高校一年 04/14(月)


急いで着替えて校門に走れば、相変わらず無駄に元気でやかましい金ちゃんと、相変わらずぶすっとして機嫌悪そうな財前がおった。


「ひかるぅ〜!久しぶりやなぁ!」
「小春!財前はやめとき!おまえには俺がおるやろ!」


財前に飛びつこうとした小春を阻止し、睨みつけたった。もちろん、財前を。したらなんや迷惑そうにため息をこぼした。


「相変わらずきもいっすね、先輩らは。」
「財前は相変わらず偉そうやな。」
「やって俺いま部長やもん。偉いもん。」
「もん、とか言うな!きしょいんじゃ!」
「ぷっ」
「謙也さんなに笑っとるんすか。ユウジ先輩にきしょい言われて嬉しいんすか?きしょ」
「財前!おまえほんまに…!」
「ほんまに、何すか?またアホとかしか出てけーへんのやろ?さっすが謙也さん。ボキャブラリーの少なさもスピスタ級や。」
「おまっ!それスピードスター関係あらへんやん!っちゅーか略すな!馬鹿にしとるやろ。」
「謙也さん声でかい。うっさいっすわ。」


言い合う二人を隣で観察。次のモノマネライブで使えるかもしれへんしな。学ランの胸ポケットに入れとるネタ帳を取り出して早速会話をメモ。するとそれを金ちゃんが横から背伸びして覗き込んできた。


「ユウジも相変わらずやなー!」
「金ちゃんも相変わらずやな」
「おん!けどワイ強なったでーっ!白石の毒手なんやもう怖ないもん!」
「ほう、そらほんまか?」


振り返ると、にこにこと綺麗な笑顔を向け、包帯を取ろうと左手をあげる白石。すると金ちゃんはヒィっとちっさく声を上げ、顔を真っ青にしとる。全然克服できてへんやろ、ソレ。そんとき、やっと終わったんか、早苗が入ってきた。財前も気付き、謙也放置でこっちに向かってきた。


「お待たせー!」
「早苗やー!」
「おん、久しぶりやん、金ちゃん!」
「お久しぶりっス、折原先輩。」
「光!元気そうやな!」
「そないなこともあらへんですよ。このゴンタクレはほんまに大変っすわ。」
「これで財前も部長としての俺の素晴らしさを理解できたっちゅーわけか!」
「とりあえずユウジ先輩は、俺の観察すんのやめてくれます?」


ネタ帳を指差されてそう言われてもうたから、とりあえず胸ポケットに戻す。


「だが残念だったな財前!俺にはもう一つネタ帳がある!どこかって?ココ(頭脳)や!」


キメ顔で言うたら、どや顔乙って蔑んだ目で見られた。相変わらずや、財前。とか思って視線を外したとき、弥栄がそろっと姿を消そうとしとった。あぁ、また話に入っていけへんのか。俺が引き止めるのもアレやし、隣におった早苗に帰ろうとしとる弥栄の存在を教えたった。


「あー!ちょっと舞どこ行くん!今日たこ焼きパーティーやで?」
「……はい?」
「今日蔵リンの誕生日やねん。」


小春がぽんと肩を叩いた。なんて羨ましい!やっぱこの女嫌いや!しかも誕生日おめでとうまで吃っとる。イライラすんねん。なんやその笑顔。白石の爽やかスマイルに嬉しそうにする弥栄。まんざらでもないんか!むかつくむかつく。


「なぁなぁ!姉ちゃん誰や?」
「この子はねー、新しいマネージャーやねん。舞っていうんやで。」
「ほへーマネージャーか!早苗と一緒やな!ワイ遠山金太郎いいますねん!よろしゅう!」


金ちゃん大人になったなぁ。後輩(先輩とは思われとらんけど)の成長をありありと感じる。


「なぁ、まだ行かんのー?」


俺がそう言うと、小春が弥栄に話し掛けた。こいつが来てから小春はようこいつに気ィつこてる。疲れへんのかな?そーいや小春も昔は微妙とか言うてたな。けど、イライラする。せっかく小春がお誘いかけても、弥栄はでも、とか言うて。むかつく。どうせ自分は邪魔にならへんかな、とか思とるに決まっとる。ぐずる弥栄についに俺が発言。


「ごちゃごちゃ言わんと、はよ行くで!」


少し強引なほうが、弥栄も動く。だんだん分かってきたことや。分かりたないけどな。すると予想的中で、弥栄は元気に頷いた。や、けど、その嬉しそうな笑顔は、なんちゅーか予想外。こない表情、初めて見たわ。


「今日のタコ焼きパーティーは舞ちゃんの歓迎会も兼ねてやな〜」
「せやな!」


小春の隣で相変わらず嬉しそうにしとる弥栄にイライラしたけど、なぜか少しだけ心臓がやかましい気がした。そんとき、俺の隣におった財前が弥栄の背中を眺めながら、あれって…、とちっさく呟いとんのが聞こえた。


「なんや財前?」
「や、べつに…なんもないっす。」


成長期で俺より背の伸びた財前。耳を飾るピアスが、夕日にきらりと光っとった。