04.砂塵舞う道中

「そろそろ行きましょうか」

全員の体力が回復した事を確認し、リフィルを先頭に奥にある遺跡へと進む。
入り口は砂ともコンクリートとも違う巨大な板で塞がれており、とても動かせそうにない。

これでどうやって中に入るんだと聞けば、リフィルが入り口の横にあった石碑にコレットを導いた。

「ここに手を当ててみろ!!」

「あっ、はい!」

遺跡を目にしてから喋り方も振る舞いも豹変したリフィルにコレットが慌てて従い、石版に触れる。
すると重い扉は横に擦れ、地下へ続く階段が現れた。

一同は躊躇うことなくその中に入り、燭台に照らされた薄暗い通路を歩く。

「なぁ、母さんってどんな人だったんだ?」

前を行くコレットが人骨に躓いて転び、側に居たジーニアスが手を差し伸べるのを見ていたカーノに、突然そんな質問を投げてきたのはロイドだった。

「どうしたんだ急に?」

「いや、親父にも聞いたんだけど、詳しくは知らないって言われて……」

いつの間にそんな話してたんだと聞けば、前にダイクと口論になっていた時が丁度それだったらしく、出掛ける前にも少し話をしたのだと語った。

「兄貴は知ってたんだろ? 俺のこのエクスフィアが母さんの物で……母さんはそのせいでディザイアンに……」

右手に着けた丸い石に視線を落としながら、その先の言葉を声に出すことが出来ず俯く。

「……そう言えば、兄貴もエクスフィア着けてるよな。それも母さんのなのか?」

何も言わないカーノに、自分とは反対の手に埋め込まれている赤色の石を見て言う。

「いや、これは別のもんだ。エクスフィアは1人につき1つしか造れないからな」

「作る? エクスフィアって人の手で作ってるのか?」

てっきり鉱石みたいに掘り出してるのかと思ったと、何も知らない少年は目を丸くする。

「……まぁ、そんなとこかな」

珍しくハッキリしない返事と共に自嘲気味に笑う兄にロイドは首を傾げたが、話題は始めに戻った。

「で、どんな人だったんだ?」

「どんな……って言ってもなぁ」

そんな大まかな聞かれ方しても困るぞと言いながら、思い出せる範囲でアンナという人物について話す。

「とにかく明るい人だったな。お前の明るさとはちょっと種類が違うけど……何があっても笑顔でいられる人で、周りが落ち込んだら励ましてくれた。元は海を渡った先の大陸の端にあるルインって町に住んでたらしい」

あと料理はあんまり得意じゃないらしいとか、髪は短かったとか、美人だから結構人気があったとか。
一部自分の勝手な評価も織り混ぜて、懐かしむように遠くを見る。
その目に写るのは、今はもう居ない1人の女性。

「そっか……それはいいんだけどさ、兄貴」

思いの外スラスラと答えるカーノに、ロイドはある異変に気付いて口を挟む。

「顔、赤くなってんぞ」

「え?」

言われて、掌で頬に触れると、確かに何時もより熱い。

「母さんにまで反応すんのか?」

「お前な……変な言い方するなよ」

目の前に本人が居るわけでも無いのに、思い出話をしただけで赤面している自分に泣きたくなる。
その隣で完全に他人事なロイドは「大変だな」と笑った。
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