Long StoryShort StoryAnecdote

川を渡って木立を抜けて


1.

 鬱蒼(うっそう)とした森の中に建つ、怪しげな洋館。ここに連れて来られてから、一体どのくらい経ったのだろう?
 セロは薄暗い石壁の部屋で目を覚ますと、手の届かないほど高い格子窓からそそぐ微かな光に目を細め、そんなことをぼんやりと思った。ここで過ごす限り、時間すらも曖昧だ。わずかに漏れ入る光と、自身の空腹感だけが、朝と夜とを教えてくれる。
 あの日、あの時間にあの橋を通らなければ──心が虚無に落ちると、何度も後悔が去来する。セロの目はもう涙も枯れてしまったが、身体の中の水分と、残されたわずかな希望がこぼれてしまうのを恐れるように、きつく、きつく瞼を閉じた。



 セロは片田舎の小さな村で脚の悪い兄と2人、貧しいながらも仲睦まじく穏やかに日々を過ごしていた。農作物や家畜から得るものを日毎の糧とし、近隣の住民達とささやかに分かち合う、平凡だけれど幸せな日々。
 あの日、セロは兄の使いで街に買い物に出た。街に出るのは月に1度あるかなしかで、兄の義足に差す油を手に入れるためだ。片道で3時間はかかる道程を、セロは狭い歩幅で急いだ。
 平生と違ったのは、人通りのない橋で1台の幌馬車が通ったことだ。見慣れない、立派な幌を引く毛艶のいい馬。半ばその様相に見惚れながら、狭い道を譲ろうとセロは端に寄った。
 しかし、馬車は思いがけずセロの前でスピードを緩めると、幌の後ろから男が顔を覗かせた。男は太く逞しい腕をぐんと伸ばし、セロの身体をひょいとすくいあげた。
 あっ、と悲鳴をあげる間もなかった。手にしていた籐カゴが放り出され、礼の品として携えていた果実が散らばる。その一瞬で、セロは風にさらわれるようにして拐(かどわ)かされたのだった。

 ひどく揺れる馬車の中、まだ12歳になったばかりのセロは、3人の野卑な男達の慰み者にされた。衣類を乱暴に剥かれ、身体中を嬲られ、わけもわからないまま男達の性器を口で、後孔で受け入れて。
 1人目の男はセロを四つん這いにさせると、獣の交尾のように後ろから貫いた。セロは翻弄され、自分の身体を支えることもできなくなると尻だけを高くして、自ら男達を誘うような体勢で彼らに屈した。
 男はセロの細い腰をしっかりと掴み、床板を掻いて逃げようとする獲物を激しく突き上げる。結合部からぐぽ、ぬちゅっ、と生々しい水音が響くと、まわりの男達が下卑た笑いを漏らした。
「おぅっ、うっ……く、キツいな……ふ、うぅッ」
「あぐッ! いや、やぁッ! いた、ぃあッ……、やめて、やだ、や、いやっ……ぁ!」
 男の剛直を突き挿れられたセロの肛門は皺も伸びきってびっちりと開き、カウパーを漏らしている。強引に出し挿れしたために少し切れたのか、淡く血も滲んでいた。
 男はテラテラと脂ぎった顔に醜悪な笑みを浮かべながらピストンを続け、ペロリと唇を舐める。
「へへ……トロトロの肉筒、熱くてすげぇ……ううっ! ……はぁ、はっ……はは、キツくて最高だぜ……!」
「あぅ、うっ、抜い、て……っはぁ、あ、ぁッ……」
 セロの中を男のペニスが掻き回し、肌がぶつかる。執拗に何度も同じところを捏ねられ、内壁は男の先走りに蕩けていく。
「くッ、うぅ、出る、出す、中に出すぞ……ッ!」
「ひ、ぃや……ッな、にやめ、ひぁッ──!?」
 男はグン、と一際強く腰を打ちつけると、ぶるりと下半身を震わせた。少年の身体に収めた長大なペニスから、ドクドクと熱い精液を吐き出す。セロは衝撃に目を見開き、下腹を震わせた。
「がっ……は、」
「あぁ……、いい締めつけだったぞ、ボウズ」
 満足そうに吐息を漏らすと、男は熱い手でセロの汗ばんだ小さな尻をぬらりと撫でた。そのまま無骨な指で狭いアナルを抉じ開け、硬い肉棒の収まった後孔を拡げる。ぐっぽりと肉棒を咥え込んだ入口は男の体液が溢れ、白濁は細い内股をゆっくりと伝った。
「あ……ぁ、はっ……、」
 奥に征服の証を注がれながら、セロは床に頬を擦りつけ、肩を震わせて泣く。自分の身に起きたあまりに突然の悲劇を、まだうまく受け止めることができない。
「最初から中に出すんじゃねぇっていつも言ってるだろ。また後でご主人にドヤされるぞ」
「へへ、コイツはなかなかの名器だぜ。我慢が利かなかったんだ」
「ほう、どれ……それじゃあお次は俺の相手をしてもらおうか」
 セロの細腕を押さえつけていた男が、赤子の手を捻るようにしてセロの身体を仰向けに転がす。アナルに挿入されていた男の性器が音を立てて抜けると、中で堰き止められていた精液がドプリと溢れた。その感覚に、セロは爪先をピンと伸ばして震える。
「はぁ……ン、あっ……やぁ、も、むり……ぉねが、やめ……、」
 セロはか弱い声で涙ながらに抵抗するが、その身体は自由にならない。男はセロの脚を自身の肩に担ぎあげると、すでに猛った己の分身を少年の濡れそぼった秘部にあてがった。
「ひッ──!!」
「ぐぅ、ッ!」
 先の男の精液が潤滑油となり、極太のペニスはセロの中にすんなりと飲み込まれていく。セロの意思を裏切って、身体は男の肉棒をきゅんと締めつけた。
「う、おぉ……ッ本当だ、こりゃあ……この狭さ、それにすげぇ、熱くて……ッ」
「いやっ……やだ、いやぁあぁぁぁ……ッ」
 目の前にニヤついた男の顔がある。涙と唾液にまみれた真っ赤な顔を覗きこまれ、セロは頭を振った。
「今度はその可愛いお顔が俺のイチモツでヨがり狂うところ、存分に楽しませてもらうぞ……っ!」
「あぁッ!」
 男が腰を突き込んで、ぱちゅん、と肌がぶつかった。力ない両足は抱え上げられて、無様にガクガクと宙に揺れる。抵抗を諦めた両手をまるで恋人同士かのように繋いで床に縫い止めると、男はセロに口づけながら腰を振った。
「ふぐ、ンッ、ん、……ふっ、ン"ンッ、」
 呼吸がままならず、無意識に内壁が締まる。男はペニスをますます硬くすると、ガンガンと乱暴に少年の中を犯し最奥で果てた。ビュクビュクと腸壁に熱いものが打ちつけられる。セロは切なげに喘ぎながら、眉根を寄せてその感覚に耐えた。
「ぶはっ……ああ、すげぇ好かったぜ……舌絡めてやったら中が悦んじまって、俺のを離してくれないのなんのって」
「あ、うッ、ひ……っ」
 男はペニスを挿入したまま、ぐりぐりと腰を回した。中に吐き出された精液が体内に撹拌される感覚に、セロはビクビクと反応する。いつの間にか立ち上がっていた幼いペニスからトロトロと精液が溢れた。
「お? ボウズも気持ち好かったみたいだな。ほれ、ほれ!」
 ぐちゅ、ぐちゅ、と腰を揺すられて、セロは痙攣し達した。快感だと思えない衝撃に、頭がぼうっとする。
 男はゆっくりと、じょじょに速く腰を前後に動かしはじめた。やがて男のペニスは再び硬さを取り戻すと、亀頭を出口寸前まで抜いてそこでカクカクと腰を揺する。
「抜かずの2発目かよ。俺にも早く犯らせろ」
「まぁ待てって……お前が犯る時にもっとヨがるように仕上げてやるから……よッ!!」
「きゃあンッ!?」
 前立腺を擦られた瞬間、セロは堪らず高く鳴いた。未だかつて味わったことのない快楽が波のように押し寄せて、嫌なのに自ら腰を振ってしまう。
「あッ──、な、や……そこ、やッ……!」
「わかってきたみたいだな……もっと気持ち好くしてやるから、なっ!」
「ぃ、やめ、ヒッ──!!」
 ゴリュ、と弱いところを擦られながら一気に奥を貫かれ、じん、とした痺れが腹の底から背骨を走り、頭が白く弾ける。快感が止まらない。セロはその瞬間に達していたが、声を出すこともできなかった。イき続けたまま中を激しく突かれ、その度に艶のある声で鳴くだけの玩具と化した。
「あァンッ、はァ、ン"ッ! ンッ、あッ! あ"ぁッ!!」
「こんなに具合がいいのは久しぶりだ……っ、声も、気に入った、ぜっ!!」
「ひぁ、あァッ!! いや、あ"ッ! や"ぁあぁぁぁッ……!!」
 男は再び容赦なく幼い身体に精液をぶちまけると、すべて出し切った肉棒をずるりと抜いた。
 セロのアナルはぱくぱくと口を開け、中からは精液がどろりと床に溢れ出す。セロは押さえつけられ拡げられていた脚を時間をかけて閉じると、身体を横にして身を丸めた。
 セロの身体の中を、いろいろな感覚と感情が渦巻いていた。怖いのに、気持ち悪いのに、身体は確かに快感を得ていて、自分の中から湧き出る熱を抑えることができない。自然と自分の性器に伸びそうになる手を、3人目の男が捕らえた。
「まだだ。まだ終わらんぞ」
 セロの背中に寄り添うように男も横になると、後ろからセロの膝に手を回し、強引に開かせた。セロは男達の見世物にされるように身体を開かれると、後ろから押し入ってくる熱を感じて嗚咽を漏らした。
 3人の男達は日が暮れるまで、ガタガタと揺れる幌の中で、無防備な子供の身体に幾度も欲望を注ぎ込んだのだった。



 それだけで解放されれば、まだよかったというものだろう。男達とセロを乗せた馬車は森の中を通じる泥道に轍(わだち)を刻みながら川べりを疾駆し、人里離れた洋館の前でようやく止まった。
 鬱蒼とした木々に囲まれた、赤茶色い屋根のレンガ造りの屋敷は、異様な雰囲気を醸していたが、意識をなくしたセロがその外観を見ることはなかった。
 さんざん犯されボロ布のようになったセロは、馬車から引きずり降ろされると洋館へと担ぎ込まれた。乱暴に湯殿に入れられたかと思えば、そこでもまた悪戯をされ、心身ともに疲れ果てたところで天蓋つきのベッドに寝かされた。
 ここはどこなのか、自分はまだ自分の形をしているのか。それすらもわからない混濁した意識の中、身体は泥に囚われたかのように重く、セロは沼に足を引きずりこまれるかのように深い眠りに落ちた。
 買い物を終えて家に帰ると、兄は温かいパンとスープを用意してセロを待っている。買ってきたはずの油は赤ワインに姿を変え、戸惑いながら兄を見ると、彼の義足は彼本来の健康な脚に変わっていた。
 それが覚めない夢だったなら、どんなに幸福だっただろう。この時、セロは1度死んでしまったのかもしれない。

2016/09/10


←Prev Main Next→
─ Advertisement ─
ALICE+