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僕のクロ


第1話


 細い首にかけられた赤い革の首輪。そこにつけられた鈴がチリン、と鳴る。
 黒髪からひょこんと猫のような獣の耳を生やした少年は、首輪をつけられている以外何も纏っていなかった。両手首は金属で拘束され、ロープに繋がれて、天井に据えつけられた滑車で吊り下げられていた。
 少年は鈴の音に合わせて、高く切なく喘ぐ。
「はうっ……んっ」
「く、ぅ……! クロ、ああ、気持ち好いよ」
 クロ、と呼ばれた少年は虚ろな瞳に涙を浮かべながら、男の性器で後孔を激しく貫かれていた。ぐぽぐぽと淫猥な音を響かせる穴の少し上、尾てい骨からはくねくねと悦んでいるかのように黒い尻尾が揺れている。

 半獣の子供はペットとして高値で売買されている。人間とは別種の生き物とされる半獣のオークションは合法で、そこには倫理も秩序もない。
 買った後はどう扱おうが自由だ。優しい主人に文字通りペットとして愛玩されるのは一握りの幸運な者達、ハウスキーパーとして使われるのもまだ恵まれた方だろう。半獣のほとんどは性玩具として慰み者にされる。クロは後者だ。
 愛らしい風貌に加え、感情や感覚に素直に反応してしまう耳と尻尾を持つ半獣は、人間の下劣な欲望を満たすのに都合がよかった。半獣にも、人間と同じ繊細な心があるというのに。

 まだ13歳のクロの身体は手足も腰も細く、無茶な行為を続ければ壊れてしまいかねない。しかし、男は容赦なかった。何度も何度も激しく腰を打ちつけ、狭く熱い少年の直腸を犯し尽くす。少年は抗うこともなく、自分の不幸な命運と男の劣情を健気に受け入れ続けている。
 男は従順な黒猫を心底気に入っていた。勃起した凶器のような肉棒で少年の秘部を抉じ開け、根元まで押し込めば、先端は少年の結腸まで押し上げる。その度にクロは哀れなほど震え、甘い声で鳴き叫ぶのだった。男の興奮は、その悲鳴で最高潮になる。
「クロ、ああ、可愛い……小さくて細くて、無力で」
 男は少年の熱く潤んだ肉壁を味わいながら、首筋に唇を寄せベロリと舐める。クロの柔肌はぞわりと粟立った。
 男はクロの中に自身を深く埋没させたまま動きを止めると、コリコリと乳首を虐めた。
「んあ、はっ……あ、」
「新しい躾だよ。乳首だけでイけるかな?」
 前立腺を圧迫されたまま乳首を刺激され、クロは無意識に自ら腰を振る。男の性器を抜き挿しさせるように前後に腰を揺らすので、男は少年の尻をパチン、と罰した。
「淫乱め。物欲しそうにするんじゃない」
 侮蔑の言葉に、少年の尻がきゅっと締まる。
 こんな仕打ちを繰り返されながらも、クロが羞恥心を捨ててしまうことはなかった。カッと全身を赤く火照らせる様がいじらしい。
「ごめ、なさ……ッ」
 細い声で謝るクロに、男は満足した。このか弱い生き物は、主人の言うなりだ。
 乳首をゆっくりと摘んで捏ねて、手の平全体で揉むように大きく動かす。肉のない胸板を反らして、少年は鼻で鳴いて身悶えた。乳首を摘む度に狭い肉筒が締まり、男は恍惚の吐息を漏らす。
「本当にいやらしいな、お前は」
「ひ、んっ……あ、ぁ」
 男は再び細腰をがっちり掴むと、亀頭ギリギリまで引き抜きカリの部分で少年の好いところをゴリゴリと責めた。
「ぎゃぅッ……!」
 跳ねる小さな身体が愛らしくて、男は再び首筋に吸いつく。尻を鷲掴んで揉むと挿入はより深まり、少年はビクビクと震えて達した。幼いペニスは緩く勃ち上がってはいるが、射精はしていない。震えながら、先走りに濡れているばかりだ。
「お前は雌猫だな。乳首と中を擦られるだけで空イキするなんて」
「ふぅ、うッ……あ、はぁン」
「お前みたいな汚らわしい猫、他に貰い手はないよ。僕が虐め抜いて、死ぬまでよがり狂わせてやるからな」
 クロの獣の耳を乱暴に引っ張ると、血管の透ける内側に唇を押し当ててボショボショと呪いのような言葉を囁く。耳が敏感なクロはその刺激も堪らず、達したままの内壁をさらに痙攣させた。

 クロを見つけたのは半獣のオークションだ。闇市的なそこでは半獣達にストリップをさせたり、自ら三角木馬に跨って腰を振らせたり、あるいはその場で輪姦ショーを催したりと、性的な奉仕を強いる異様な熱気に包まれていた。
 男が見つけた時、クロはまだたったの10歳で、今よりもさらに身体が小さかった。幼い顔を戸惑いと快楽に歪めながら、必死に身体を捩り男達の雄を受け入れていた。
 美しい半獣はいくらでもいたが、男はクロのあどけない様子が気に入った。すでに男の味を覚え込まされながらも、無垢さを失っていない。恐怖に怯えながらもそれに耐え、大きな瞳を涙で濡らしながらも懸命に応じる姿がいじらしかった。

「ひ、ぅ……ねが、しま……も、ゆぅして……ださ、」
「僕はまだイってないぞ。自分で動いて、僕を満足させてみろ」
「う、う……ぁ、」
 もう身体の自由さえ利かないのだろう、クロはぼんやりと虚ろな目で主人を振り仰いだが、男に甘えは通用しない。
 観念したクロはかくりと頭を垂れると、吊られた腕に精一杯力を込めて、何とか自分の身体を引き上げる。爪先立ちになると力を抜き、自重で男の性器を深く飲み込んだ。
「はぅッ……!」
「く……そんなのでイけると思うか? クロ」
「はっ、……は、ごめ、なさ……」
 健気にもう1度同じことを試みようとするクロを、男はくつくつと低く嘲った。
 さんざん弄ばれた身体にはもういくらも体力が残っていない。ぐったりしたクロはもう指1本動かせないとでも言うように、力なくしなだれた。
 それでも彼の性感はまだ男を悦ばせ、クロ自身もその消えない甘い疼きに苦しめられているのか、蠢動し続ける熱い肉壁はさらなる快楽をねだるようだ。
「クロ、どうして欲しいか言ってごらん」
「ご……しゅじ、さま……っあ、」
 再びするりと乳首をなぞる指先に、クロの身体がビクンと竦む。
 クロは従順だが、決して行為を望んでいるわけではない。男が指示するまま、困惑の色を浮かべながら応じる様が愛らしく、その純粋な心をいたぶるのが男の好みだった。
 焦らすように腰骨から脇腹をゆっくりと撫で擦る。
「は、ぁ……ごしゅじ、さまの……お、きなの……もっとおく、に……っ、」
「もっと? さて、どこまでかな?」
 ゆっくり男根を引き抜いていくと、少年の肉はそれを咎めるようにきつく締まる。男のペニスは、赤黒く充血し血管が浮いていた。
「あ、はっ……おく、……めいっぱい、突いて……っ」
「奥ってどこかな?」
「ふかい、とこ……ぼく、の、おなか、の……お、ぐぅッ」
 ドチュッ、と音がしたと錯覚するほどの勢いで、男は一気に少年の直腸の最奥を突き上げた。先端から広がるような痺れ、キツい締めつけに、男は奥歯を食い縛ると少年の腸内に精液をぶちまけた。
「ぐうぅっ……ッ! クロ、わかるか? お前の、腹の中……僕の精子でいっぱいだよ……ッ」
「ひ、ひぁ……あ、……ぁちゅ、ぃ……ごしゅ、じ……っ!!」
 クロの耳は完全降伏の体でピタリと伏せられ、尻尾は交尾を待ち受ける雌猫のようにくねくねと動いた。激しく達したままの若い肉を捏ね回すように、男は射精しながらも腰を揺すり続けた。
「ああ、最高だクロ……可愛い、僕のクロ……」

2018/01/06


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