『猫』

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 足元をチョロチョロと動き回るそれに、鬱陶しそうな顔をした彼。それを微笑ましく眺めながら、「踏まないようにね」なんて笑いかけた。

「……ちっ」

 舌打ちをした彼は、それでも眉間に皺を寄せたまま動かない。
 それがなんだか可笑しくて愛しくて、もう少しだけそのままにしておくことにした。