「え、」
今なんて?
信じられなくて目が点になる。今、今、テレンスが私の名前を呼んだよね?
「あの、」
「◎◎ですよね?」
「どうして私の、名前を?」
「話したら長くなります。まずは、その、どうぞこちらへ」
テレンスは咳払いをしながら、私を奥へと続く廊下へと誘う。
と、涼しい風が吹き抜けて、館の中に怪しい気配はなかった。私はとりあえずテレンスに言われるままに奥へと進む。すると突然、床に大きな穴が開いて、私は一気に引きずり込まれた。
「突然ですが、ストレートに申し上げます。貴女はこの世界の人間ではありません。ゲームの、二次元の中の存在なのです。」
「は、!?」
「ああ大丈夫ですよ◎◎。このテレンスダービー、貴女を危険に晒さぬようお守りして差し上げますからね」
テレンスの手が私の頭をさらさらと撫でる。は、え、意味がわからない。
硬直している私に、テレンスは「受け入れられなくて当然です」と眉を下げた。
「これが貴女ですよ」
テレンスは数本のゲームソフトのパッケージに同じように映っている人物を指でなぞる。
「(わ、たし?....)」
目を凝らしてよく見てみるけど、どう見ても似ているのは髪型だけで、私がどうこうとは思えない。
「ふふふ、可愛いでしょう。一部のマニアの間では恋愛シミュレーションゲームなんかも制作されてますよ」
テレンスが薄く微笑む。
寒気がした。まさかそんな。
でも攻略本を渡されて、そこに記載されていたプロフィール欄が、まったく自分と同じだったことに絶句した。
「身長、体重、....家族構成、...血液型、誕生日....好きな、食べ物」
すべて一致する。
「わ、たしは....」
ふらふらと目眩がして、私は倒れる。
待って。待ってよ神様。
ジョジョの奇妙な冒険の世界にやってきたとトンデモ体験をしただけでなく、こんな付属のアンビリーバボーまでついてくるっていうの?
勘弁してよ!!