その他
ジャン

2022/10/30 21:48

(Gマッ魚♂)
27歳、男性、184cm
一人称:俺
二人称:あんた

影に潜る能力を持つ人ではないヒトガタの男性。
ここでは影に潜れる一族を仮に「影の一族」と呼ぶことにする。
ジャンは影の一族の両親の元に生まれた。影の一族は人間に迫害を受けていた為、両親は自分らの身の安全の保証と引き換えに雇い主である人間から汚れ仕事をさせられていた。
そんな折生まれたジャンは両親から名も与えられる前に引き離され、雇い主に半ば家畜の如く育てられた。成長したジャンは両親と同じく暗殺などの仕事をする事となった。失敗したり逆らえば酷い体罰を受けた。身体の至る所にある傷や左肘より先の欠損はその為である。
仕事の折にはターゲットを暗殺するタイミングを見計らうためそれの住む街に暮らすようにしていた。そんな中出会ったのがファンティーヌだった。怪我をしている自分をファンティーヌは手を引っ張ってさっさと家に入れてしまった。人から家に招き入れられるということが初めてであった為、ファンティーヌの行動には驚きを隠せなかった。治療の間ずっと語り続けるファンティーヌにジャンはよく喋るニンゲンだ、と思った。それと同時に自分の雇い主は自分を「化け物」と呼び仕事のこと以外は話してくれなかったな、とも思った。ジャンがファンティーヌに抱いた感情は少なくとも雇い主に対してのものでは無いことは確かだった。
その後、人ではないその異形の目を見られてしまい一時的に逃げてしまったが、また彼女の前に現れた時彼女は驚きはしたものの畏れたり逃げたりしなかった。やはり彼女は今までの人間とは違う、と思いそこから知らない感情が芽生えていった。
彼女が演じる劇を見て人間の色んな感情を一気に取り込んだ彼にとってまだ慣れない感情の中で感じたのは、ファンティーヌの為に何かしてあげたい、だった。

ファンティーヌはある日、最後のオーディションを受けるという。これに落ちたら、もう実家に帰る予定だとも。そう言って家を出て、夕方戻ってきた彼女の表情はぎこちなかった。じゃあ明日の始発の列車で帰るね、と言った。ああオーディションに落ちたんだ、彼にも察せられた。

ーーその後はよく覚えてない。

手には血に濡れたナイフと足元に人間の女の屍体が転がっていた。この女は、ファンティーヌが受けたオーディションの…。
ーー翌日、最初に出会ったあの場所で、トランクケースと新聞を握りしめたファンティーヌに会った。始発に乗ると言っていたのに、そう言おうとしたジャンはファンティーヌの顔を見て分かってしまう。
やってはいけない事をしてしまった。

地獄の逃避行の始まり始まり。
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