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「ナツメ…」
「う…」
「ナツメ、しっかりしなさい…」
「母さ、ん…?」
「ええ、そうです。やっとお会いできましたね」
「うぅ…」
「動かない方がいい…あなたの身体を溶かして、養分にしようとにている…」
「養分って…んぅ」
「闇影は光の巫女を食って、光彩陸離で甦ろうとしているのでしょう…明遁術が使えるあなたもまた、対象者となっているというわけです」
「母さんは…どうして明遁術が使えたの…?」
「セツナから聞きませんでしたか…?私は巻物を集めるのが好きでした。古い書物を探していたある日のこと、お父様の書庫から闇の書が出てきたのです…」
「お父様って…」
「天草瑪瑙…闇隠れの里の闇影です」
「なっ…闇影が…!?」
「おおそうだとも…こんな形だが孫に会えて嬉しぞ」
「ひっ、う」
「しっかりして!意識を保つのです」
「そう、いわれたって…!」
「明遁、光彩陸離、改!」
「ぎゃあ!」
「その術は…」
「闇影のチャクラを一時停止させました…気分はどうですか?」
「うん…触手が緩んだ」
「あなたと話すためにもチャクラを温存しなければならないから、ゆっくり喋りますね」
「はい…」
「お父様の書庫から闇の書を手にした私は闇の書に封じ込められてる怨霊に精神を乗っ取られ、操られてしまったのです…」
「怨霊って、まさか…」
「ええ、死人の魂です…」
「死人の魂に言われるがまま、私は闇の書と光の書を持って闇隠れの里を抜け出してしまいました…そのまま虹隠れの里に向かって、明月の書を奪い、光の書と入れ替えろと言われたからその通りにしてしまったのです…」
「ってことは、光の書っていうのは…」
「ええ…闇の書の片割れ…元は闇隠れの里にあったものです」
「そう、だったんだ…」
「ですから本来、闇の書を封印できるのは闇隠れの人間でないとならないのですが…明月の書は虹隠れのもの。闇の書を封印する術がなかった怨霊は私を使い、光の書と入れ替えさせたのでしょう」
「闇の書は封印してほしかったの…?」
「ええ…そうみたいですね」
「でも、それで母さんが抜忍になっちゃったら意味がないよ…」
「あなたはそう思うかもしれませんが、明月の書で明遁術を学べたし…これはこれで素敵な出会いがあったのですよ」
「もしかして…父さんのこと?」
「ええ…あなたのお父さんは木の葉隠れの里の忍でした。偶然、虹隠れの里に任務に来ていて…怨霊に操られた私を助けてくれたのです。それだけでなく、闇隠れの里に突き返せば良いものを、抜忍になってしまった私の立場まで考えてくれて…お人よしな人でした」
「でも、呪いまでは解けなかったんだよね?」
「ええ…闇の書に子を成せば死ぬと言う呪いをかけられましたが、父さんにも呪いは解けず…私は甘んじて呪いを受けることにしました」
「そんな…私のせいで」
「いいえ、あなたのせいではありません。あなたには辛い思いをさせてしまったかもしれませんが、私はどうしてもあの人との子どもが欲しかった…ただそれだけなのです」
「今回、あなたと会えたことで私の魂が浄化され、成仏できます…私が成仏すると共にこの呪いが解け、あなたも私という呪縛から解放されるでしょう…」
「私は母さんのことを呪縛だなんて思ったことは一度もないよ…ただ少し、寂しかっただけ」
「…ありがとう」
「ナツメー…」
「ほら、聞こえるでしょう?あなたを探している声が…」
「うん…」
「どこだ、ナツメー…」
「ネジ…」
「この力はあなたに授けます。仲間の元に戻りなさい」
「ええい、小賢しい…!」
「光彩陸離、改!」