『逃がしはしない』
▼ ▼ ▼
怯える色を見た、その瞳に。
――恐ろしいか、俺が。
そんな愚問は口にするまでもなく、小動物のように震える女のその腕を掴む。
……細い腕だ、少しでも力を入れれば折れてしまいそうなほどに。
「逃がさねぇよ」
そう囁いた自身の声は、隠しきれない愉悦が滲んでいるようだった。
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