英雄になりたいわけじゃない。（Ⅰ主＋Ⅱ主）
最初にこれだけは言っておきたい。
何で？とか思うかもしれないけど単に自分がすっきりしなくて気持ちが悪いだけだから気にしないで。
だから、別に聞き流してくれても構わないし、忘れてくれたって全然構わないから。
これは単なる自己満足なんだから。
英雄になりたかったわけじゃないんだ。
あんなに良くして貰ったのに。
あんなに助けて貰ったのに。
あんなに好き勝手やらせて貰ったのに。
それは僕が「英雄」だったから？
だけど、「英雄」と呼ばれるようになった今だから言えることだけど、
なりたくてなった人なんていないんじゃないかと思うんだ。
１５０年前に群島諸国を救った「英雄」も、２０年前に祖国を救った王子様も。
そして、現在「トランの英雄」と呼ばれるこの僕も。
別になりたくてなったわけじゃない。
狙って呼ばれるようになったわけでは断じてない。
僕は自分の住んでいた国―つまり、赤月帝国―を良くしたいと思っただけだった。
群島の英雄は「ただ流されていただけだった」ってテッドが言ってたよ。
王子様は、たった一人残された肉親の妹姫を敵の手から取り戻したかっただけだったんだって。
みんなとっても自分勝手。
みんなとっても自分本位。
誰かのためになったのは結果に過ぎないことで、みんな自分のためにやっていたことなんだ。
だからつまり何も言いたいのかっていうと、
君は君の思う通りに動いたらいいんじゃないかってこと。
君は何のためにこの戦いを始めたの？
きっと君がやりたいことはそこにあって、それ以外に理由なんてないんだと思うよ。
それがどんなに自分勝手な理由だとしても、周りの人たちも自分の都合の良いように解釈してしまうんだから。
だから、これ以上僕は何も言わないから。
君が戦いを始めた理由をもう一度確かめてごらんよ。