鏡の向こうに響く声。(ルックとササライ+あの人)
鏡の向こうを夢に見る。
そこには僕と同じ顔をした奴がいて、僕と同じ表情をしてる。
じっと見つめると、じっと見つめ返された。
何なの君は?
どうして目を逸らさないの?
不意に怖くなって目を逸らそうとするけれど、もう僕の身体は僕の意志だけじゃ動かせない。
ねえ、君は何なの?
それともおかしいのは僕の方?
鏡の向こうの夢を見た。
そこには僕と同じ顔をした男の子が、同じようにちょっと驚いた顔をして立っていた。
じっと見つめると、じっと見つめ返された。
君は誰?
君はどこにいるの?
不思議に思ってさらに見つめたけれど鏡の中の男の子は身じろぎ一つしなかった。
君は誰?
そこで何をしているの?
鏡の中にはもうひとりいた。
僕らより少し大人びて見えるけれど、僕らは同じ。
嫌な笑い方をするそいつは、
不思議な雰囲気をしたその人は、
「私達は同じだ」と、
「分かれているが一つだ」と、
虫酸の走る声音で言った。
逆らうことの出来ない声音で言った。