01.始まりの神託
「……ん?」突如として現れた第三者と、急に静かになった戦場に疑問を抱いたカーノは、スコープから目を離す。
そうして見たものは、ロイドの前に立って相手の剣を受け止める、謎の男の姿だった。
その男はそのまま剣を薙ぎ払い、一撃で対峙していた敵を沈めた。
子供が三人と独学で修行した者が一人というメンバーだったにしても、あれだけ苦戦した相手をいとも簡単に倒され、唖然となった四人はしばらく動く事が出来なかった。
そうして騒動が収まり、命拾いした一行は聖堂の前に集まっていた。
コレットやファイドラは結果として助けてくれたその闖入者に感謝し、ロイドは何やら不機嫌そうにその様子を見つめ、ジーニアスはヒーローを見るような目で男を見ていた。
一方でカーノはというと、そんな面々を遠巻きに見つつ、謎の男に人一倍警戒心を向けていた。
男の説明によると名はクラトスと言うらしく、旅の傭兵をしているのだと語った。
成る程それであの強さかと納得した反面、あまりにもタイミングの良い登場だったせいで疑念が拭えない。
だがそんな不安を知ってか知らずか、話は神子の護衛云々へと流れ、更にはそのクラトスを護衛に付けようという事にまで発展してしまった。
何故今出会ったばかりの男に大事な孫を預けるんだと怒鳴りたくなったが、力だけは確かなものである手前無下にも出来ず、というかそれ以前についてきただけの自分に発言権はなく、仕方ないかと諦めかけたその時、ロイドが自分も着いていくと言い出したものだから、カーノは更に頭を痛める事になってしまった。
大体何故自分がこんなに頭を痛めなければいけないのか。あぁロイドか、発端はロイドだし今ようやく終わりそうだった思考をまた拾い上げたのもロイドだなと、頭痛の原因をロイドに擦り付けたカーノは、自分なりの一番の得策を考えて、出した答えを口にした。
「なら、俺も着いて行かせて下さい」
着いていく、と言わなかったのは、先程の戦いでほとんど役に立たなかった負い目や、発言権がどうこうという問題を考慮してだった。
断られるかとも考えていたのだが、意外な程すんなりとファイドラは了承した。
こうしてクラトスを入れて5人の団体となったカーノ達は、信託を受けるべく聖堂の中へと入っていった。