私は「女の子」でした。(洪→普)
小さいころ、
自分は「男の子」なんだと思っていた。
そう思って生きていた。
誰も本当のことは教えてくれなかったし、知る必要はないのだと思っていたのかもしれない。
だけど、私は「女の子」だった。
そのことに気付きながらも、
やっぱり自分は「男の子」なのだと頑なに信じていた。
上司は何も教えてくれなかった。
むしろ知っていると、知っていて好きで「男の子」をやっていると思っていたのかもしれない。
数少ない腐れ縁の友人(幼馴染と人は言うのだろう)は、気付いていたけど言ってはくれなかった。
妙なところで気遣いができて優しい(まあ、ぶっちゃけて言えば不器用)な奴なのだ。
早く教えてくれればよかったのに。
私が私になったのは、あの人のもとに来てからだ。
剣の代わりに箒を握るようになった。
だって、剣じゃ掃除はできないでしょ?
馬に乗って草原を駆け巡ることはなくなった。
だって、スカートじゃ馬に乗れないでしょ?
そうして私は「女の子」になった。
早く教えてくれればよかったのに。
そうすれば、
あいつに抱いていたあの思いが「恋」だったのだともっと早くに気付くことができたのに。
「男の子」の私が「男の子」のあいつに抱いてはいけない思いだと封じ込めたあの気持ちはなんの間違いでもなかったのだと、
もっと早くに知っていれば素直になれたのに。