Long StoryShort StoryAnecdote

やけあと


プロローグ



 小麦色の肌が眩しい、太陽の似合う少年達だった。3人は川面にすらりとした足を浸し、水飛沫を上げながら軽快に駆け回る。健康的ながらも未分化なその身体は、10歳前後だろうか。
 3人の男達が最初に声をかけたのは、天然らしい栗色の髪の少年だった。柔和な顔立ちは一見すると少女のようにも見えたが、屈んだ時にタンクトップの襟ぐりからのぞく胸は平坦だった。
 ここで何をしているのか、君達の名前は? 見知らぬ男達に不躾に問われた少年はその小さな顔に困惑の色を浮かべる。
「どうした、歩夢(あゆむ)?」
「陸(りく)、」
 そこに歩み寄って来たのはやや気の強そうな、少し上背のある少年だ。子供ながらに美しい逆三角の体型で、歩夢と呼ばれた少年よりも筋肉質な印象を受ける。長めの前髪に隠れていてもわかる太い眉と相手を見据える大きな瞳は、彼が少年達の中でもリーダー的な存在であることをうかがわせた。
 陸というその少年は栗色の髪の少年──歩夢を少し庇うようにして男達の前に立った。
「何か用ですか?」
 警戒の色も露わに少し硬い声で陸が言うと、離れたところで遊んでいた残りの1人も怪訝そうな顔をして寄って来た。この少年は他の2人に比べて少し小柄で幼い。
「りっちゃん、あゆ君、どうしたの?」
「一馬(かずま)、お前はあっちに行ってろ」
 しかし一馬という少年は不安そうな表情を浮かべただけで、その場を離れようとはしなかった。年長の友人達に置いて行かれることの方を恐れたのだろう。
 男達はチラチラと目を見交わすと、酷薄な笑みを浮かべる。転瞬、大人の男2人がかりで陸の腕を押さえつけた。
「なっ!? 何すん……やめろ、離せよっ!! はな……ングッ!?」
「静かにしろ。いい子にしてたら優しくしてやる」
 右腕を押さえる男が言って、陸の口を大きな手で塞いだ。突然のことに歩夢と一馬は硬直していたが、1人の男がその背後に回ると一馬を羽交締めにしながら歩夢の背に尖ったものを押しつけた。
「騒いだら痛い目に遭うよ」
 男の手中にあるのは自宅の鍵だったが、凶器だと誤解した歩夢はビクリと肩をいからせる。一馬は目に涙を浮かべて震えだした。
「ぼ……僕達、お金持ってません」
 震える声でそう言ったのは歩夢だった。背後の男は笑って、
「金には困ってないよ。なんなら、終わった後に小遣いでもやろうか?」
 わけがわからない、という顔をしている子供達をよそに、陸の左腕を掴んだ男が言った。
「お前は陸、ね。まずはお前からだな」
「ンンッ……!?」
 男はおもむろに陸のタンクトップの襟口を掴むと、ビッ、と乱暴に引き千切った。露わになった上半身も全体によく焼けていたが、薄らとタンクトップの形に濃淡を変えている。
「はは、小麦色の肌にピンク乳首とかマジであるんだ」
 言いながら、男は陸の上半身をいやらしくまさぐり乳首を摘んだ。そのまま鼻息荒く顔を寄せると、貪るように乳首にしゃぶりついた。
「……っ!? う、ムグッ……!! んんーっ!」
 右手側にいた男は位置をローテーションするように陸の背後に回ると、後ろから両腕を拘束する。正面に回った男は陸の乳首を舌先でこねくり回しながらもズボンを下着ごとずり下ろし、性器に手を伸ばした。
「ふうっ……!! んっ……ん、」
「よーしよし、気持ち好いねぇ〜。オナニーとかすんの? 人にしてもらった方が気持ち好いだろ?」
 背後の男は背が高く、陸が体重をかけて座り込もうとしてもいっこうにそれを許さない。乳首と性器に与えられる味わったことのない感覚に、陸の顔はいよいよ真っ赤になった。潤んだ目で2人の友人を見つめ、首を横に振り、それから顔を逸らす。見るな、逃げろ──そう訴えるように。
 男は陸の性器の先を摘むとゆっくりと前後に扱きはじめた。誰にも触られたことのないところを無遠慮に弄ばれる嫌悪感に、陸は身を捩り悲鳴をあげた。
「んう──ッ!! い、やだ、やめろ変態っ!」
 不意に男の手が陸の口元から剥がれる。その隙間を縫うように思いの限り叫んだ。
「てめ、おとなしくしてろ!」
「いや、やだっ、やだあぁっ!!」
 男達は抵抗する少年を2人がかりで地面に押さえつける。男は陸の頬を打ち据え、さらに腰を持ち上げると剥き出しになった白い尻をバチンと平手打ちした。
「ひっ……!!」
「おとなしくしてりゃ痛い思いはさせないと言っただろ? 暴れるな!」
 男はさらにバチン、バチンと陸の尻を強く打った。白い小さな尻はみるみるうちに真っ赤になり、思いがけない暴力に竦み上がった陸の抵抗は途端に弱まった。今時、学校でも子供に手をあげる大人はあまりいないだろう。
「そのままじっとしてな」
 歩夢と一馬もまた、真っ青になりながらも一歩も動くことができなかった。それぞれの肩にはすでに男達の手がかけられていたからだ。
「じゃあ俺はこの可愛い子と」
「俺はこのおチビだ」
 男と少年は3組のペアになって分かれると、各々が薄暗い木々の中へと姿を消した。

2022/08/30


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