『誰にも渡さない』

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 思わず吐いたため息、溢れた不満。
 素直じゃないマスターを持つと苦労するぜ、と何気なくぼやいた俺に、キャスタークラスの俺が目を細めてこう言った。

「ーーなら、俺が貰い受けようかね」
「馬鹿言うな」

 即、鼻で笑ってグラスを傾ける。いくら俺自身だろうと、あいつは誰にも渡さないさ。