Long Story|Short Story|Anecdote不肖の愛弟子
2.
人里離れたクリスタル造の頑強な館。その玄関ホールとなる広間に、グヮン、と音を立てて次元の歪みが生じた。眩く光り、居室内が青白く染まる。
主人の気配に、褐色の毛並みを持つ狼は濡れた鼻を持ち上げた。大きな身体を起こし、とっとっ、と早足で広間へ向かう。
豪奢なシャンデリアの下に辿り着くと、行儀よくお座りをして頭を伏せた。
白い光の霧散した居室の中央に、エルネストを抱いたジャーヴィスが姿を現した。
狼はクゥン、と鳴いた後、すっくと立ち上がる。開いた口からは、滑らかな人語が発せられた。
「おかえりなさいませ、ジャーヴィス様」
ジャーヴィスの使い魔であるワーウルフのリズは、落ち着いた低い声で主人に言う。
「ああ。遅くなったな」
「今日は坊も一緒ですか……、しかし、この臭いは……?」
鼻をひくつかせるリズを睨みつけると、ジャーヴィスは無言のままワインレッドの絨毯を進んだ。
広い館の中に客室は無数にある。いつでも使えるように何匹もの使い魔達が管理をし、整えていた。
ジャーヴィスは客室の中でも大きなベッドが2つある1番広い部屋を選ぶと、抱きかかえていたエルネストをベッドの上に横たえた。
軽い身体が柔らかなシーツに沈み、少年は微かに身動ぐ。
埃っぽくなったマントを剥ぎ取ると、少年の身体が被った凄惨な陵辱の名残りが露わになった。
エルネストの下半身は、黒いスパッツを引き裂かれ白い肌が剥き出しにされ、太腿には木炭で書きつけられた18の線と、ところどころにこびりつき固まった、あるいはまだ新たに尻から伝い漏れる精液の跡。それは、飢えた野獣のような男達に嬲りものにされた証だった。
ジャーヴィスは苛立たしげに舌打ちをすると、改めて不快の吐息をつく。
「忌々しい……」
一言呪詛のように呟くと、部屋の外に出て指をパチンと鳴らした。
近くをうろついていたリズはジャーヴィスの足元に傅くや、凛々しい赤毛の青年に姿を変えた。片膝をつき、その上に逞しい腕を立て主人の元に跪く。
「何なりと」
「湯を張った盥と、柔らかいタオルを何枚か。それと……ギャスパーをここへ」
「はい、ただいま」
リズはバスルームで銀の盥に湯を張り、ふわふわに洗濯されたタオルを見繕うと、すぐにジャーヴィスの元へと届けた。
それから再び狼の姿に変化すると、館を飛び出し離れの研究室から「Gasper」とシールの貼られた細長いガラス瓶を取り上げ、口に咥えて主人の元へと運ぶ。
ジャーヴィスはドアの前で仁王立ちしたまま微動だにしていなかった。部屋には誰ひとり立ち入らせる気はないといった様子で、リズから小瓶を受け取るとドアの隙間から長身痩躯を滑り込ませるようにして部屋に入り、鍵をかける。
リズは2人の様子が気になりつつも、振り返り振り返りしながらその場を離れた。敬虔な使い魔である彼は、主の不機嫌をよく理解していた。
「エルネスト」
意識のない少年に、ジャーヴィスは声を掛ける。少年は微かに眉間に皺を寄せたまま、小さく呻いた。
ジャーヴィスはタオルを湯に沈めると緩く絞り、少年の顔を拭った。眉間の皺が解れる。長い睫毛が震え、血管の透ける薄い瞼がゆっくりと開く。アクアマリンの瞳が小刻みに震えた。
「ん……、ぁ……?ここ、は……?」
「気がついたか」
エルネストは目をパチパチとゆっくり瞬き、起き上がろうとして顔を歪める。
「いっ……! え……?」
全身が怠く、腰がギシリと痛んだ。下腹に鈍痛を感じて手を当てると、排泄感が押し寄せ、あ、と思った時には遅く、生温いものが尻から溢れる。
エルネストはベッドの隅にわだかまっていた布を、ジャーヴィスのマントとは気づかずに掻き寄せると、必死に自分の下半身を隠した。
ドロ、とした液体が尻を伝う。違う、これは──。
「ひっ、」
「山賊達に一晩中、玩具にされたようだな」
ジャーヴィスは何の躊躇いもなく冷たく言い放った。エルネストは青褪めた顔で師の顔を見つめる。
哀れみなど微塵も抱いていないかのようなジャーヴィスは冷たい一瞥に、心臓が竦むほどの軽蔑を感じたエルネストは、ぎゅっと自身の身体を抱き締めた。
自分が仕事をきちんとこなせていればあんな仕置きはされなかったはずで、山賊に襲われたのはただの不運だ。ジャーヴィスを責めることはできず、エルネストはただひたすらに自分が惨めだった。
筆舌しがたい羞恥と屈辱と嫌悪感に、身体の震えが止まらない。交差させた細い腕にポツリ、水滴が落ちた。
「……見、ないで……ください……」
「そういうわけにはいかんな」
ジャーヴィスはマントを捲り上げると、強引にエルネストの太腿を開いた。エルネストはギクンと身を強張らせ、涙に濡れた大きな目を見開く。
「いやっ、」
「この線──お前が相手をさせられた人数だろう。18人か。……いや、あそこでわたしが見たのは19人だったな……親玉も入れると」
「……っ、……ぃで……見ないで……っ」
抵抗することもできず、エルネストはシーツをキツく握り締め、もう一方の手で顔を覆う。
確かに、先の尖った木切れのようなものが太腿を何度も引っ掻いた。縦に4本、5本目の線はそれを割くように横に。途中からは意識も朦朧として、一体何人の男が、何度自分の中で果てたかなどわからないし、知りたくもない。
蘇る恐怖に打ち震えるエルネストを気遣う風もなく、ジャーヴィスは乱暴に手を離した。そしていつもの調子で淡々と問う。
「さて、どうする? 魔法で身体を清め回復させてやってもいい。だが、お前も知っている通り、身体を回復させる魔法は本人の体内に宿る魔力を引き出し消費する。お前が今までの鍛錬で必死に蓄えてきた微々たる魔力など、一瞬にして枯れるだろうな」
「え……」
エルネストはジャーヴィスに仕えて8年になる。戦災孤児だったエルネストは、すんでのところでジャーヴィスに命を救われたのだ。ジャーヴィスにとっては引き受けた依頼をこなしただけに過ぎないだろうが、それでもエルネストにとっては命の恩人だった。
住むところも行くあてもなくなったエルネストは、ジャーヴィスに弟子にしてくれるよう懇願した。自身も魔術師として鍛錬することで、自分のような境遇の人間を少しでも多く救いたいと思ったのだ。
ジャーヴィスは眉を顰めて拒んだが、黙って後を着いて行くと「勝手にしろ」と呆れた声で言ったきり、エルネストの気の済むようにさせてくれた。
たった8歳の子供が、危ない橋を何度も渡った。ジャーヴィスの迷惑にならなかったとは言わない。けれど、エルネストの思いつきが役に立つことも少なからずあったし、ジャーヴィスはエルネストに食料を分け与え、少しずつではあるが魔術を教えてくれるようにもなっていった。
ちょうど人生半分の努力を、こんなことで──エルネストは悔しさに拳を握る。
壁越しに投げられた侮蔑の言葉で、心までも辱められた。男達に蹂躙された下腹は鈍く痛み、いくつもの無骨な手が掴んだ細い腰には無数の青痣ができている。
手の平のベタつき、熱、中で感じた男達の欲望……それらをまざまざと思い出し、身体の芯がきゅっと冷える。
「何なら、おまけで記憶を消してやってもいい。わたしと出会った時から今日までの記憶を」
「……そ、んな──」
ジャーヴィスの恐ろしく整った顔を見上げ、エルネストは呆然とする。
ジャーヴィスとの記憶──修行の日々は厳しいものだった。毎日のように、お前には才能がないと叱咤され、まだ諦めないのかと詰られ続けた。あまりの使えなさに蹴り飛ばされたことも1度や2度ではない。
それでも、エルネストにとってジャーヴィスは大切な、尊敬すべき師だった。例え彼の求めるものが地位や名誉や富だったとしても、ジャーヴィスの偉大な魔術が多くの尊い命を救ったのは事実だ。
そしてエルネストが諦めない限りは、決して見捨てたりはしなかった。今回だって、エルネストが自分の力で解決することを期待して戻って来てくれたではないか。……期待には、応えられなかったけれど。
ジャーヴィスと共にいた時間は、エルネストにとって師弟関係というだけではなかったのに。ある時は家族のように、エルネストの心を慰める存在でもあったのに。
「や……です……あなたと……お師匠様と過ごした時間を忘れるなんて……嫌です」
「こんな手酷い辱めを受けたのに、か? 苦しむことになるぞ。そのうち、心も蝕まれる。あるいは──案外、好かったのか?」
嘲るように言われて、怒りと羞恥にカッと顔が熱くなる。
男達にされた乱暴は、ただひたすら恐ろしかった。身体の痛みと、性欲処理の道具として扱われる屈辱は堪え難かった。
でも──男の突き上げに苦痛だけではない、強い快感を感じてしまう自分も確かにいた。激しい突き上げに応じるように男達の肉棒を締めつけ、口から溢れ出たあの高い嬌声……それをこの男に聞かれなかったことだけが、エルネストにとって唯一の慰めだ。
「……冗談だ、エル。そんなに強く唇を噛んだら血が出る」
黙り込むエルネストの顎を掴むと、親指で涙を掬い取る。
「連中は全員焼き殺してやった。わたしの弟子に酷い仕打ちをした報いだ」
微かに漂う焦げた匂い。それはジャーヴィスから放たれていたのかと知ると、エルネストの心はヒヤリとした恐れを覚える。
「ごめ、なさい……ごめんなさい、おししょ、さま……っ、僕にもっと、力があったら……こんな、」
「メソメソと泣くな、まったく……」
呆れ声を発しながらも、長い指がエルネストの乱れた髪を穏やかに梳く。こんなに優しくされるのは初めてのことで、エルネストは涙を流しながらもその薄い胸にぽっと、温かな火が灯るように感じた。
「お師匠様……、お師匠様まで汚れてしまいます」
「もう、とうに汚れてる」
「……ごめんなさい」
ジャーヴィスは身体を離すと、エルネストの両肩を掴んで双眸を覗き込んだ。
「本当にいいんだな? 後で後悔しても知らんぞ」
「……はい。どうかこれからも、お師匠様の傍にいさせてください」
言うと、ジャーヴィスは不意にエルネストの唇を塞いだ。エルネストは驚き目を見開く。ジャーヴィスの長い睫毛が頬を掠める。
「ふっ……ン、」
息苦しさと、甘い疼きと。まだ火照りの抜けない身体は、ジャーヴィスの与えるくちづけに煽られる。ぬるりと舌が絡まり、エルネストはきゅっとジャーヴィスの胸にしがみついた。
途端、唇が離れる。とろんとした目で、エルネストはジャーヴィスを見上げた。
「あ、の……?」
ジャーヴィスは一瞬目を泳がせた。まるで自分が何故そんなことをしたのかわからないとでも言うように。
それからわざとらしく咳払いをすると、袖から小瓶を取り出しエルネストの眼前に掲げた。
「じっとしてろ。まずはギャスパーで身体を清めてやる」
「ギャスパー?」
「わたしの使役する使い魔のスライムだ」
瓶の中は空っぽに見えたが、目をこらすと透明な中に光る水泡がキラキラと蠢いている。
「こいつをお前の体内に入り込ませて、中の汚液を掻き出してやる」
「えっ!?」
エルネストは頬を張られたかのように飛び上がった。
スライムは森に棲む下等種の魔物だ。己の弱さを知っているから人間に挑みかかることは稀だが、幼い子供を襲うことはある。エルネストも幼少の頃に足に取りつかれ、気味の悪い思いをした。
あのヌルリとした生温い感触、触れた皮膚にはナメクジが這ったように滑った粘液と、妙な掻痒感が残るのだ。
「い……やです、自分でできます!」
「お前の希望は聞いていない」
ジャーヴィスは瓶のフタを開けると傾け、手の平にトロリとした物体を垂らした。そのまま腕や床に垂れてしまいそうだったが、スライムはジャーヴィスの手中でウネウネと姿を変え、主人に従っているようだ。
怯えた目で見つめるエルネストに軽く微笑むと、ジャーヴィスはもう一方の手を少年の頭上にかざし呪文を唱えた。瞬間、エルネストの身体がギシリと硬直する。それからゆっくりと、両膝を立てた。そのまま大きく足を開いていく。
「なっ……、」
自分の意に反して勝手に動く四肢に、エルネストはぞっとして顔をひきつらせた。さらに、彼の手はゆっくりと自分の衣服の前を開いていく。
「や、めてくださいこんな……っ」
自ら誘うような仕草で上衣を崩すと、中に着ている黒い衣服もたくし上げた。桃色の乳首やまだ幼い性器が露出すると、白い肌が粟立つ。
「おとなしくしていればすぐに終わるさ」
自ら衣服を乱した両手は万歳の形でシーツを掴み、隠しようもなく大きく広げられた足は男を誘う娼婦のようだ。
あまりの恥ずかしさにエルネストの身体は熱くなり、白かった肌はほんのりと朱に染まる。
「こんな……っいやです、お師匠様……っ」
「すぐだ、じっとしてろ」
ジャーヴィスはスライムを両手で包むと、2つに分断した。左手に載せたスライムをエルネストの胸の上に、もう一方のスライムを太腿の上に垂らす。
「あ、くっ……や、だ……」
ヌルヌルとした生温いゼリーのようなものが、身体の上で重みを増していく。
エルネストの胸に広がった青白いスライムは臍の辺りまで広がり、太腿を這ったスライムは陰の深いところへと入っていく。少しの沈黙の後、微かに震えていた細い身体がビクンと大きく跳ねた。
「あっ……!」
傷つけられ赤く腫れた後孔にスライムが辿り着くと、ぐぷ、と音を立てて中に侵入していく。エルネストの立てた両足がガクガクと痙攣し、アクアマリンの瞳は驚愕に大きく開かれた。
「いやっ、やだ……っやだぁ……!」
膝頭が震え、足の爪先はぎゅっとシーツに皺を刻むが、エルネストの身体はそれ以上の自由を許されない。ハァハァと熱い息をこぼしながら緩く頭を振る。
「だ……、っあ!」
胸を這うスライムが、エルネストの乳首を侵略し始めた。まだ誰にも触れられたことのない薄紅の可憐な実は、初めて与えられる甘い刺激に敏感に反応する。
「し、しょ……っ、これ……上の、方……関係な、くないですか……っ?」
「さあな。そうした方が、下も入り易いかと思ったんだが」
「な、に……そんな、あっ……はぁ、」
乳首にまとわりついた部分が少し硬化し、次第に緩急をつけて蠢き出す。まるで舌で舐めしゃぶられるような感覚に、薄い胸は激しく上下し、薄紅の乳首は殊更赤みを増して淫靡に咲く花のようだ。
「効果はあったようだな」
「い、やっ……ししょ、見ないで、……っ」
きつく目を閉じていても、自分がどんなにはしたない格好を晒しているか嫌でもわかる。何より、自身の性のシンボルが反応してしまっているのが恥ずかしい。隠しようがなく、それは上に勃ち上がりつつあった。
「あ、あっ……待っ……、入って……来る、来て、る……っ!」
傷ついた蕾を犯したスライムはズブズブと腸内に押し入り、その肉襞を目一杯まで広げていく。
体内に吐き出された男達の精液は、一部は外に流れ出て、そして一部は、腸壁が吸収してしまったのだろう。エルネストは血まで汚されたことに生理的な嫌悪を覚えていたが、スライムは人間の体温よりも低く、中に押し入るそれは確かに、何か癒しのようにも感じられた。
「ふっ……あ……ん、」
じょじょに奥に進んでいくスライムが、腹の中を満たす。異物の圧迫感は気持ち悪かったが、少しの安らぎも見出したエルネストは目を開くと、潤んだ瞳でジャーヴィスを見つめた。
「し、しょ……、」
「痛むか?」
エルネストはふるふると首を振る。
「……だいじょぶ、です」
「……そうか」
ジャーヴィスは難しい顔で頷くと、シーツをきつく握っていたエルネストの手を解き、包むように握ってやった。
エルネストは師の手の平が温かいことを初めて知った気がして、ほっと息を吐く。安堵からか、また込み上げてきた涙が目の縁に溜まった。
「ぼ、く……、」
ほろ、と、涙が溢れる。
「嫌、でした……じゅ、にん……にじゅ、にん……? わからない、けど……たくさん、いて……っ、……痛くて、怖かった……っ、」
「エル、」
ジャーヴィスの指が涙を掬う。
「ししょ……助け、に来てくれて……りがと、ございました」
「置いていくはずがないだろう? わたしを何だと思ってる」
冷淡で、欲深い魔術師。それが世間の言うジャーヴィスだ。けれど──エルネストは弱々しくも微笑む。そんなことはない。自分には、こんな慈しみ深い微笑を見せてくれる。
優しく頬を包まれて、ジャーヴィスの美しい顔が近づく。あの優しいキスをまた、くれるのだろうか──?
エルネストが瞳を閉じたその時、
「……あっ!?」
腹の奥で異変が起きた。ビクンとエルネストの身体が痙攣し、ジャーヴィスの顔が離れる。
エルネストの手に力がこもり、ジャーヴィスの手の甲に爪が食い込む。
「や、だ何……っ、あ、あ……っ!」
「どうした、エル?」
「やだ、や……あつ、いあつ……い!」
腹の底がじわじわと熱くなる。甘く、痺れるような疼き。
狭い腸内を押し広げているスライムの体表に、細かな突起が浮き出たかのように、敏感な部分が刺激されてゾワゾワとした奇妙な快感がエルネストを襲う。
「い、やいややだ、やっ──あぐっう!」
ズン、と奥を突き上げる動きに、エルネストは背中を浮かせて仰け反った。
「な、ん──あはぁっ!」
「何だ、おい……ギャスパー!」
エルネストの中にすっかりおさまった魔物は、少年の体内をぎっちり埋め尽くすと、中で悪戯にぜん動を始めたのだ。少年の腸のうねりに合わせて身を捩り、奥の奥まで突き上げる。
「ひっ──いやっ! やだ! 怖い、いや、やぁ──っ!」
蛇に犯されているような激しい突き上げに、エルネストの頭はパニックになる。恐怖と快感が綯い交ぜになって、ただ絶叫だけが口から迸る。
自ら腰を前後に揺らし引きつりを起こすエルネストの身体は、まるで透明人間に貫かれているかのようだ。スライムの粘液が体内に残っていた精液を絡め取り、後孔からびゅくびゅくと音を立てて溢れていく。
「いやぁっ、あっ、あっ、あぁっ!」
「ギャスパー、何をしてる! 言うことを聞け!」
スライムは主の呪縛を逃れて、意志を持ってエルネストの身体を翻弄する。
刺激を受け続けた乳首も先端がピンと硬く尖り、臍を伝っていたスライムはさらに分離して、エルネストの幼いペニスを覆っていた。
「ひいっ──う、ごいて……っあ、ああっ!」
自らの使い魔に目の前で凌辱される少年の姿に、ジャーヴィスはガタンと椅子を倒して立ち上がった。
「くそっ……これだから下等種は……! おいエル、手を離せ……離すんだ!」
ジャーヴィスはいつになく必死の形相でエルネストに訴える。
こんなこと、あり得ない──ジャーヴィスは片手でも、指先1本でも魔術を操ることができる。それなのにどうしたことか、魔術が弱まっているのだ。まるで誰かに吸い取られているみたいに──ジャーヴィスは自分の左手をきつく掴んだまま身悶える少年を睨み据える。
「いやっ──! いあ、あっ、あ"ン、はあ"ンッ!」
ギャスパーと名のつけられた魔物はエルネストの体内で苦しんでいるのか、のたうち回っている。腹を突き上げる動きに細い腰は激しく揺れ、エルネストは泣きながら激しく達していた。
「ひぃ、いっ……! いや、ぁ……っ!!」
エルネストの吐き出した精液はそのままギャスパーに吸い取られてしまう。尿道の入り口まで舐め取られるように入り込まれて、ジャーヴィスの手を握る力がさらに強くなった。
「ししょ……助け……も、やだぁ……! ひゃぅ、あんッ! いや、あ、あ、あ"ッ──!!」
肌を上気させ、白い胸を波立たせて甘く切なげに喘ぐ。言葉にならない悲鳴を零しながら、シーツに、男の手にしがみつく細い指先。
拒絶の言葉とは裏腹に、魔物を受け入れた下肢は誘うように腰をくねらせ、何かの拍子に爪先はピンと伸び、腰を浮かせて淫らに股を広げる。
「や、いやぁ……っやめ、て……やめてぇ……っ」
全身を赤く染めながら無防備に身悶える少年の姿は、山賊達が目にしたならいっそう嗜虐心を煽ったことだろう。
その山賊達はもう死んでしまったが、彼らの乱暴な行為で快感を覚え込まされたばかりのエルネストの身体は、体内で蠢く異物の侵略にもひどく感じてしまう。
達し続ける少年の身体を、蛇の化物と化したスライムは限度など弁えずに責め続ける。男達が犯したよりももっと深く──誰にも触れられない領域まで、深く。
「エル……エルネスト……!」
ジャーヴィスは弟子に呼び掛けながらも半ば呆気にとられているようだ。幼い頃から育ててきた少年が、目の前でモンスターに犯され女のように身悶えているのだ。
エルネストはジャーヴィスの視線を思い出しては羞恥を覚え堪らず、声を押さえようと唇を噛むが、スライムに腸内の弱いところをめちゃくちゃに捏ねられて喉から甘い嬌声を零してしまう。
「いや"ぁあっ! あ"んっ、──! あ"っ、あはぁっ!!」
ぐずぐずと断続的に前立腺を圧迫されて、しまいにはジャーヴィスの目があることも忘れて激しく腰を捩る。
「ひ、ぃっ……! ひ、ひっ……ひっ──!!」
きつく歯を食いしばって、それでも溢れる声。ギャスパーはその声を栄養とするかのように中で肥大化すると、激しく身を震わせた。エルネストは舌を突き出す。
「はっ、はぁッ……!!あ"、あ"、あ"……!!だめ、もうだ、め……ふ、ぎ"ッ──!!」
終わらない淫らな責め苦に、エルネストは身体を痙攣させると目を白くして意識を飛ばす。エルネストの手の力が緩んだ途端、ジャーヴィスは金縛りが解けたかのように全身に魔力が漲るのを感じた。
「はっ──!」
ジャーヴィスが呪文を唱えると、エルネストの身体の痙攣も止まる。広げられていた足はパタリと横ざまに閉じられ、充血したアナルから形をなくしたスライムがトロトロと流れ出た。
「ギャスパー、勝手をした罰だ。貴様にはもう用はない」
パン、と音がしたかと思うと、エルネストの胸やペニスを這っていたスライムは細かい霧のようになって散る。
しどけなく崩されたエルネストの足を押さえると、スライムが溢れてくる後孔に指を突き挿れた。
「……少しだけ、我慢してろ」
意識のない少年にそう囁くと、グチグチと指を押し込んでいく。
「は、ぅッ……ン、」
スライムとは違う、実態を伴う異物にエルネストの身体は微かに反応するが、目は覚まさない。ジャーヴィスは2本指を入れると、逃げを打つスライムを引きずり出した。
姿を現したスライムは半透明に濁り、動きは緩慢だ。それでもどこかへ逃げようとでもいうのか、ベッドの影へ逃れようとする様子にジャーヴィスは一睨みして片手をかざす。
「──消えろ」
パン、と音がすると、それきり部屋は静かになった。
エルネストから汚れた衣服を剥ぎ取り、ジャーヴィスは濡れタオルで少年の身体をきれいに拭う。抱き上げると、もう1つのベッドに白い裸体を横たえた。
少年の身体は外見は十分に清められていたが、目元にはひどい疲れが滲み、よく見ると指の爪のほとんどが割れていた。身体のあちこちに残る痣が消えるまでには、もう少し時間がかかるだろう。
ジャーヴィスは小さく溜め息をつくと、エルネストの薄青色の柔らかい髪を梳く。
「よく耐えたな」
そう言って、形のいい頭を軽く撫で、額にくちづける。
「それにしても──お前は一体、何者だ……?」
涙に濡れた長い睫毛を伏せて眠る少年を、ジャーヴィスの琥珀色の瞳がじっと見つめる。
エルネストに手をきつく握られている間、確かに自分の魔力が吸い取られる感覚があった。あるいはギャスパーも、エルネストに接触することで何らかの魔力が作用したのではないか? 少年の中に眠る、未知の力──。
エルネストがきつく握ったジャーヴィスの左手には、まだ爪の跡が浅く残っている。
「……これからが楽しみだな、エル」
ジャーヴィスは愛弟子の手を包み込むと、祈りを捧げるように唇を寄せた。その穏やかな優しい笑みを、深い眠りに安らぐエルネストが見ることは、まだない。
2017/02/22
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