「て、寺島さんが丸くなった……！！」
「よっ」

あんなにスラっとしてたのに。
今はお饅頭みたいだ。
寺島さんって攻撃手（アタッカー）だったよね？

「なんでこうなったんですか……？」
「ちょっとね」

寺島さん曰く。
弾丸トリガーの強化と流行に腹が立って対･弾丸トリガー用のブレードを作ったらしい。
その名もレイガスト。
攻撃手（アタッカー）用なのにシールドとスコーピオンをベースにした防御に特化したトリガーなのだと言う。

「寺島さんなにそれww」

と寺島さんを指さしながら爆笑する太刀川さん。

「太刀川殴る」
「寺島さん、その体なのに速くない？」
「デブだから持久力がないだけ」

トリオン体でご飯を食べると満腹中枢が刺激されず、ほぼ無限にご飯を食べ続けることが出来るらしい。
でも、トリオン体から戻ったらトリオン体の時に摂取したカロリーがそのまま自分の体に影響を及ぼす。
それにトリオン体だと排泄がいらないぐらい吸収率がいいらしい。
いったい寺島さんはどれくらい食べたんだろうか。

「トリオン体になれば満腹中枢も刺激されないけど、睡魔も襲ってこないよ。徹夜も軽い軽い」
「え、でも戻ったら即寝落ちですよね」
「うん。軽く三途の川が見えた」

当たり前だ。
生き物は寝ないと死ぬ。
大学かどこかで寝ないと生き物はどうなるのか、という実験をネズミで実行したところがあったとか、なかったとか。
寝るという行為は脳を休めることで、つまり、寝ないと脳は休まらない。
ずっと起きていたら、脳が動いているときがずっと続くということ。
つまり、脳がパンクするのだ。

「太刀川さんはいざとなればトリオン体になりましょうね」
「なんで！？」
「……本人に言うのは申し訳ないんですけど、寝ないで数式や英単語を叩き込まないといけない時が来るかもしれないからです」
「来ねーよ！！」

なんて言っていた太刀川さん。
まさか、その一週間後にそんな日が訪れるとは、夢にも思っていなかったのである。

「これパスしないと進級できない……忍田さんにトリガー取り上げられる……それだけは阻止したい……！」
「独り言を言う暇があるなら英単語の1つでも覚えたらどうだ」

風間さんの蹴りは今日も痛そうだ。

「痛い！」
「痛いだと？俺たちはお前の勉強を見ているせいで自分の勉強が出来ていないんだが？」
「うっ」
「それに、天喰なんかはずっとお前につきっきりだぞ。いい加減解放してやれ」
「いやぁ、正直に言うと風間さんより天喰のが優しいし……痛っ！！」
「正解する度に犯罪者みたいな奴の頭を撫でている天喰の気持ちになってみろ」
「俺、そんなに犯罪者ヅラかな！？」
「鏡見てこい」
「鏡に頭ぶつけて死ね」
「風間さんも寺島さんも酷い！！」

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