08

「明遁、光彩陸離」
「ナツメ、もういいですよ…どうせ治してくれたって僕はもう忍者にはなれないんですから…」
「うじうじ言わない。50%の可能性があるんだから、諦めないで」

今日も今日とてリーのリハビリに付き添う。ナツメの両目が充血していることに気づいたリーは止めようとしたが、彼女は途中でやめるつもりはなかった。

「う…」
「ナツメ、こんなところにいたのか」
「ツナデ様…」
「着いてきな」
「は、はい…」

でも、今回は少し無理をしすぎたかもしれない。リハビリを終えてからドアの前で目を押さえていると、ツナデが現れた。

「ここは…」
「ここは猿飛ナズナの書物庫だ」
「これは…!」

そんな彼女に着いていくと、そこは書庫だった。古びた巻物や本がずらりと並んでいる。

「こんな、ところに…!」
「お前、ナツメじゃないね?」
「え…」
「ナツメだけど、ナツメじゃない…そうだろう?」
「ええ…そうかもしれませんね」

その一冊を手に取ってみると、明遁術の続きが記されてあったのだ。ツナデにそう指摘されたナツメはすっと視線を落とした。

「私には前世の記憶があります…大切な人を守れなかった己を呪いながら、もう一度この世に転生してきました」
「そうか…」
「ずっと、これを探していたんです…どうしてこれを持ってるんですか」
「三代目から預かってたんだ…ナズナの持ち物だから、保管しておいて欲しいとな」
「猿飛、ナズナって…」

この世に転生してきたのは偶然だった。
愛おしい人を大戦で亡くし、生きていく意味がわからなくなったナツメは浴槽に入って自殺した。その後どうなったのかはわからないが意識だけが浮上して過去へと遡ったのだ。

「お前の母親だよ」
「…!」
「お前がどうやって明遁術を身につけたのかは知らないが、これは禁忌の術だ…手を出さない方がいい」
「私は母が残してくれた巻物で明遁術を学びました…続きを得るためにはどうしても、これが必要なんです」
「ダメだ」

どうして転生できたのかは知らないが、恐らく前世への未練が強く残っていたのだろう。どうせ生かされる命ならばもう一度人生をやり直して彼を救いたいー…そう思ったのだ。

「これはあたしの所有物だ。お前にはやらん」
「じゃあなんでこんなところに…!」
「お前が断ったからだ」
「なっ…」
「お前があたしの弟子になれば、可能性があったが今のお前じゃあ無理な話だ」

過去の記憶を思い出したのは最近だったが、これから未来を変えていけばいい。そのためには強くならなければとリーと共に修行に励んだ。ネジとも最初は修行をしていたが、守るべき人に鍛えられるのはおかしいのではと違和感を覚え、人知れず影で修行することにしたのだ。

「リーのリハビリも中断してもらう」
「くっ…」
「さぁ、どうする?」
「もう少し、考えさせてください」
「いいだろう…お前の返事、期待しているぞ」

それを邪魔されるわけにはいかないー…そう拳を握りしめたナツメ。ツナデはそんな彼女をどこか面白そうに見下ろしていた。