「なんでだよ」
承太郎くんはチッ、と舌打ちをした。すごく機嫌がわるそう。スラリと伸びた外国人みたいな長い足を組みながら承太郎くんが眉をひそめる。
「なんでキスができねぇ」
「....いま口内炎ができてていたい....」
「ちょっとキスするだけだろーが、痛くねぇよ」
「いたいんだもん、だって喋るのもつらいし、飲み物も....」
いたいんだ、と言ってるのに承太郎くんは無理矢理に私の腕を掴んで顔を近付けてくる。
いつもいつも強引だ。
「承太郎くんやだ」
「ああ?」
ものすごく睨まれて、思わず涙目になる。テメェにはこの俺が気合いをいれてやる、なんて胸ぐらをつかまれて引っ張りあげられた。
「ひ、っ、承太郎くんやめて!」
口の中はいたいし、承太郎くんは怖いし、引っ張られて苦しいしもう助けて。
「死にてぇのか」
「す、すすみません」
なんでこんなに怒られなきゃならないんだろう。ぽろぽろと涙が出てくる。
「泣きやがって、俺はただキスがしてぇと言っただけだが」
ため息をつかれた。私はそのキスがいやなのに。
承太郎くんは泣いている私の頬っぺたを両手でがっしりと挟み込んで私にキスをする。
何度も何度も。
唇をちゅー、と吸ってくる。
「んんー!」
予期していた悪い予感が的中してしまって、承太郎くんの舌が私の口の中で動き回る。いたい。
やっとの思いで離れてもらえて、私が深呼吸をしている頃。承太郎くんは少しだけ満足そうにしている。
煙草を取り出して、それに火をつけて、白い煙と一緒に息を吐く。
承太郎くんは何がしたいんだろう。
「そんなに見つめてどうした。もう一回してください、ってんならいいぜ。」
私はゆるゆると首を振った。
承太郎くんの気がすむまで、私は彼の横に居なきゃいけないんだろうな。