健康家族松野家


十四「おいっちにーさーんし! おいっちにーーさーーんし!」
おそ「十四松って、いつから朝のラジオ体操なんてするようになったの?」
トド「さぁ……」


 数日後。

おそ「ふわぁ……毎朝よくやるよね」
十四「あ! おそ松兄さんも一緒にやろうよ! テレビでやってたんだ。健康になれるよ〜」
おそ「俺はパス」
十四「母さんと父さんもやってるよ」
おそ「えっ」
母「すーはー、私たちももう年だからね」
父「はーっ、定期的に体を動かすのも大事なことだよな」
母・父・十四「あはは」
トド「ほんっと朝からよくやるよねぇ。おそ松兄さんもやるの?」
おそ「いや……、俺は別に」


 さらに数日後。

おそ「って、カラ松ー!? チョロ松まで! 何やってんだよお前ら!」
チョロ「何って、朝のラジオ体操だけど」
カラ「ふぅ……朝の清々しい空気を浴びると、身も心も洗われるようだぜ……」
トド「カラ松兄さんはそのまま洗われてて」
おそ「二人まで一体どうしたんだよ、突然」
カラ「十四松に勧められてな」
十四「あいっ」
カラ「爽快な気分だ……これで俺自身にさらに磨きが掛かっ」
トド「十四松兄さん、何て言ったの?」
十四「もっとカッコよくなれるよって」
おそ・トド「ああ……」
おそ「チョロ松は何で……わかった! さては女の子絡みだな!」
トド「気になる子が『最近マイブームなんです〜』とかそんなこと言ってたんでしょ!」
チョロ「二人は僕を何だと思ってるんだ!! せっかく両親が始めたんだ。これを機に、僕らもマトモな生活に切り替えるべきだよ」
おそ「俺たちの日常生活のどこがマトモじゃないってのさ」
チョロ「平日の朝10時になっても二度寝するところだ……!」
トド「チョロ松兄さんは真面目なんだから……けれど困ったな。何だか僕らアウェイな感じになってきてない?」
おそ「いやいや、俺はやらねーからな。つーか、一松もやってないし」
一「……」
十四「一松兄さんもやろうよ」
トド「早速の勧誘!? でも、あの一松兄さんがするわけ」
一「……俺がやったらどうなるの?」
十四「ねこが喜ぶ!」
おそ「(あいつ、適当なこと言ってないか……?)」
一「嘘だ」
十四「ううん。だって、エスパーニャンコもやってるし」
おそ・トド・一「ええーっ!!」
猫「にゃあ」
十四「あ、もうエスパーじゃない普通のニャンコだ。でもほら、楽しそう〜」
一「じゃあやる」
十四「やったぁー!」
おそ「おいおい、マジかよ……まさか一松まで参加するとは」
トド「じゅ、十四松兄さん? 何でこっちをじっと見つめるの?」
おそ「おお俺たちはラジオ体操の邪魔にならないよう退散――」
 がしっ
十四「みんなで健康になろうよ」
おそ・トド「…………わかった」


おそ「こうして俺たち松野家の毎朝の日課がラジオ体操となった。――が、3日も続かなかった」

チョロ「おい、お前らー! おーきーろー!!」

- 13 -

*前次#

 戻る





 ページ:


交通安全