小ネタB
【北伊】
夢を見た。
誰かが泣いている夢。
・・・・・・ちがう。
これは過去だ。
あの子の帰りをずっと待っていた。
おいしいお菓子を用意して。
だけどあの子は帰ってこなかった。
いつしか涙は涸れて。
身体もずっと大きくなって。
もう会えないって、そう気付いた。
【アイス君】
別に嫌いってわけじゃない。
ただ、一緒にいるとどうしても昔のことを思い出してしまう。
僕もあっちも。
そうして僕はちっとも成長してないんじゃないかって感じてしまう。
それが嫌なだけ。
存在自体が嫌いなわけじゃない。
ただ、自分のこと「お兄ちゃん」って呼ばせようとするのはどうかしてると思う。
僕たちもういい歳だよ?
恥ずかしくないの?
【東西兄弟 ベルリンの壁を挟んで】
兄さんが「またな」と言って壁の向こうに消えたのはもうずいぶん前のことだ。
多少やつれていたもののその背はまっすぐに伸びていて不安なんか微塵も無かった。
風の噂に聞こえる向こうの様子もなんだかんだで上手くいっているようだった。
「またな」と言ってヴェストに背を向け壁の向こうへ足を踏み入れてからもう随分になる。
めちゃくちゃ心配そうな顔をしていたが俺はあいつに関しちゃ何の心配もしちゃいなかった。
あいつは俺よりしっかりしてるから大丈夫だと信じてる。
【ちび洪さん】
東の防人。
そう呼ばれるあいつは小さくてなよなよしてて、そしてなによりもきれいだ。
騎士に美しさなんて必要ない。
騎士には強さだけがあればいい。
あいつの喉元に光る俺の剣の先。
恐れることも泣き喚くこともしなかった。
ただ、アメジストの瞳がまっすぐ俺を見据えていた。