覇王の紋章

その王は独りだった。

彼を敬う者はたくさんいたけれど、
彼を恐れる者も同じくらいたくさんいた。

その瞳にはやわらかな光があるというのに。


その王は独りだった。

彼を憎む者はたくさんいたけれど、
彼に感謝する者も同じくらいたくさんいた。

彼の持つその力は奪うことも守ることもできた。



「あんたはそれでいいのかよ?」

独りぼっちの王に聞いた。


「権力とはそのようなものさ」


独りぼっちの王はひっそり笑ってそう言った。

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