友の声が耳に響く

「できないことは何もない」と、きっと心のどこかで思っていたんだと思う。
 
あいつと一緒だと勇気が湧いてきた。
あいつと一緒だと負ける気がしなかった。
あいつと一緒だと何でもできるような気がしてた。
 
実際には下っ端の僕にできることなんてほとんどなくて、
竜としてはまだまだ幼いあいつにだってできることは限られていた。
 
僕がきちんと理解していればきっとあいつは今でも大空を駆けていたことだろう。
 
あの大きな背に僕を乗せて。
あの力強い翼で空を裂きながら。
朗々と響き渡る咆哮を上げながら。
 
 
ごめんな。
頭の悪い飼い主で。
 
それでもお前のことが大好きだったんだ。
 
 
きっと僕がお前のことを忘れる日は永遠に来ない。
 
それでいいんだ。
悲しくても、辛くても。
 
今度は必ず守るから。
小さくてまだ脆弱な白い竜の仔を。
 
そしてまた大空へ飛び立とう。
 
その大きな背に僕を乗せて。
その力強い翼で空を裂いて。
朗々と響き渡る咆哮を上げながら。

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