった。
そんなこんな平身低頭の身で頭を下げていたらば、ロビー前の待合所で待機していた己の持ち刀二振りが此方の存在に気付き、慌てて駆け寄ってくる姿が目に入った。近侍の大包平と、問題行動を仕出かした事で自身と同じく聴取及び身体検査の対象となった三日月宗近である。二振りは、自分の主以外の存在に気付くなり、警戒心を見せて、半ば人の子審神者を背に庇うように身構えた。
「主……! この者達は……?」
「偶々、エントランスホールまでに向かう道中に出会った人外審神者さんと、その護衛役の地蔵行平だよ」
「何もされてはいないな?」
「寧ろ、人助けならぬ神助けした事に対しての御礼を言われてたところだよ……っ。そう警戒せんでも、歴防本部こと時の政府の大本なる本部施設で事を起こそうなんざ企む輩は、早々居らへんちや」
「訳も分からん神を名乗る者程怪しい者は居ないぞ、主よ。少しはその辺に対しても学習する事を覚えろ。お前は些か警戒心が足らな過ぎるんだ!」
「仮にもモノホンの神様に対して無礼だぞ、大包平……! 口を慎め、馬鹿者! 祟られたいのか!?」
「確かに、一理あるが……か弱い人の子を攫う不届き者もこの世には多く存在する。実際、我が主は其れを体験したばかりだ。故に、御主等がそうでない事を信ずるぞ……?」
己の三日月宗近が、そう睨みを効かせた上でそのように口を利けば、人型を取った元白蛇の人外審神者は、控えめな笑みを零して淡く微笑んだ。
「ふふ……っ。何とも
其れが別れの挨拶であったのか、くるりと此方に背を向けて出口へと向かって行った二人。半ばその様子を呆然と見つめたのちに、完全に気配が去って行ったのを察してから、人の子審神者は盛大な溜め息を吐き出した。
「びっっっくりしたァ〜〜〜ッッッ!! マ〜ジで焦ったわ!! まっさかマジモンの神様と偶然にも邂逅するなんざ思わへんし!! 初見時ガチで失礼な物の口ん利き方してしもうて終わったと思った俺、絶対死んだと思ったんやが…………意外な事にも生きてるの凄ない?? ねぇ」
「アレを一人で対峙するとは、よく耐えたな主よ……っ。偉いぞ」
「ただの白蛇な姿なだけの人外審神者さんかと思うたら、まさかの神様やったて知った瞬間の俺の心境を察してみろや…………死ぬぞ、メンタルが。クソ雑魚レベルのメンタルと語彙力で何とか乗り切った俺を褒め千切ってくれ」
「お前にしては良くやった方だ。誇るが良い。流石はこの俺、大包平の主だ。胸を張っても良いぞ」
「あんがと、大包平……メンタルヘルスケアには、やっぱり大包平が一番効く……」
「何はともあれ、主に何事も無くて良かった……っ」
やらかした事が事なだけに、始末書問題と監査対象となってしまった事は避けられないが、本物の神様から怒りという名の天罰を食らわされる事だけは避けられたようで何よりである。
――後日。
とある陸奥国の本丸へ、一つの菓子折りが御礼状と共に届けられた。此れを受け取った初期刀の加州清光は、思い当たる節が何も無い事に首を捻って怪訝な顔を浮かべながら、執務室に籠る審神者へと玄関で受け取った配達品と一緒に問いかける。
「ねぇ、主〜? 何かよく分かんないんだけど……大和国サーバーから御礼状添えられた上で菓子折りが届いてるんだけど、何か心当たりある?」
「大和国サーバーから……? んな知り合い誰ぞ居ったかね…………いや、一人居ったな?? つい先日、本部に強制招集という名の呼び出し食らった日に会うた、白蛇の神様審神者さんからやない……!? 確かにあん時、何か“この度の礼は後日改めて”とかどうの言うとったけんども……! マジで送ってくるとは思わなんだやぁ〜……っ」
「ちょっと。今のどういう事? 俺、その話初耳なんだけど??」
「ア゙ッ、いや、此れにはちと訳が御座いましてやね……!」
「ハイ、主は白状するまでこっから出るの禁止で〜す。大人しく全部吐きな。話はそれからだよ」
「あ゙ぃ゙……ッ」
何も聞かされていなかった初期刀により、正座で以てお説教をされる羽目となった人の子審神者を横目に入れつつ。加州清光が受け取ったと言う、大和国サーバーから送られてきた御礼状付きの大層立派な高級菓子折りを見た三日月宗近は、少しだけ困った風に笑った。
「いやはや、何とも義理堅い神も居たものだなぁ。やれやれ……ウチの主は、人為らざる者共ばかりに好かれるから困ったものだ。主のお人好しも、此処まで来るとちと厄介ものだなぁ」
「おい。大和国サーバーから菓子折りが届いたと聞き及んだが、本当か?」
「あぁ、本当だとも。ほれ、其処に現物が置いてあるぞ」
「主は何と?」
「主なら、絶賛初期刀殿に絞られているところだ。どうも、先日の一件を伝えそびれていたらしく、詰められている最中という訳さ」
「此方が肝を冷やすような事ばかりなのも些か問題が有り過ぎるだろう……。少しは学習して欲しいところなんだがな」
「あれは、少し言い聞かせたところで聞き入れるような
「其れに関しては同意するが、取り返しの付かん事になる前に本気で主の悪癖を直した方が良い気がする……。彼奴は、些か此方側に近過ぎる。其れが問題だ」
「全くだ。かと言って、主のお人好しをどうにか出来るとも思えんがな。我等のような者が寄って集るのは、主の生来より持ちし性質故に、如何様にもし難いのが事実よ。元よりどうにか出来ていれば、審神者なぞにもなっておらなんだろうて」
「難儀な話だ……」
「まぁ、見守っていくしかなかろう。俺達はその為に居るのだからな」
とある陸奥国の本丸は、今日も賑やかで穏やかな日常を過ごしているのであった。
執筆日:2025.01.30
加筆修正日:2025.01.31
公開日:2025.02.02
加筆修正日:2025.01.31
公開日:2025.02.02
【後書き】
先月限定で使用可能であった公式配布の白蛇絵の小説表紙が使いたかった事もあって超絶ギリギリ滑り込み投稿致しました(笑)。
支部小説投稿企画のイラスト・マンガ・小説1月横断投稿企画『かき初め2025』へ参加及び投稿した作品になります。
テーマは『2024年の書き納め・2025年の書き初め』。
参加タグは『Kakizome2025』です。
干支にちなんで、人外審神者さんな白蛇さんがご登場致します。過去2013年の年賀状に描いた白蛇を擬人化させた絵(過去年賀状絵纏めとして掲載済み/※作者の垢頁へと飛びます)をベース元に作った白蛇審神者さんとなります。
基本お話のメインは、拙宅ではお馴染みの“一人称俺っ娘でノンバイナリーの方言ちゃんぽんな癖強女審神者”ですが、偶には別の審神者さん(人外)とも絡ませてみたいなと思い至った故の思い付きとも言う。
何処かで余裕のある際に、今回ご登場した白蛇審神者さんをメインとして扱ったお話も書いてみたいところです。
予定は未定ですが(;´∀`)
筆が乗り次第となります故、気長にお待ち頂ければと思います。
後書きを締め括るにあたりまして、素敵な企画を用意してくださったpixiv様には大変感謝致します。
この場をお借りして、改めて御礼申し上げたいと思います。
この度は、素晴らしき企画にて私の稚作な作品を並べてくださり、誠に有難うございました。
先月限定で使用可能であった公式配布の白蛇絵の小説表紙が使いたかった事もあって超絶ギリギリ滑り込み投稿致しました(笑)。
支部小説投稿企画のイラスト・マンガ・小説1月横断投稿企画『かき初め2025』へ参加及び投稿した作品になります。
テーマは『2024年の書き納め・2025年の書き初め』。
参加タグは『Kakizome2025』です。
干支にちなんで、人外審神者さんな白蛇さんがご登場致します。過去2013年の年賀状に描いた白蛇を擬人化させた絵(過去年賀状絵纏めとして掲載済み/※作者の垢頁へと飛びます)をベース元に作った白蛇審神者さんとなります。
基本お話のメインは、拙宅ではお馴染みの“一人称俺っ娘でノンバイナリーの方言ちゃんぽんな癖強女審神者”ですが、偶には別の審神者さん(人外)とも絡ませてみたいなと思い至った故の思い付きとも言う。
何処かで余裕のある際に、今回ご登場した白蛇審神者さんをメインとして扱ったお話も書いてみたいところです。
予定は未定ですが(;´∀`)
筆が乗り次第となります故、気長にお待ち頂ければと思います。
後書きを締め括るにあたりまして、素敵な企画を用意してくださったpixiv様には大変感謝致します。
この場をお借りして、改めて御礼申し上げたいと思います。
この度は、素晴らしき企画にて私の稚作な作品を並べてくださり、誠に有難うございました。
