無限ループ
「もう解放してくれ……」
「だって佐補が、佐補が……!」
「嵐山さんどうしたんですか」
「波折が救世主だったのかもしれない」
「悠一くん、急に何言ってるの?」
「嵐山の兄弟トークが止まらない」
「私ちょっと急用ができた」
「待って待って待って」

回れ右をすると、全力で引き止めてくる悠一くん。
私だって嵐山さんの兄弟の話聞くの嫌だよ。
ストップ入らないと、ずっと話し続けるんだもん。

「串カツ食べ放題奢る」
「嵐山さん、佐補ちゃんがどうしたんですか?」
「変わり身早っ」

串カツなら仕方ない。

「佐補が一緒にお風呂に入ってくれなくなった……」
「当たり前の話ですね」
「だろ?」
「でも悲しい!!」

ワッと泣き出す嵐山さん。
泣き顔もイケメンとかズルい。

「女の子は男の子よりも早熟なんです。佐補ちゃんには佐補ちゃんの理由があるでしょうし、お兄ちゃんとして、妹の成長を喜ぶべきです」
「そうだな……そうする」

よし、一段落。

「昨日、うちに佐補を尋ねてきた男がいた」

まだあるんかーい!

「遊ぼう的なアレですか?」
「佐補の忘れ物を届けてくれたんだ」
「その子すごくいい子じゃないですか!」
「佐補を尋ねてきたことが問題だ」

「いや、むしろそういういい子なら祝福するべきですよ」
「まだ小学生だぞ??早くないか??」
「さっき波折も言ってたじゃん。女の子は男の子より成長が早いんだって。好きな人くらいいるだろ」
「ちょっと前まではお兄ちゃんと結婚するって言ってくれてた!!」
「いつの話だよ」

絶対、佐補ちゃん覚えてないよ、それ。

「佐補ちゃんは大好きなお兄ちゃんが自分の好きな人のことを好きになってくれなかったら、きっと寂しいと思います」
「そうだそうだ!」

誰が合いの手入れろって言った。

「……佐補の好きになった奴だ。きっといい男なんだろう。だが、まだ手を繋ぐことしか認めん!」
「無限ループかな!!?」

その後も嵐山さんの兄弟トークは止まらないのであった。


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