高校一年 04/14(月)
タコ焼き屋で白石の誕生日パーティーを開催。不本意ながら弥栄の歓迎会も兼ねてのことらしい。なんで俺がわざわざそないな会に参加しなあかんのや。まぁ、白石の誕生日やから、しゃーない。
「小春ぅ、タコ焼き半分こしよーや。」
「ユウくぅん、たこ半分こやー」
「え、ちょ、どないしてたこ半分にするんや!?」
顔を近付ける俺らに、ケンヤが慌ててストップをかけた。すると俺の隣におった早苗が俺らが二人で持つタコ焼きを奪った。あぁ〜ほんま余計なことしてくれる。
「いただき〜」
「ちょ、返せや!」
タコ焼きを口に放り込み、熱いのかはふはふしとる。アホや。俺は少し呆れ気味にため息をついてから、小春の方に意識を戻した。と、そん時に向かいに座っとる財前が隣の弥栄の顔を覗き込んでちょっかい出しとった。っちゅーか、近い!顔が近いねん!
「なんやねん、あいつ…」
ちっさく声に出てもうた。すかさず小春はそれを拾い、ユウくん?と不安げにこちらをうかがっとる。う、今のは条件反射や。深い意味はない。あぁ〜、やっぱりこいつ見るとイライラすんねん。そん時、弥栄が恐る恐る小春の袖を引っ張った。
「あ、俺の小春に触んなドアホ!」
「一氏黙れ。ん?舞ちゃん?あ、光、舞ちゃんのこといじめんといてや。この子ほんまに人見知り激しくて…」
すると財前はあろうことか、弥栄に忘れられてるとか言い始めた。財前と知り合いなん?俺がちょうど思っとることを小春が尋ねると、弥栄は思いっきり首をぶんぶん振った。へっ財前忘れられとる。超うける。ざまぁ。けど財前がいつ会ったとか詳しく説明すると、弥栄は少しは思い出したらしい。んでもって、なんや、いきなり仲良うなって。初対面やって、普通に喋れてるやん。むかつく。なぜかほんまにイライラしよるから、邪魔したるわ。
「あ、せや!白石プレゼント!」
俺はでっかい声で言い、鞄からDVDを取り出して白石に渡した。思惑通り、弥栄と財前の会話は中断された。よっしゃ!
「おう!おおきに!」
「アタシもあるで〜。例のシリーズ第二弾!早苗ちゃんと使ってな?」
「お、おん…またか」
小春は去年の続きでメイド服やろ?早苗が真っ赤になっとる。去年のナース服がどないなったかは知らへんけど、照れてるっちゅーことは白石の前では着たんやろな。あ〜どうしよ。今の俺、ほんまに興味あらへん。や、まぁかわいいとは思うけど、べつに見たない。それより、財前がちょっかい出す方がむかつく。あ〜、俺も昔は財前に早苗には俺しかおらんっちゅーことを言われ元気付けられとったのに、なんやねん、この手の平返したような感情。ほんまに申し訳ないわ。
そない考えごとをよそに、みんなの話は進んどった。なにやら弥栄が誕プレを用意せえへんかったらしい。まあ知らんかったからしゃーないとは思うけど。すると早苗が驚くべく発言を残した。
「やったら、今日買ってくれば?」
「…珍しいな。早苗がそんなん言うなんて。いつも他の女からの誕プレなんて渡さへん!っちゅーて意気込んどんのに。」
「マネすなハゲ!」
俺がそう言うと、早苗は肩辺りを叩いてきた。痛い。痛いけど、ちょおおもろなってふいてもうた。ちょ、汚い!とか早苗が言っとるから、タコ焼き出てけーへんかっただけマシやろ、と返したった。あはは、と笑い合うのはいつものことで。何ら変わりはあらへん。
「やって、舞は白石の友達やろ?そこらの言い寄ってくる女とちゃうやん。」
早苗がそう言いながら視線を俺から弥栄に戻した。早苗は俺より少し遅かったから、見てへんかもしれんけど。弥栄が今、ものっそい辛そうな表情をしとった。けど早苗の言葉ですぐに嬉しそうになっとる。気のせいか…?
「じゃ、じゃあ、今日買ってくる!」
元気にそう言う弥栄に、気のせいやったっちゅー結論が出た。けど、それだけでは終わらへん。まさか財前が、
「せやったら俺も行きます。」
嘘やろ。なんでそないに弥栄気にしとんねん。当の本人は、え、とか、う、とか言っとる。
「俺もまだプレゼント買っとらんので。それにまた迷子なったら困るやろ?」
なんやねん、その見え見えの口実。ええんか!人見知り女は初対面の男と二人で買い物行けるんか!とんだ尻軽女やな!けど、俺がもう一度弥栄を見ると、やっぱり辛そうな、苦しそうな表情をしとる。言いたいことあんなら言え。俺は頭ん中で何度も言うたけど、それが本人に伝わることはなく、弥栄は顔を曇らせとるだけやった。