03.悲しみと引換の活路

「トタギ! ユウナオミザキョダカアッサ!」

しばらく空の上を飛んでいた飛空挺。リュックのアニキらしい操縦士のアルベド族が、何かを発見してシドを呼んだ。
それを聞いて、ばらけていた仲間たちも中央に集まる。

「ゴヨガ!?」

「ミヤフユヌ!」

飛空挺のモニターに映像が映し出される。
そこには花嫁衣装のユウナと、死んだはずのシーモアが映っていた。

「ユウナ!? これどこだ!?」

「聖ベベル宮、エボンの総本山よ」

「ユノはー!?」

「……見当たらんな」

「だがアイツらを攫ったのは間違いなくコイツらだ。ユウナがここに居るならユノも一緒の筈だ!」

「おっさん、行ってくれ!」

「分かってんのか小僧、ベベルの防衛網はハンパじゃねえ!」

「何だよおっさんビビってんのか! そこに2人がいる、だったら助けに行く。そんだけッスよ!」

「へッ、吹かしやがる」

すっかり立ち直ったティーダにシドがアニキに指示を出し、飛空挺はベベルへと向かう。
皆はベベルに到着するまでの間に出来るだけ戦闘準備を整えることにした。

「……なあ、あいつ、もう殺されたなんてことねえよな……?」

「縁起でもないこと言うなよ!」

「けどよ! シーモアの狙いはユウナなんだろ? ならユノは邪魔なだけっつーか……」

「……完全には否定できないけれど、エボンが無闇に召喚士を殺すと思う?」

「そーだよ! ユノは大丈夫! でも、何でシーモアが生きてんの!? あんにゃろ、マカラーニャでやっつけたのに!」

「死んでいるさ。ジスカルと同じだ。強い思いに縛られ、異界に行かずに留まったのだ」

「うわ〜!? しつこ!」

「ユウナは、奴を異界送りする気かもしれん」

「上手く行くかな?」

「シーモアがスキを見せればな」

トントンと組んだ腕を指で叩くアーロンに、ティーダが小声で言う。

「心配だからって、あんまイライラすんなよ。ユノも無事だって」

「いつも通りだ」

「はいはい」

これは言っても無駄かとティーダが苦笑。
直後、飛空挺に警鐘が響いた。

「何だぁ!?」

「内部からの攻撃です。ホームを襲ったグアドの魔物が、潜り込んでいたようですな」

「なに余裕かましてやがる!」

「こういう性格なもので」

「仕方ねえ! こうなったら……」

「こうなったら、船ごと爆破して一気に潰したるわ!」

「う!?」

リュックに言葉の先を言い当てられたシドがと言いよどむ。
リュックは呆れて額を押さえた。

「オヤジは手加減ってものを知らないんだから。そんなことされたら、2人を助けに行けないでしょ! 魔物は、あたしたちがやっつける」

ビシッと決めポーズをとるリュックに、ティーダも意気込みを見せる。
何を言わずとも協力してくれる仲間に、リュックは小さく「ありがと」と呟いた。






船内の魔物を殲滅しながら端から端へと駆けるティーダ達。
通路に出たところで、窓の外の大きな影に気付いた。

「ほう……中々の見物だ」

「うわ、でか!?」

「何アレ〜!?」

大空をうねうねと這い回るその姿はまるで蛇のよう。
敵は飛空挺の周りと巡回するように飛び回っている。

「エボン守護龍エフレイエ。聖ベベル宮を防衛する最強の聖獣よ」

「最大級の歓迎だ」

「んじゃ、ベベルは近いってことだな!」

『──リュック! 聞こえるか! これから、あのデカブツと一戦交えるぞ! おめえらは甲板に出て、あんにゃろうを迎え撃て! いいな!』

「ま〜た勝手に決めちゃって……」

「高い船賃だな。──ハッチを開けろ、打って出る」

「やる気満々じゃん」

「アーロン今すごい気が立ってるから」

「なんで?」

「ユノ」

「あ〜、なんだかんだおっちゃんも心配なんだね」

「最初はユノのこと、足手まといだとか言ってたんだけどなあ」

「愛着湧いたんじゃない? ユノってなんかほっとけないしさ」

「ほら、行くわよ」

甲板に出ると、エフレイエが真下から浮上してきた。その迫力にリュックが一瞬怯む。
シドの操縦で、飛空挺はつかず離れずでその真横を飛んだ。

近づいては斬り、遠ざかって攻撃を避けてはまた近づいて斬り。
白魔法の使える者がいない中でなんとかふんばり、皆は最強と謳われた龍を撃墜した。

「よし!」

「おい、下見ろ! ベベルだ!」

ワッカに言われて全員が下界を覗く。
白い雲の隙間からは、大きな都市が見え隠れしていた。

『このまま突入するぞ! しっかりつかまってろ!』

飛空挺は太陽に向かって急上昇し、そこから直滑降で雲へと突っ込む。
強烈な風と水滴に堪えてそれを抜けると、ベベルの全貌がティーダ達の前に開けた。
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