4.風邪(2)


買ってきた物を冷蔵庫に仕舞い込み、自室に戻って携帯を探す。
その携帯はチカチカ、とメール着信を告げるランプが点滅を繰り返していた。



「……、っ」



その携帯を見て、私は思わず息を呑む。
メールのみならず、一君からの着信が列を成していたからだ。


「…………」


私の携帯には念のため留守番電話機能もついているが、一くんは伝言を残すような人じゃないから、機能が働く前に切ってしまっていたんだろう。
それでも機械は動くから、プー、プー、プーという規則的な機械音がただただ記録として残るだけ。
留守電のアイコンの横に小さい数字で件数が表記されてて、それが全て一君からものもと考えると、少し、怖い。

でも具合の悪い一君を放って置いく訳にもいかない。
“戻る”と告げて部屋を出たのだから。
…私は引っ掛かりつつも、その事柄を携帯を閉じると同時に頭の奥に仕舞い込んで、コンビニへと向かった。

熱取りシートにイオン飲料、喉越しの良いプリンやゼリーを買いこんで彼の家へ急ぐ。

もしかしたら、眠っているかもしれない。
玄関ドアというものはどうしても重い音がしてしまうから、極力音を立てない様そっと開閉して、足音を立てないように階段を上がる。
一君の部屋のドアを開ければ、一君はベッドから身を起こし、フラフラとしながら部屋を出ようとしていた。


「………、っ!」
「………」


はち合わせた私に驚いたものの、また先程のように私を掻き抱く。


「どうし、たの……!?」
「……・・く、な……」
「…え、……っ!?」


ぐい、と一君は私のカットソーの襟元を引っ張り、顔を埋める。


「っ、あ…!」


いつもより熱い唇が私の胸元を這い、次いで軽く引き攣れる様な痛みが走る。


「や…、いッ…、た…」


一君が私の胸に噛みついている。


「……」


熱の所為なのか、興奮しているのか、一君は獣のように荒い。
熱のこもった吐息を私の胸元に浴びせ、更に腰を掴む腕の力が増して、


「ん、あ……ッ」


私は息苦しさに喘いだ。


「………!」


スカートの裾に手を掛け、熱い掌が私の太腿を弄る。
一君はきっとこのまま私を抱こうとする気だ。


「だめ、だめだよ…!」


体調良くないんだからと、一君の肩を押して制し様としたけれど、その腕を振りほどく事が出来ない。
本当に体調悪いの?と思う位一君は恐ろしい程力強くて、よろめいた私は、一くんと共にもつれ合う様に床に倒れ込んだ。



「………ッ」
「う、あ……っ」


背を強かに打ち付け、呻く。
一君も頭を抑え呻いていた。


「はじ、め、……くん…」
「…………っ」


痛む頭を暫く押さえ小さく喘いだ後、ゆっくりと息を吐いた一君はそのまま私の事を抱き締めた。



「ユイ……ッ」



絞り出す様に紡がれる私の名。

私の身体全部を包む様に這わされた掌。

先刻の着信の事といい、今日の一君はやっぱりおかしい。


「……、っ!!」


更に混乱していれば、片手で両腕を拘束される。
一君の掌が私の下着に掛かったと感じた瞬間、あっと言う間に剥ぎ取られ、膝を割られて脚を開かれる。


「やっ…!…だめ……や……ッ」


まだ濡れてもいないそこに、いつもより熱いそれが宛がわれ、引き裂く痛みに私が呻けば、一君は私の口内に自分の指を差し入れる。


「痛ければ…、噛め……」


滾りを押し進められながら、口内を一君の指で犯される。


「んッ…、ひゃ…、ッ…、……ん、ふ…ッ」
「く……」


私が渇いているからか、一君も痛みに呻く。


「……やッ…ん!」


更に捲り上げられるスカート。

私の身体の全てを知り尽くしている一君の指は、あっと言う間に私の弱い処に辿り着き、潤わせる為にそこを刺激する。
咥内を蹂躙していたしていたもう片方の手は引き抜かれ、カットソーを忙しなく捲り上げて下着をずらす。
外気に晒され立ち上がった胸の先を露わにし、一君は熱い舌を這わせた。


「ん、ぅ、あンッ…」


下肢の熱に加え、小さい芽への刺激。


「あっ、あ、あ……!」


腰が勝手に跳ねて、一君のを飲み込んで行くのが分かる。


「ァ……、あッ、…ん、ん」


全てを呑み込んだ私の秘部は勝手に痙攣して、昂った感情が涙を滲ませ、口からは勝手に喘ぎが漏れる。


「……、ッ」


いつもよりも潤んだ一君の瞳が私を捉え、私の唇を指でなぞる。
きっと風邪がうつるからキスを躊躇っているんだろう。
そんな気遣いが出来るのに、私を穿つ腰の動きは止まらない。


「また、なに、を…考えて…!」
「っ、や……!」


もうすっかり潤った私のそこは、今度は厭らしい水音を立て始め、一君が獣の様な唸り声を上げる。
捲り上げられ露わになった胸元の歯型に舌を這わせ、


「あ……ッ!」


その熱さに、また腰を跳ねさせた私の脚を高く上げ、一君は打ち付けを強め出した。


「や…、あ……ッあ、あっ」
「ユイ…、ユイ……ッ」



絞り出す様に切な家で私の名を紡ぐ一君。



「ンぅ、あ…ッあ、ああッ!」



私を穿つ一君の熱は火傷しそうな程熱くて、おかしくなったのは全ては熱の所為にして、私は一君にしがみ付いて啜り泣いた。

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