『逃がしはしない』

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 怯える色を見た、その瞳に。

 ――恐ろしいか、俺が。

 そんな愚問は口にするまでもなく、小動物のように震える女のその腕を掴む。
 ……細い腕だ、少しでも力を入れれば折れてしまいそうなほどに。

「逃がさねぇよ」

 そう囁いた自身の声は、隠しきれない愉悦が滲んでいるようだった。